赤道儀を扱うための基礎知識(ビギナーのために) | getaのブログ

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昨夜はずっと曇っていたためアップロードする写真がありません。

 

ところで最近、赤道儀の操作に苦労されているビギナーの方をよく見かけます。

私も2年半くらい前からSharpcapやASIAIRなどを使い始め、昔と全然違うので戸惑ったものです。

ですから、Xなどで操作などが分からず困っている人を見かけると、ついお節介でリポストしてしまいます。

 

特に、赤道儀の設置方向や角度をどのようにすればよいのか、また、なぜそうしないといけないかということが分かっていらっしゃらない方が多いようです。

私の場合は中高生のころに赤道儀を使っていたのでその点での苦労はありませんでしたが、確かに初めて赤道儀を使う方にとってはなかなか難しいことだと思います。

 

そこで、今回は他に書くことがないので、ビギナーの方のために

   赤道儀の設置に必要な基礎知識

について簡単に書いてみたいと思います。

 

 遠くからやってくる星の光は平行光線であること

簡単に言えば、地球の大きさは宇宙に比べると非常に小さいので、星を地球上のどの地点から見ても同じ方向に見えるということです。

別の言い方をすると、星の光は平行光線であるということです。

 

感覚的に分かりにくいかもしれないので簡単な図を書いてみました。

 

   

地球上の日本とオーストラリアから、地球の近くにある次の二つの人工衛星を見たとします。

    地球から10万Km離れたところにある人工衛星(1番目の図)

    地球から100万km離れたところにある人工衛星(2番目の図)

このとき、の場合は、日本とオーストラリアで見える方向がかなり違いますが、

地球から離れたの場合は、見える方向があまり違わなくなります。

 

つまり、地球からの距離が大きいほど見える方向がほとんど同じになります。

 

特に星のように何光年も先にあると、地球上のどの地点で見ても同じ方向に見えるようになり、その星の光は限りなく平行になります。(3番目の図)

(地球の公転によって位置の違う場所で観測すると、近くの星では僅かですが角度に違いがみられます)

 

 天の北極の仰角(高度)は緯度と同じ

赤道儀を設置するときには、赤経軸を天の北極に向けますが、天の北極の仰角はその地点の緯度と同じになります。

緯度は、地球上の地点の南北の位置を表す座標の1つで、赤道が0度、北極や南極は90度になります。

 

伊能忠敬は日本地図を作ったことで有名ですが、本当は、緯度差のある地点の距離を測ることにより地球の大きさを測りたかったという説もあるようです。

そんな理由では日本中を行脚できないので、地図を作ることを理由にしたらしいですね。

実際に地球の大きさを求めているようですが、歩幅で距離を測定しているにもかかわらず、かなり正確なようです。

 

ちょっと脇道にそれてしまいましたが、天の北極の仰角と緯度が同じになることは、次の図を見るとよく分かると思います。

 

 

この図は、東京を例にして書いてみました。

先に説明したように、B点の東京でも、C点の北極でも地球規模で考えると天の北極は同じ方向に見えます。

(北極星は天の北極のすぐ近くにあります)

 

東京の緯度は角度ADBになりますが、

  △ABDと△ADCは2角が同じになるので相似

になります。

その結果、角度BCDは緯度と同じになります。

また、北極と東京において天の北極を向いている赤色矢印は平行なので、角度BCDと東京における天の北極の仰角は等しくなります。

 

 赤道儀は赤経軸だけで星を追尾できる

理論的には、赤道儀は赤経軸だけを動かすことにより星を追尾できます。

(現実には、赤経軸が完全に天の北極を向いてなかったり、機械的な誤差などがあるのでズレが生じます)

 

なぜ追尾できるかというと、赤経軸を天の北極に向けることにより、赤経軸が地球の地軸(自転軸)と平行になるので、地球の自転速度に合わせて赤経軸を回転させることにより、星を追尾できるわけです。

この場合も、地球上では地点が変わっても星が同じ方向に見えることを理解しておく必要があります。

何でも、なぜそうしないといけないかを理解しておくことは大切なことですね。

(北極や南極では、経緯台でも水平方向の軸を回転させるだけで追尾できることになります)

 

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今回は暇に任せてこんなことを書いてしまいましたが、天体に興味のある人を増やしたいという気持ちが大きく、特にビギナーの方には頑張って欲しいと思っています。

いろいろお節介をすることがあるかもしれませんが、悪く思わないでくださいね。