今回の追求編で述べることは、あくまでも私の経験から導き出した仮説です。
追求編第一回目では、私が現在考えている、ネットワーク機器やデジタル領域のみで動作する機器における電源環境についての考察をまとめてみます。
ネットワーク機器の電源特性を考える
ネットワーク器機は、デジタルデータを扱い、さらにそのデータの多寡がめまぐるしく動き回ります。つまり、スイッチのオンオフが頻回に高速度で内部で繰り返され、そのたびに電流量の変化が高速で変化しています。つまり、それ自体が極めて大きなノイズ源でもありますし、またアナログ回路とは基本的な振る舞いが異なっており、電流量変化が瞬時に起こるという特殊な状況にあります。
経験上、例えば、ネットワークスイッチや光絶縁装置、メディアコンバーターなどの電源に例えばFX AudioのPetti Susieの様なコイルを直列に配置して電源ノイズ対策を行ったノイズ対策器機を単独で噛ませてしまうと、音場が狭くなったり、抜けが悪くなったりする事があります。また、我が家での経験では、Top Wingの5万円のリニア電源より、大出力の1万円弱のスイッチング電源の方が音が良かったり(私の基準では)という経験もしました。
私の経験上、最も効果があるのは、スイッチングの大容量電源にTAISアダプターを噛ませた場合と、リチウムイオンバッテリー+リポバッテリー付きバルクコンデンサを使った場合です。
デジタル機器にとって電圧変動が少ないことが最も重要かも
これらのことから私が最もあり得る仮説として考えているのは、おそらくデジタルネットワーク器機にとって、最も重要な電源の特性は電流量変化に対して、電圧変動が少ないこと(頑健性)、なのではないかと考えています。その重要性は、ノイズが少ない(静かな電源)という特性のもつ利点を多くの場合上回って居るのではと思うのです。
現実世界で例えれば、非常に滑らかな道路ではあっても容易に沈み込んでしまうような道をトラックが走る場合(静かな電源で、頑健性が弱い)を想像すると、トラックが走る度に周囲は大きな揺れに悩まされ、場合によっては正常な活動すら困難になることは容易に想像できます。一方で多少荒れはあっても頑健な地盤の道(電流変化に対して電圧が変動しない電源:静かではないが頑健な電源)では、音はする物の、周囲に振動が伝わることは最小限で済みますから、多少うるさくはあっても活動そのものが制限されることは余り無いと思うのです。
その意味では、非常に良質な例えば、30Wのリニア電源よりも、100Wのスイッチング電源の方がそもそも電源のインピーダンスも低く、ステップ状に変動する器機の電流需給に対して、電圧のドロップが少なく、その事が回路全体の動作の安定性(ジッターの発生状況など)に寄与して音質が良いと感じるのではないかと思うのです。先ほどのたとえで言えば、Petti Susieのようなコイルを挟んだノイズシェーパーは、道を滑らかにするが地盤を弱めると言う働きをしています。この点がデジタル機器では余りありがたくないのです。
上記はこれまでの経験から私が考えている仮説です。私はネットワーク機器やDDコンバータなどデジタル領域で動く機器にとっての電源とはノイズを押さえ込むことよりは急激な電流変動に対して電圧が揺らがないことの方が重要なのでは無いかと考えています。

