HDR合成ソフトを使ってみました(3種類) | getaのブログ

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前回、ひとつのファイルだけでHDR合成もどきの処理をする機能を使ってみて、まあまあ使えたので気を良くし、本来のHDR合成ソフト(3つの画像ファイル使うソフト)を使ってみました。

仕事を辞めた直後に臨時収入があって、今年(2021年)7月に必要機材をまとめて買ったのですが、今後、臨時収入はありませんから、ソフトウェアはなるべくフリーか安価なものでやっていくつもりです。

ということで、今回もフリーのものを中心にHDR合成用のソフトを探し、使いやすそうなものを使用してみました。忘れないうちに使い方などを書いておきたいと思います。

HDR合成とは
HDRは「ハイ ダイナミック レンジ」の意味だそうで、簡単に言えば露出が
   長い、普通、短い
の3種類を用意して合成し、ダイナミックレンジの広い画像を作り出すということのようです。

天体写真を例にあげますと、オリオン座のM42ならば、白飛びしないようにして淡いところまで出るようにしようということです。

今回試してみたのは
 

1 キヤノンのDPP(Digital Photo Professional)

2 Gimp にプラグインを入れたもの
3 Fusion2.2(フリー、現バージョンは有料のようです)


上の3件以外に、HDR合成ソフトではありませんが、位置合わせソフトとして
4 HDR Alignment Tool 

も使ってみました。

1 キヤノンのDPP(Digital Photo Professional)を使う

キャノンのDPPは、キャノンの対象カメラを持っていれば無料でダウンロードできます。

(私は一応キャノンのカメラは3台持っています)

DPPは以前からインストールしていたのですが、それなりに使うのは今回が始めてです。操作性は非常によく説明書なしで使えると思いますが、簡単に書いておきます。
 

まず、DPPは最新版にしておくとよいです。
 

【使い方】

○ まず、露出の違う画像ファイル3種類を用意しておきます。

○ DPPを起動し、メニューバーで
  【ツール(T)】==> 【HDR合成ツールを起動 (ALT+Y)】
と選択すると、HDR合成ツールが起動します。

 


○ 画像選択画面で処理する画像3枚を【参照】ボタンを押して選択します。
○ 自動位置合わせをする場合は、自動位置合わせにチェックマークを入れHDR合成開始ボタンをクリックするとHDR合成が始まります。

 


○ HDR合成が終わると調整画面になるので、スライダーなどで画像調整し、終われば【名前を付けて保存】ボタンをクリックし、HDR合成ファイルを保存します。
(使用できるファイル形式は、キャノンのRAW、Jpeg、Tiff のようです)

DPPは非常に良くできていると思いますが、天体写真の場合、自動位置合わせができないことが多いようです。何回かやってみましたがいずれも失敗しました。ですから他のソフトウェアで位置合わせをしたファイルを使えば良いと思います。

(位置合わせできるソフトは以下に書いてあります)

           HDR合成の画像

 

    HDR合成画像に明るさコントラストを調整したもの



2 Gimp に Exposure Blend プラグインを入れて使う
私が今インストールしているGimpのバージョンは 2.10.28 ですが、これに
    Exposure Blend プラグイン(ファイル名 exposure-blend.scm)
を入れて使いました。


Gimpはこのプラグインを入れなくてもHDR合成をできないことはないようですが、入れると簡単にできます。
ファイルは、Exposure Blendで検索するとすぐに出てくると思いますのでダウンロードします。


exposure-blend.scmというファイルは所定のscriptsフォルダに入れる必要がありますが、私の場合、Web上に書いてあるのとは違う場所の、
  c:\ユーザー\○○○○\AppData\Roaming\Gimp\2.10\scripts
       (○○○○はユーザー名)

scriptsフォルダでした。
WebにはProgram Files の中の下の方のディレクトリにあると記載してあるものが多かったです。わからない場合は、scripts で検索してみると良いです。

このファイルをこのフォルダに入れてGimp を起動すると、使えるようになっています。

【使い方】

○ まず、露出の違う画像ファイル3種類を用意しておきます。
○ Gimp を起動し、メニューバーの
 【フィルター(R)】 => 【Exposure Blend】 => 【Blend】
と選びます。

 


○ 別ウインドウが開くので、上から順番にクリックして使用する3つの画像ファイルを選択します。上からノーマル、ダーク、ブライトの順で、終われば最下部の【OK(O)】をクリックします。すると Gimp のレイヤー表示部分に3個のファイル名が表示されます。



○ 次はレイヤー部に表示されている3個の画像の位置合わせですが、位置があっていればする必要はありません。3個のファイルの位置合わせですから2回位置合わせをすることになりますが、意外に簡単です。


○ 先ほどと同じようにメニューバーで
   【フィルター(R)】 => 【Exposure Blend】 => 【Align Exposures】 => 【Bright】
と選ぶと、ノーマル画像とブライト画像の位置合わせモードになるので、ダイアログ(画面左上)の中にある移動アイコン(矢印の十字)を選び(キーボードで【m】を押えても良い)、画像表示部分をドラッグまたはカーソルキーで位置合わせをします。

画面が最も黒い状態で位置があっています。


○ 次は同じように
   【フィルター(R)】 => 【Exposure Blend】 => 【Align Exposures】 => 【Dark】
と選びノーマルとダークの位置合わせをします。これで3枚の画像の位置合わせができました。


○ 位置合わせがすめば、
   【フィルター(R)】 => 【Exposure Blend】 => 【Align Exposures 】=> 【Off】
と選び位置合わせを終了します。

ここで、位置合わせした画像を別のソフトで使う等でファイルで残しておきたい場合は,

下の水色の部分に書いておきます。

 

○ HDR合成は、目のアイコンを使って3画像を表示し、レイヤー表示部の上部にある不透明度をスライドさせるなどして調整します。Webの記載を見ると、ブライトの不透明度はかなり下げたほうが良いそうです。(レイヤーを選択して不透明度を調整します)


○ 調整が済めば、レイヤー表示部で右クリックして【画像の統合】を選び統合します。
○ 統合した画像はメニューバーの
   【ファイル(F)】 => 【名前を付けてエキスポート】
で保存します。

(Gimpは大抵の画像のファイル形式が使えます。ただし、FITSファイルは読めますが保存するときは拡張子を 「fit」にしておく必要があるようです。拡張子が「fts」では保存できませんでした。)

 


    Gimp とExposure Blend プラグインでのHDR合成画像

この合成画像は、レイヤーをもう一枚追加して統合(合成)したものです。

追加するレイヤーは、【新しいレイヤーの追加】で追加するときにするときに、【モード】をソフトライトに、【塗りつぶし色】を背景色に設定しておきます。

こうすると画像が少し良くなるそうです。

 

【位置合わせした画像を保存する】

位置合わせ済みの画像をファイルに保存するのは少しややこしいので、位置合わせHDR合成とは別にするようにして、HDR合成の途中ではしない方がよいかもしれません。

またはプラグインを使わないでgimpの機能だけを使って行い保存した方がやりやすいかもしれません。

 

○ 位置合わせ済みの画像を保存するためには、3枚の画像が重なっていないところがあるはずなので、3枚重ねた状態でその部分を3枚同時にトリミングして削除します。


   【フィルター(R)】 => 【Exposure Blend】 => 【Align Exposures】 => 

                          【Trim Image to Overlap Area】
と選びます。

レイヤー3枚が重なって表示されるので、ダイアログ(画面左上)にあるトリミングアイコンを選び、画像外周の3枚の画像が重なっていない部分を取り除くためにトリミング範囲を指定し、【Enter】で実行すると一度に3枚の画像がトリミングされます。


○ 位置合わせが済んだファイルを別々に保存するには、レイヤー部の保存したい画像ファイル名のレイヤーマスクを【レイヤーマスクの無効化】で指定して外し、先頭部にある【目のアイコン】を使って保存したい画像のみを表示させ、メニューバーの
   【ファイル(F)】 => 【名前を付けてエキスポート】
によりそれぞれの画像毎に3回行って保存します。保存が済めば、レイヤーマスクを【レイヤーマスクの無効化】の指定を外し元に戻しておきます。

 

それ以外の方法として、保存したい画像の【目のアイコン】表示され、【レイヤーマスクの無効化】の状態で、画像ファイル名部分を右クリックしてコピーを選択【Ctrl+c】でもよい)しクリップボードに入れ、Gimpまたは別の画像ソフトにペーストしてから保存してもよいようです。

3 Fusion Ver.2.2 を使う

  (このバージョンはフリーソフトですが、現バージョンは有料のようです)
Fusion2.2は自動位置補正からHDR合成(1枚画像もできる)までできる単一のソフトです。Fusion2.2はまだWeb上にダウンロードできるところがあるようですから探してみてください。

 

【使い方】
○ ツールバーのボタンを押して、3個の画像ファイルを読み込む

  (一度に3個選択して読み込みできます。)

 

○ ツールバーのボタンを押して、位置を合わせます。

 

○ ツールバーのボタンを押して、HDR合成を開始します。

 

○ 左側に画像調整のスライダーがいろいろ出てくるので調整します。

○ 調整が済めば 、ツールバーのボタン(再生ボタン)を押してHDR合成を実行します。

○ ツールバーのボタン(ディスクボタン)を押し、結果を保存します。

 

簡単に書きましたが、使い方は、ヘルプ(英語)に詳しく書いてあるので、google等で翻訳すればすぐ分かると思います。
  (画像ファイルはJpeg、Tiff が使用できるようですl.)

 

このソフトは分かりやすく使いやすいのですが、DPPと同じように天体写真の場合、位置合わせがうまく行かないことが多いです。

ですから、位置合わせは別のソフトでする必要があります。

            HDR合成の画像

     HDR合成の画像に明るさコントラストを調整

 

4 HDR Alignment Tool Ver.2.0
上記1から3までのHDR合成ソフトでは、DPPが一番使いやすく細かい調整もできるので、まずはDPPを使ってみたいと思っていますが、問題は位置合わせだけです。
ということで、位置合わせができるフリーソフトを探していたら、これがあったということです。ただし位置合わせは手動です。

HDR Alignment Toolもフリーソフトで、WEb上で検索すればすぐに出てくると思います。
インストールも必要なく、実行ファイルをダブルクリックすれば起動します。


【使い方】
○ 起動後、メニューバーで【Open】を選択し、画像ファイルを3個読み込みます。(一度に3個指定できます)
読み込むと大きな窓が開きますが、下にある【Ok】ボタンを押すと、別画面になり、読み込んだ3画像と下に3画像を重ねた画面がそれぞれ表示されます。

 


○ まず、どの画像をマスター(普通は中間の露出)にするかチェックをいれ、明るさなどもスライドバーで調整します。

 

○ 【In】【Out】は拡大、縮小、【Fit】は画面フィット、【1:1】は拡大率100%
 【CP1】は赤丸十字が画面中央にきます。【CP2】は青丸十字が画面中央にきます。
 【FOV】/【FL】 は、【FOV】が視界、【FL】が焦点距離ののようですが、これはよく分かりません。視界の広さによる歪みを考慮するようになっているのかもしれません。

 


○標準になる星を2つ選びます。3画像ともひとつは赤十字、もう一つは青十字を標準にした星のところへドラッグして粗移動します。
【CP1】をクリックすると赤丸十字が画面中央に来るので【In】または【1:1】を押して拡大表示し、3画像とも赤丸十字を標準にした星にドラッグして細かく合わせます。青丸十字も同じようにします。


○下にある3画像重ねた画面で位置補正ができているか確認します。


○保存はメニューバーの【Save All】をクリックすると保存画面になるので【Ok Save】
をクリックすると保存されます。

 

  (使用できるファイル形式は、Jpeg 、Bitmapです。)


使用してみて
HDR合成は、高価なソフトでは簡単にできるかもしれませんが、フリーソフトなどでは位置合わせに難しいところがあるようです。

HDR合成は、西洋などではよく使われえているようですが、日本ではそれほどでもないようなので、どんなものなのか使用してみました。

 

使いやすいのは、DPPとFusion ですが、Fusionはかなり素材を選ぶようです。少し使っただけですが、それなりの素材でないと変な画像になってしまいます。

 

Gimp のプラグインは、いつも Gimp を使っている人にはいいかもしれません。

位置合わせも簡単ですし、多種のファイル形式が使えます。

 

HDR Aliganment Toolも位置合わせ専用ソフトですから、使い勝手もよくしっかりできそうですが、使えるファイル形式が Jpeg だけになってしまうと思います。(Bitmapは普通使わないので)

 

私としては、Jpeg (不可逆なので)はあまり使いたくないので

1 Gimp と Exposure Blend プラグイン、 または Gimp のみ
 で位置合わせをして、DPPで Tiff ファイルを使って、HDR合成

2 Gimp と Exposure Blend プラグインでHDR合成

でやってみようと考えています。

 

Jpeg でも構わない方は、HDR Alignment Toolで位置合わせをすると簡単にできると思います。


今回はあまり良い素材がなかったので、効果が分かりにくいと思いますが、少しだけ掲載しておきました。(よい写真ではないので、HDR合成の効果だけ見てください)

HDR合成はちょっとやってみただけですが、3枚の画像の露出具合で結果が大きく変わってくるような気がしますので、最初からHDR合成用に撮るのがよいと思います。

 

また、HDR合成だけでなく、後の画像処理をうまくやることも大切なようです。

今回は、HDR合成用のソフトを少し使ってみただけですが、HDR合成はどうやってするのか、どこが大事なのかなど、少しは理解できたと思っています。

 

少し使用しただけで書きましたので、間違っているところがあればご指摘お願いします。
 

【2021.11.06追記】

Gimpの項目で、分かりにくいところを追加し、写真を入れ替えました。