トカゲが「処女受胎」、誕生はクリスマス頃か | ピクニック

トカゲが「処女受胎」、誕生はクリスマス頃か

 イギリスの動物園で飼育されているコモドオオトカゲの「フローラ」には、もうすぐ8匹の赤ちゃんが誕生する予定だ。20日に研究者たちが明らかにしたところによると、卵が孵化するのはクリスマス頃になる見込みで、「処女受胎」として注目されている。

 フローラはオスと交尾したこともなければ、オスと同じ空間で飼育されたこともなかったが、独力で8個の卵を産卵。つまり、単為生殖を行ったことになる。ほかの種類のトカゲでは確認されていたが、コモドオオトカゲも単為生殖を行うことが判明したのは最近になってからだ。この発見は、科学専門誌『ネイチャー』に発表される。

 チェスター動物園のケヴィン・ブリー氏は取材に対して、「誰も予想だにしていなかったことでしたが、現実にこのメスのトカゲはオスと接触せずに産卵し、これらの卵が受精卵であることが判明したのです。自然の力がおのずと道を見出した例ですね」と答えた。卵の孵化はクリスマス前後だろうということだ。

 単為生殖は他の種類のトカゲでは確認されていたが、ブリー氏率いるチームによると、世界最大のトカゲであるコモドオオトカゲで確認されたのは、これが初めての例だという。リバプール大学の研究者たちが、孵化する前に割れた卵3個について遺伝子分析を行ったところ、フローラがオスと接触せずに卵を産んだことが明らかになった。受精卵とフローラ、それにフローラの姉妹と他のトカゲの検査を行い、コモドオオトカゲは自家受精で繁殖できるということが確認された。

 ブリー氏は、「これらの遺伝子分析によって、フローラは受精卵の母親でもあり、父親でもあるということが確認されました。まったく驚きましたよ。単為生殖が、こんなに大きな生物で確認されたことはありませんでしたから」と語った。

 ロンドン動物園でも今年はじめ、オスと隔離されてから2年以上たつコモドオオトカゲが卵を産んでいる。このとき研究者たちは、以前にオスと交尾したときの精子が体内に残っており、それによって受精・産卵したのだろうと考えていた。だがフローラの卵についての報告を受けて、新たに検査を行ったところ、こちらのメスもオスの力を借りずに単為生殖していたことが明らかになった。ブリー氏は、「ほんの数カ月という短い間に、2つの動物園で、これまで聞いたこともなかった出来事が起こった。これはまさに前例のないことです」と語った。

 今回の発見は、爬虫類がどのようにして新たな地域で繁殖していくのかを理解する手助けになる、と研究者たちは語る。たとえば、メス1匹がある土地から別の島へと泳いで渡り、そこで独自の集落をつくりあげることができる、ということだ。

 ブリー氏は、こうも語った。「トカゲにおける自家受精を遺伝学的に説明すると、つまり、この1匹のメスが産んだ卵からかえる幼生はすべてオスのはずだ、ということです。それらのオスが成長して自らの母親と交尾する。だから、ひとつの世代の中だけで、新たな環境でも子孫を増やしていけるだけの個体数が揃うのです」

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