天体写真撮影の基本(整理してみました) | getaのブログ

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お気に入りの音楽を聴きながら、50年以上前にちょっとかじった
天体写真を中心に美しいものを撮って楽しんでいます。
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最近、フォロワーさんの中に、天体写真を撮っても薄くしか撮れないという方が何人かおられます。

私も初心者なので偉そうなことは言えないのですが、余程暗い天体以外は綺麗かどうかは別として何とか写っているので、天体写真を撮る上での基本的なことを書いてみたいと思います。

綺麗に写るかどうかは度外視して、まずは星雲や銀河などがちゃんと写せることを考えてみます。

 

 天体写真と普通の写真の違い

まず、天体写真は普通の写真のように簡単には撮れませんね。

何が違うかというと、撮影対象が非常に暗いということです。

ですから、その暗さを補う撮影方法をとる必要があります。

 

 明るい光学系(望遠鏡など)を使う

望遠鏡などによってできる像が明るいほど写真に撮りやすくなります。

そのためには、まず光学系に明るいものを使う必要があります。

 

光学系の明るさは、口径比とかF値と言われているものがあります。

これは、焦点距離を口径で割ったものです。

(カメラレンズは単純に割ったものではないようですが、レンズに記載してあります)

   F=f / D   (f:焦点距離 D:口径)

ですから、F値が大きくなれば暗くなり、2倍大きくなれば4倍暗くなります。

(レンズや反射鏡の集光面積は口径の2乗に比例するため)

 

ですから、なるべくF値の小さい望遠鏡を使うようにしましょう。

自分は反射鏡をよく使いますが、5以下位が明るい部類に入ると思います。

カメラのレンズなら2以下のものもあります。

 

 フィルターは透過率のよいものを使う

最近はナローバンドのフィルターを使っている初心者の方が多いようです。

自分には高価過ぎるので全然持っていません。

 

ただ、このような高価なフィルターは光の透過率が小さいものがほとんどで、使うことによって光量が減ってしまい暗くなってしまいます。

ですから、露光量を相当増やす必要があると思いますし、使い方を誤ると意図しない写真になってしまいます。

 

例えば、色の違う馬頭星雲と燃える木星雲の両方を構図に入れて撮る場合、ナローバンドのフィルターを入れると両方とも同じ色になってしまいます(下の画像)。色の違いが出ないので豊かな色彩感が出ないのです。散開星団なども散開星団の星の色と他の星の色は少し違う場合があるのですが、違いが出なくなったりします。

  帯域の広いフィルター使用    帯域の狭いフィルター使用

  (あまり綺麗な写真ではありませんが比較のため)

 

ですから、初心者の場合はこのような透過率の低いフィルターは慣れるまで使うのを控え、フィルターの特性などを理解してから使うのが良いと思います。

高価なフィルターを使えば何でも綺麗に撮れると思って買う人が多いようですが、高価なものほど使うのは難しいと思います。

初心者の方で写真がうまくに撮れない方に、高価なフィルターを使っている方が多い感じを受けます。

 

初心者の方が最初に使ってみると良いと思うフィルターは、

   UV IR カットフィルター(屈折などのレンズ系はなるべく付ける方がよい)

   CLSなどの光害軽減フィルター

   IR パスフィルター(意外に安い)

   赤色フィルター(かなり安い)

などです。(主観です)

 

 カメラの感度を上げる

天体用CMOSカメラなら「ゲイン」、一眼レフなどのカメラなら「ISO感度」で感度を調整できるので少し上げてみましょう。

ただし、あまり上げ過ぎてもノイズが増えたり飽和することがあるのでちょうど良いところを探る必要があります。

 

 露光時間

1回当たりの露光時間は、あまり長くしない方がノイズなどの少ない綺麗な写真になるようです。自分の場合は30秒~120秒位が多いです。

天体の明るさなどにより最適な秒数を決めるのですが、ライブスタックなどで試写してみると良いと思います。

 

総露光時間は天体の明るさにもよりますが、長いほど淡い微細なところまで写るようです。

ただ、長すぎると光害地ではカブレたりすることもあるので注意しましょう。

 

総露光時間が同じなら、1回の露光時間にあまり関係なく同じような画像を得られるようです。

 

 撮影で得られた像は途中経過

撮影した写真が薄いという方が結構多いですが、スタック(コンポジット)しただけの写真がきれいに撮れていることは、天体写真では滅多にありません。

天体写真は、撮影50%画像処理50%と言われているほどなので、少しでも天体の像が出ているときは画像処理で何とかなる場合が多いです。

 

天体写真はFITS形式のファイルで保存する場合が多いですね。

このFITSファイルはファイルの大きさを見ると分かりますが、多くの生の画像データが入っており、その中から目的の僅かな天体のデータを引っ張り出してこないといけないわけです。

これが天体写真の画像処理で大切なところだと言われているようです。

 

ですから、薄くしか写ってない場合でも本当はそれで十分な場合もあるわけですから、画像処理をやってみましょう。

  【例】 画像処理前          画像処理後

 

 最も簡単な画像処理

何事も成功体験することで自信が付きますから、最も簡単な方法をやってみましょう。

最近は、ASIAIIRアプリを使っている方が多いので、このアプリで得られたFITSファイルを画像処理してみます。

(FITSファイルはFITSファイルを作成したアプリによりオフセットなどの値が違っており、この方法はASIAIIRアプリ以外で作成されたFITSファイルではうまくできないかもしれません。

また逆に、ASIAIIRアプリで作成したFITSファイルを直接ステライメージLiteなどに読み込ませると暗くなってしまいます)

 

ZWOのASIStudio をパソコンにインストールすると、その中にASIFitsViewもインストールされます。この状態ならFITSファイルをダブルクリックするとASIFitsViewが起動し画像が表示されます。

 

上の図で説明します

1番のグラフアイコンを押すとヒストグラムがでてきます。

ヒストグラムの2番の▲を右にスライドさせると画像が変化するのでちょうど良いところ

 で止めます。(▲と▲の間が狭い時は右上の🔍をクリックすると広がります)

3番のフロッピーアイコンをクリックして保存します。(デフォルトのPNGファイルが一番

 うまくいきます)

このPNGファイルをステライメージなどで編集するとやりやすいです。

 

私も処理画像が多い時などは、この方法を使っています。

簡単な割にはそこそこの画像になります。

 

慣れてきたら、通常の画像編集をやってみてくださいね。

 

 光害がひどいところでの撮影

光害がひどいところでは、まずIRパスフィルターを使って撮影してみると良いと思います。

赤外線は直進性が強いので光害が酷くても結構写ります。

その写り具合を見て、可視光線や近赤外線で写るか判断してみると良いと思います。

光害が本当にひどい場合は、赤外線で撮影したものを使用しても良いですね。

赤外線で撮ったものも画像編集でかなり変えることができます。

 

上手く行くといいですね。