知的財産戦略 --- 特許申請は技術だけでは意味が無い! | Driving On the Earth - Part2

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今まで続けてきたDriving On the Earth の更新ができなくなり、Part2にて、再スタートです。
2台の車と3台のバイク、そしてレンタカーで将来の地球環境を考えながら地球を旅していこうと思う技術者です。 

 特許出願には、単に技術的なものから、戦略的出願と言うものまで幅広く行われる。良くも悪くもと言っておこうか。

 

 一番悪質なのが、効果が無いにもかかわらず、その製法を特許出願すると特許が取得できる!その特許番号を商品に謳い、拡販と言うかユーザーをだますような方法である。特にあるのが、燃料の分子はクラスター化しており、固まっているから燃え難いと言いたし、この塊を壊してクラスターを壊す事で燃費向上!なんて謳うものがある。この場合、そもそも、そのままでは特許取得は不可能だが、そのクラスターを壊すための処理方法とか、分散させるための添加剤の製造方法!なんていう形で特許申請する。例えば、トルマリン鉱石層を通過させて作るなんて謳う。これだと通ってしまう事がある。何度も申請し直して、ついにはそんなもの効果が無くても、誰も被害を受けないから!ってことなのかもしれない。そもそもクラスターの測定方法などない!のだから燃費向上を謳うこと自体に問題があるが、そんなものが売られている点には、疑問を隠せない。

 

 さて、これは論外として、特許取得の時、それが無いとある製品が作れない!或いは、その特許の請求項を満足しないと性能が出ない!として請求するも、それより奥の深いところには、もっと別のものがあって、実際の商品を製造するには、もう一つ他の要素が隠れている特許を申請する。すると皆それを真似てみるのだが、実際思った程の効果が見いだせない。とはいえ、この特許で従来の製品までもが影響を受けてしまうケースにまで想像できずに気が付くと皆が販売していたものが、特許違反になる!なんてこともできてしまう。

 似たようなものとして、20世紀後半にあるグリースで、皆公知だと思っていた処方を、色々な説明で新規性・進歩性を謳い、ある石油メーカーが特許を取得してしまった。何社もが異議申し立てをしても、特許取得の説明が巧みで、誰も特許化を潰せずに成立!業界では激震が走った事がある。

 

 これを逃れるための製品づくりを、大手グリースメーカーさんに色々なコンポーネントを提供し、ほぼ似た性能を出すに至る協力をしたことがある。グリースの開発も行った経験から、この事は学んだわけだ。

 

 つまり、特許には色々な戦略を含め取得する部分が無いと、価値が半減してしまうことがある。広範囲の基本特許を取得しても、人の土地の中にに家を建てる=基本特許の中に特定の特許を申請される事がある。これを、させないためには、iPS細胞の特許などは、非常にうまく作られているのが判る。また、異議申し立てに対しても、それこそ相手側への威嚇から協調まで多くの調整がなされたようだ。

 

 若い技術者の方々には、特許取得は、企業として何でもかんでも出願しない傾向にあるが、それには、戦略的知的財産保護を言う概念を持ち、弁理士の人に著るのではなく、自ら特許の核となる請求を作れるだけのビジネスセンスを持ってほしいと思う。