(つづき)
自分がうつに陥っている時は、自分がうつだということに気づきませんでした。
しんどくて、死にたくて、いつも緊張していたと思います。
毎日、頭の中で「死にたい」と考え、一人の時に「死にたい」とつぶやいたりもしていました。
ある時、ネットで情報を見たりしていたら、「もしかしたらウツかも…」と思うようになりました。
診断基準がほとんど当てはまっていたのです。
勇気を振り絞って、近所のメンタルクリニック(精神科・心療内科)を受診してみました。
話を30分くらい聴いてもらったでしょうか。「うつ病」と言われ、診断書をもらい、2種類の薬と、眠れない時用の睡眠薬を1種類もらいました。
最初は、話を聴いてもらえて、共感してもらって、通院が気分転換になっていました。
しかし、いつも薬の調整だけで、「どう考えればウツにならないか」「ウツにならないためには具体的にどうしたら良いか」などの話がなかったことに疑問を感じるようになりました。
薬を飲んだからと言って眠気だけが増して、考え方が明るくなるわけでもありませんでした。
どうしたらよいか考え、次のようにしようと考えました…
1.薬に頼らないで治す(元の良い状態に戻す)。
2.環境を整備する。
3.考え方を変える
まず、「薬には頼らない」と決めました。薬を飲んでも、脳の機能を抑制するだけだと体感したからです。
次に、環境を整備しようと考えました。
その頃は、とにかく過労の状態でした。休日でも入院中の患者さんのことが気になっていたり、やらなければならない課題が常に与えられていたりで、気持ちが休まることなく何年も働いていました。
これは「燃え尽き症候群」だと思いました。
なぜそうなってしまったか。
・自分の実力以上の無理をしていた。
・それは、「まわりに良く見られたい」という気持ちが強かったからだった。
・「本当にやりたい」と思っていたことをやっていなかった(本当にやりたいことが見えなくなっていた、または、忘れていた)。
であれば、とりあえずその職場をやめようと考えました。それまでかなりお世話になった上司ではありましたが、勇気を出して辞めたい旨を伝えました。申し訳ない気持ちもいっぱいでした。
しかし、「心の声」に従い、次の事を確認しました。
・「自分の本当にやりたいことは何か?」を明らかにする。
・心の声に素直に従った生き方をする。自分の笑顔を大切にした生き方をする。
・自分の実力以上の無理はしない(実力以上に頑張り過ぎていた)。
・「頑張りすぎない」ように頑張ってみる。
結局、前の職場を辞められるまで、半年かかりましたが、退職しました。
退職後は、気付いたらウツ症状もなくなっていました。
「ウツに薬は必ずしも必要ない!」
そう思った自分の経験から、「薬に頼らない精神医療」に非常に興味を持ち始めており、小児科医だった私は、精神科の勉強ができる病院を探し始めていました。
そんな中、「薬を使わない精神科医」という人に出会いました。
今の職場(湯島清水坂クリニック)の院長である、宮島賢也先生でした。
(つづく)