2023年2月18日(土) くもり雨

福岡先生の”動的平衡”に興味を持っていて、講演会があると知りさっそく申込み。

あいにくの雨降りでしたが、3年ぶりに岐阜県博物館へ行きました。


 

令和4年度 岐阜県博物館協会 県民文化講演会
日時:2023年2月18日(土)PM 1:30〜PM 3:00
講師:福岡 伸一氏(生物学者、青山学院大学教授)
演題:生命を捉えなおす ~動的平衡の視点から~
定員:100名(要申し込み・先着順)
会場:岐阜県博物館 マイ・ミュージアム棟3階 けんぱくホール
費用:無料
主催:岐阜県博物館協会
後援:岐阜県

 

 

始まる前の会場の様子。講演中は撮影禁止!


 

(講演メモ)
・子どもの頃は虫ばかり追いかけている昆虫おたく
 自由研究は、いつも蝶の観察。蛹から羽化することが sense of wonder。(すべての子どもが生まれながらに持つ自然に対する好奇心と、美しいものや未知のもの、神秘的なものに目を見張る感性のこと)
 両親から顕微鏡をプレゼントされた。アントニー・レーベンフック 自作の顕微鏡で生物学において重要な発見。
 オランダのデルフト出身。同郷にフェルメールフェルメールおたく

 寄り道をしながら物事を学ぶことは大切。
・新しい遺伝子を発見、その名はGP2(グリコプロテイン2型)
 GP2ノックアウトマウスの実験に、莫大な研究費・時間を投入したのに、全く結果があらわれない。
 GP2遺伝子がなくとも、何か代償的な補償的な仕組みが立ち上がる。欠損を欠損でなくするようにして生命を新しい平衡状態を立ち上げる。
・ルドルフ・シェーンハイマー「生命は機械ではない。生命というのは流れだ」 
 アイソトープを使って、実際食べたものが、いつどこに、どういうふうにいって消費されて、抜け出ていくのかっていうのを測定。
・食べ物を食べるっていうのは、エネルギーを単に補給してるだけではなくて、自分自身の体を作り変えること。
 機械論的生命観では、自動車とガソリンの関係性に例え、「ガソリンの一部がハンドルや座席の一部になるのと同じ」
 1年前の私と今日の私は別人。
方丈記の冒頭「ゆく川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず」
・生命は、動的な状態にある。この考え方を、生命観の中心に据えて、この世界のあり方というのを考え直したほうがいい。
・絶え間なく動きながらも、ある種のバランスを取っているのが生命体。
 その中をエネルギーの流れ、情報の流れ、物質の流れとして、生命を捉えていくことができる。
・細胞と細胞、あるいは分子と分子は相補性がある関係。ジグソーパズル全体で同時多発的にピースの更新が起こっても、この相補性の関係が保たれている限りにおいてそれほどかわらない、というふうに、私たちの生命体は維持されている
生命には物質のくだる坂をさかのぼろうとする努力がある。アンリ・ベルグソン(1907)
生命は「エントロピー増大の法則」に抗している。シュレディンガー(1944)
 生きることは、エントロピー増大の法則に抵抗していること。
 でも、いつかは死ぬ。利他に貢献する。子孫を残す。
 何かに固執することはおろかなこと。
・動的平衡は、つくることより、いつも壊すことを優先し、絶え間なく壊され続け、自分自身が変わらないために変わり続ける、変わり続けながら全体としてはバランスを保ち、絶え間のない合成と分解が絶えず行われて、これを止めないために生物は食べなければいけない。
・Q&A
 なぜチョウは羽化した直後、雨の中にもかかわらず飛び立ったのか。
 生命は自由を求める。チョウは自由に飛ぶことができるので、真っ先にこれを選んだ。
 ここで会場の皆さんから大拍手。先生の優しさと自然への畏敬の念に感動しました。

 

会場の出入り口で、先生の著作が販売されてました。

一冊も買いませんでしたけど。ニヤリ

 

 

機械論的に傾きすぎたこの世界観、生命観というのをこの動的平衡の世界観、生命観に見直そうと思いました。

フェルメールおたくも気になります。