こんにちは。早慶維新塾の国語担当・青山雄一(あおやまゆういち)です。
学校で国語の時間、ふと
「なんで国語なんて勉強するんだろう?」
と思ったことありませんか?
私は学生時代よくそんなことを考えていました。
文法とかどうでもいいのに。
文章なんか教えてくれなくても読めるもん。
今、私は逆に国語を教える立場になっています。
そんな今、国語を勉強する理由を考えてみました。
【決められているから・試験にあるから】
これは、一面の真理でもあるでしょう。
学習指導要領に決まっていたら勉強せざるを得ません。
入試にあるなら、どうしても勉強しなくてはなりません。
私は塾で教えていますので、これはこれで正しい答えだと思います。
【読む・聞く・話す・書くため】
これも当然正しいことでしょう。
大人になって契約書を読むときに、皆が同じ意味に読み取ってくれなければ困ります。
新聞を読んで、一人だけ違う意味に受け取っていたら困ります。
だから、「読む」練習をするのです。
作文も同じ。
大人になって手紙を書いたけれども全く言いたいことが伝わらない、では困ります。
メールをしたけど、意味不明といわれてしまったら困ります。
聞く・話すなんて国語でやったっけ?と思うかもしれませんが、これも国語の内容です。
入試でも(国語という科目ではないかもしれませんが)、
面接を行っている学校は少なくありません。(早稲田・慶應の付属中でも実施されています)
某県の公立高校入試では、国語でリスニング試験があるそうです。
文法もこれで学習する理由が説明できますね。
「私は明日あなたからもらったものが食べます。」
おかしな文章ですね。
主語 = 私は、食べます = 述語
明日 = 食べますを修飾する修飾語
あなたから = もらったものを修飾する修飾語
もらったもの = 修飾語のはずだが、どこにもかからない。
もらったものという文節がどこかにかからなければいけないのに、孤立してしまっています。
つまり、文法的に間違っているということです。
文章が間違っているかどうかは、文法で理論的に説明できるのです。
【日本語を身に着けるため】
以上のことをふまえて。
「日本語なんて日常生活を送っていれば普通に身につくよ。」
と思っていませんか?
それがそうでもないんです。
例えば慶應付属中の入試問題を見てみましょう。
≪慶應義塾中等部 入試問題≫
先日、ある学校の教室の前で子どもたちが以下のような会話をしていました。
太郎「やばいよ。計算ドリルの宿題がまだ終わってないよー。」
花子「わたし電卓持っているから、これで今やっちゃいなよ。」
次郎「さすが花子。その切りぬけ方、かなりやばいぜ。」
お気づきのように、太郎の「やばい」と次郎の「やばい」は意味が違うように考えられます。
太郎の方は( ァ )と置き換えられる方で昔からの意味、 次郎の方は(ィ)と置き換えられる言い方で、
最近使われるようになった 新しい意味での使い方です。
さて、言葉は、「生き物」です。使う人が多くなれば、意味も変わってきてし まいます。
その良し悪しはこの際置いておくとして、
近ごろ、新聞などのマスコミで取り上げられる、昔の使い方と変わりつつある言葉が
他にもいくつか見受けられます。
●(コンビニでお惣菜を買って)
店員「お箸はご入り用ですか」
客「あっ、 大丈夫です。」
「大丈夫」という言葉は本来(ウ)などの意味で使われていたものが、
(エ)という返答のかわりに使われているところがおかしいですね。
●テレビのバラエティー番組が普通に面白かった。
ここで使われる「普通」にという言葉は本来( 4 )という言葉が使われるべきですね。
●「今のオレの発言、ちょっとイタかった?」
「いや別に」
彼は、どこか怪我をして「イタかった」わけではなく、
ここでは( カ ) という意味で使っているのでしょう。
どうですか。全てが悪い言い方とは限りませんが、中には使いたくない言い回しもあったかと思います。
大切なことは日々の生活の場面場面で、どういう表現を使うのが適当なのかを考える力を身につけることです。そのためには日ごろから良く考えてから言葉を発する習慣をつけることです。そのことがこれから君たちが生きていくうえでのコミュニケーション力を形成する ための一助となることでしょう。
1 すごく 2 結構だ 3 なかなか 4 はなはだしい
5 問題ない 6 ぶざまだ 7 あぶない 8 必要だ
9 かっこいい
≪ここまで、入試問題≫
この問題などは、まさに普段の生活で使う日本語がテーマとなっています。
この問題をどの生徒もすらすらと解けるでしょうか?
意外と間違えてしまうのが現状です。
つまり、日常生活で正しい日本語を身に着けることは思っている以上に難しいことなのです。
≪慶應義塾湘南藤沢中等部 入試問題≫
次の空らんにあてはまる物の名を、ひらがなで書きなさい。
また、その物の絵を後から選び、記号で答えなさい。なお、同じ記号を二度用いてはならない。
〈例〉遊びと勉強を( )にかける。
(答〉てんびん・ク
① 医者も( )を投げそうになったが、奇跡的に回復した。
② 悪いことをしないように、あらかじめ( )をさしておく。
③ 大接戦の末、赤組に( )があがった。
④ 名監督の( )にかなった新人俳優。
⑤ おだてられてその気になったところで( )を外されてしまった。
≪ここまで入試問題≫
このことわざ・慣用句もなかなか普段使わないかもしれません。
しかも、それぞれがどのようなものかというのを普段生活しているだけで確実に覚えられるでしょうか?
天秤などは、ほとんど見なくなってきました。
そもそも、読み書きというものは日常生活で普通に覚えられるものではありません。
毎日新聞に出ていた記事ですが、ガンビアという国では選挙の投票にビー玉を使うそうです。文字を書けない人がそれだけ多いということですね。
文字の読み書きができるということは当たり前のことでも、簡単なことでもないということですね。
結局、国語(に限らず各科目)で学んだことを普段から意識することで、
「あ、これが授業でやったものなのか!」
と気が付くことができます。
そして、実際に使うことができるようになります。
この気づきがあるかどうかが問題なのです。
それができる人こそが、国語ができる人なのでしょう。
結局、国語を勉強するのは何のためなのでしょうか?
塾で国語を勉強するのは入試のためなのかもしれません。
しかし、日常生活で様々なことを意識し、自分の世界を広げていくためではないでしょうか。
先ほど例に挙げた入試問題などは、国語を学ぶ意味について深く考えさせられる問題でした。
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