2023年10月1日(日) /
案内が届きましたので、聴きに行ってきました。
第1弾のシンポジウムは5月27日。それから約4か月、何か進展がありましたでしょうか。
気になります…。
羽島市役所旧本庁舎の利活用に関するシンポジウム 第2弾
本当に解体してよいのか、旧庁舎 利活用をする方策を探ろう!
日時:2023年10月1日(日) 13:30~16:30
会場:不二羽島文化センター401大会議室
参加費:無料
主催:羽島あすなろ会
後援:DOCOMOMO Japan、日本建築家協会東海支部、日本建築学会東海支部、坂倉建築研究所
会場:不二羽島文化センター:羽島市竹鼻町丸の内6丁目7番地(駐車場多数あり)
(チラシより抜粋)
今、まさに羽島市役所旧本庁舎が解体されようとしています。文化財的価値のある建物を本当に壊してよいのか、多くの市民の皆様から疑問の声が上がっています。市の財政負担を軽減して利活用するための方策はないのでしょうか。
各地の成功事例を参考にしながら市民の皆さんと一緒に考えるための企画です。
始まる前の様子です。
このあとほぼ満席になりました。
プログラム
司会:清水隆宏(日本建築学会東海支部建築歴史意匠委員会委員、愛知工業大学 准教授)
開会挨拶:林二一(愛知工業大学名誉教授・羽島あすなろ会副代表)
基調講演
「羽島市役所旧本庁舎の重要性について」
中川武(早稲田大学名誉教授、博物館明治村館長)
「上野市庁舎の保存・活用成功事例について」
滝井利彰(伊賀市文化財保護審議会委員)
「神奈川県立近代美術館鎌倉の保存改修に関する成功事例について」
山岡嘉彌(山岡嘉彌デザイン事務所代表)
「羽島市役所旧本庁舎の保存利活用に関する経緯のまとめ」
時田憲章(あすなろ会代表)
「羽島市役所旧本庁舎の保存利活用に関する評価のまとめ」
鰺坂徹(鹿児島大学元教授、DOCOMOMO Japan 副代表)
来場者とのディスカッション
「旧本庁舎を保存・利活用するにはどうすべきか」
モデレータによるまとめ
堀田典裕(日本建築学会建築歴史・意匠委員会委員、名古屋大学 准教授)
閉会のあいさつ
武田安夫(羽島あすなろ会副代表)
講演会メモ
・中川先生:建築は物として残さないと、先人の価値観など残らず消えていく。
・滝井氏
伊賀市旧市庁舎保存運動の14年前の生々しい話。
伊賀上野の坂倉準三建築群
2009/11「坂倉準三展in伊賀上野」が保存活動のきっかけ
2022/09 伊賀市「にぎわい忍者回廊」事業
岡本栄市長の執念、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導(PFI)
新築と改修をセットに、市の費用負担があること。
市民の声と専門家を集めることが大切。この両輪で粘り強く。
・山岡氏:美しさと機能美を取り戻したん内容。羽島もこのようにできればいいのだが…。
・時田氏:各地の成功事例を参考にしながら、今後のありかたを考えたい。
・鰺坂先生
羽島市旧市庁舎の特徴:そり屋根、スロープ
『「レンブラント」でダーツ遊びとは―文化的遺産と公の権利』岩波書店 (2001/2/26)
旧本庁舎の解体予算上程 (12月議会の予定)
解体を食い止めるのは今しかない
・12月市議会の解体予算を上程する予定
⇒予算が可決してからでは、解体阻止は難しい
建築学的価値並びに文化財的価値が評価されていない
・学術調査を行い、 評価すべき
・羽島市の文化財審議会審議会にかけ、評価すべき
解体する正当な理由なし
新庁舎は建設ありき 旧本庁舎は解体ありきでの決定
市民から多くの疑問が上がっている
⇒市は、説明責任を果たしていない
「私たちは、
私たちが手掛ける建築ー住宅から都市計画ー私企業のための建築から、公共建築のすべてが、人間の幸福のためのものであること、
そのためにこそ、
私たちの時代のあらゆる技術・資材が最も効率的に駆使されなければならないことを、
私たちの建築創造活動の支えとしなければならないことを、新たに確信するこのである。」
坂倉準三 1965年
・ディスカッション
壊すのは簡単であるが、近代建築は二度と取り戻すことはできない。
対話の場に『市』が出てくることを望んでいる。それには市民の力が必要。
話し合うタイミングを設けていくこと。
論点がどこにあるのか。なぜ壊さないといけないのか。
市民でもない人が、なぜ旧市庁舎の保存に口を出すのか。外から物を申していいのか。
『市政博物館をつくりましよう』残すためには使わないといけない。
・まとめ
文化財保護法
第二条抜粋(文化財の定義)
この法律で 「文化財」 とは、次に掲げるものをいう。 建造物、 絵画、彫刻、 工芸品、 書跡、 典籍、古 文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの (これらのものと一 体をなしてその価値を形成している土地その他の物 件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料 (以下「有形文化財」という。)
⇒「文化財」 は指定の有無にかかわらず 「文化財」 で あり、 羽島市役所旧本庁舎は歴史上、 芸術上、 学術 上の価値が高い 「有形文化財」 に相当します。
第三条(政府及び地方公共団体の任務)
第四条 2項抜粋(国民、所有者の心構)
文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。
⇒文化財としての説明が市民にどれだけなされているのか。
上野市庁舎の事例と似ている点や異なる点も多々ありますが、いずれにしても先の長い話になりそう。
建築は公共的存在で、羽島市民だけのものでない。そういわれても財政負担の多くを担うのは羽島市民なのでは。