<鳥インフルエンザ>全国の農場立ち入りへ 農水省緊急会議
宮崎県清武町の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザと疑われるブロイラー約750羽が死んだ問題で農林水産省は12日、高病原性鳥インフルエンザ対策本部(本部長代理・国井正幸副農相)の緊急会議を開き、同様の感染例がないか全国の農場でも都道府県を通じて立ち入り検査することなどを決めた。
農水省はウイルスの型を調べているが、H5N1型など感染力が強い強毒タイプの可能性が高いとみている。型は13日にも判明する見通しで、鳥インフルエンザと正式に確認されれば、家畜伝染病予防法に基づいて同養鶏場の鶏すべてを処分するほか、周辺農場(半径10キロ以内)での移動が禁止される。ただ、当該の養鶏場で現在飼っている鶏の出荷はこれまでないため、同省は感染が広がっている可能性は低いとみている。
対策本部の会議では、全国への立ち入り検査に加え、生産団体や流通業界に風評被害を防止するよう求めていくことを確認。国井副農相は「農場からの鶏の移動自粛など、まん延防止措置はしっかりとっているのでこれ以上、広がることはないと考える。卵や肉を食べて人に感染が広がることはなく、混乱することのないようお願いしたい」と話した。
一方、宮崎県は12日午前、県内の養鶏団体関係者ら約50人を集め、県庁で緊急の防疫会議を開いた。異常がある鶏がいた場合に早期に県へ通報すること▽感染源の可能性がある野鳥との接触を防ぐための防鳥ネットを設置▽出入りの際の消毒の徹底――などを求めた。 会議冒頭、井好利郎畜産課長が「宮崎は有数の畜産県であり、甚大な影響がある。被害を最小に食い止めるため、初動防疫体制に万全を期したい」と話した。また問題の養鶏場で飼養する鶏の隔離や半径10キロ以内の17養鶏場に対しても鶏などの移動自粛を要請した。
同日午後には、坂佳代子副知事や関係部局長による対策連絡会議を開き、県の対応を協議する。【北川仁士】
◇高病原性ウイルスが原因か
鶏が大量死していることから、国立感染症研究所の田代眞人・ウイルス第3部部長(ウイルス学)は「毒性の強い高病原性ウイルスが原因だろう」とみる。高病原性ウイルスの代表格は「H5N1」型で、過去5例のうち04年の3例(山口、京都、大分)はこの型だった。
心配なのは、同じ鳥類だけでなく人への感染だ。感染した鶏を世話したり、死んだ鶏を処理する際にフンなどを吸い込むと、呼吸器を通じてヒトにも感染する可能性がある。H5N1ウイルスが人に感染した場合の死亡率は50%を超える。世界保健機関(WHO)に報告されたデータによると、03年以来、アジアを中心に264人が感染し157人が死亡している(今月10日現在)。さらに、人の体内で人のインフルエンザウイルスと鳥ウイルスが組み換えをおこし、新型インフルエンザウイルスに変異する恐れもある。
韓国では昨秋、H5N1による流行が2年半ぶりに確認されており、ウイルスが渡り鳥によって運ばれた可能性も否定できない。田代部長は「今やるべきことは、感染の封じ込め。作業者は、人用のインフルエンザワクチンを予防接種したり、抗ウイルス薬を予防的に服用するなどして、鳥からの感染防止に十分注意してほしい」という
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070112-00000040-mai-soci