電離層の乱れつまりFM電波の乱れによる地震予知は相当前から研究が進んでいたらしい。

石田昭氏の「父子の会話」の中でも「電気通信大の早川先生などの手法だけど、北大の森谷先生はその方法で北海道の地震なら、かなりの精度で「地震予知」ができると言ってるよね。」と指摘されていた。

 

 

私の勉強不足で、その辺のところはよく知らなかった。ネットで調べると出てくる、出てくる。

①電通大

大地震、5~6日前に「前兆」上空の電離層乱れる

電通大の研究グループが確認 2011年5月2日日経新聞

多くの地震学者が予想していなかった東日本大震災だが、その5~6日前に「明瞭な前兆」を電気通信大学の早川正士名誉教授率いる研究グループが確認していた。同グループが注目するのは地震の前に現れる大気上空の電離層の乱れ。地震学者にはない視点で独自の観測網を整え、東海地震など巨大地震の予知に成功したいと話している。

早川氏によると、大きな地震の約1週間前に震源上空にある電離層が何らかの原因で乱れ、大気圏との境界面(高度約80キロ)が一時的に低くなる。この現象は地表と電離層の間を反射しながら進む超長波電波の到達時間を正確に測ることでとらえることができる。

 

研究グループはこの方法が内陸の直下型地震の予知に有効とみて、宮崎と福島の送信局からの電波を観測してきた。加えて今年、米ワシントン州からの電波を日本で受け、太平洋上の電離層のチェックを始めていた。

太平洋上の電離層の異常が観測されたのは3月5~6日にかけて。調布、春日井(愛知県)、高知の3カ所の受信局で、電波の夜間の平均振幅が極端に短くなるという「明瞭な前兆」(早川氏)が現れていた。

3日後の3月9日午前、M7.3クラスの地震が三陸沖で発生した。「当初はこの地震の前兆だと思った。しかし、(観測から地震発生までの時間が)通常は約1週間なのに3日というのは短く、疑問に思っていた」と早川氏。その2日後の11日に超巨大地震が起きた。」

 

②京都大

「京都大学梅野健情報学研究科教授らの研究グループは、大地震発生直前に観察される電磁気学的異常を地殻破壊時の粘土質内の水が超臨界状態であることにより説明する物理メカニズムを発見しました。今まで、2011年東北沖地震、2016年熊本地震などの大地震発生直前に震源付近の電離層上空に異常が観測されたことが報告されていましたが、なぜ大地震発生直前の電離層に異常が生じるかを明確に説明する物理モデルの報告はなく、幾つかの仮説が提唱されているのみでした。

 本研究グループは、プレート境界面には、すべりやすいスメクタイトなどの粘土質が存在し、その粘土質の中にある水が地震発生前の高温高圧下で超臨界状態となり、電気的な性質が通常の水と異なり絶縁性となり、電気的特性が急に変化することで電磁気学的異常が生成することを初めて提案し、電離層への影響を大気の静電容量によりモデル化し、モデルから予測される生成電場の大きさと観測されている地震発生前の電離層の伝搬異常の速度変化が整合的であることを示しました。

今後、この研究の実証を更に進めることで、宇宙(電離層)における異常と地震発生直前との物理が結合する新しい科学の誕生が期待され、さらにはこの科学的知見を活かす事前防災システムの実現とその環太平洋地域など地震が多発する地域での普及への貢献が考えられます。

 本研究の原点となったのは、自分自身が2011年3月11日に福島で東北沖地震を経験し、その福島で考えた物理の原則『無から有は生じない』ということです。地震という大きな運動エネルギーに変換する前は、別の形でエネルギーが蓄積されていたはずで、そのエネルギーの変化自身も物理的なプロセスなのでそれは観測で捉えられるはずであるという信念でした。

今回は研究グループに参画した水野研究員のもたらした、水の超臨界状態という第三の状態というアイデアおよびその超臨界状態の再現実験での検証と、ほぼ同時期(2021年)に私自身が構築した電離層異常と電場との精密な線形応答理論という理論が結びつき、更に我々自身がその前に観測していた数々の大地震発生前の電離層の異常が偶然のノイズによるものではなく、本当の異常であることが私の中では確信に変わりました。」

 

③群馬大学

「群馬大学桐生キャンパスと前橋市にある荒牧キャンパスで、FMラジオ放送の電波を長期間連続観測した結果、観測された電波強度の異常変動と関東で発生する地震との間に関連性があることが分かってきました。本研究室では、数年間の長期電波連続観測によって得られた大量の観測データを統計処理し、地震データベースと比較検証することで、地震発生との関連性を明らかにしようとしています。今までの研究結果から、FMラジオ電波の異常変動は、地震発生の約2日前から数時間前までに発生する確率が高く、地震発生後には発生確率が低くなる傾向があることが分かってきました。電波が異常変動を起こす原因はまだよく分かっていませんが、電波の伝搬路である大気圏内の屈折率が、地震発生前には通常とは違ったものになっている可能性が考えられます。」(群馬大理工学部研究紹介)

 

これ以外にもたくさんネットに紹介されている。

一応昨日の予告通り米国のTechnology Reviewの記事も紹介しておこう。

衝撃のデータ: 3月11日の地震の前に観測された日本上空の赤外線と電子量の急激な変化

「Atmosphere Above Japan Heated Rapidly Before M9 Earthquake」Technology Review 2011.05.18

マグニチュード9の地震の前に急速に加熱された日本上空の大気

震源地上空の赤外線放出が東北大地震の前に急激に増加していたことを科学者が突き止めた。

 

 

地質学者たちは、これまで、大地震の前に報告され続けていた奇妙な大気の現象についての理解に戸惑っていた。これらには確証がなく、また、これらの大気の状態と地震の関係を物語る上での裏付けとなるデータを手に入れることも難しかった。

しかし、近年、世界中の様々な研究チームが、地震地帯に監視ポイントを建設し続けており、そして、そのいくつかの監視ステーションからは、すでに地震が発生した前後の高層大気の状態と電離層のデータを衛星に送っており、そこからのデータを入手することが可能となってきている。

2010年1月にハイチで発生したМ7の地震の前に、DEMETER宇宙船から得られたデータでは、超低周波無線信号の大きな増加を示していた。

そして、今回、NASA のゴダード宇宙飛行センターが 3月11日に日本を荒廃に追い込んだ超巨大地震に関してのデータを提示した。

このデータの結果には多くの人々が驚くと思われる。

日本の東北でのМ9の地震の数日前より、電離層全体の電子量が劇的に増加したことがわかったとゴダード宇宙飛行センターの研究スタッフは言う。そして、この電子量は地震の3日前に最大限に達した。

同時に、衛星は巨大な赤外線放出を観測した。この赤外線の放出は、地震直前にピークに達した。

これは言い換えると、空気が加熱していたということになる。

これらの観測は Lithosphere-Atmosphere-Ionosphere Coupling メカニズムと呼ばれる考え方と一致している。

この考え方は、地震の前日には、実際には与えようとしている断層の大きなストレスがラドンの大量の放出を引き起こすという考えだ。

このガスからの放射能は大規模に空気をイオン化し、いくつかの影響を与えると思われる。水分子が空中でイオンに引きつけられるので、イオン化が水の大規模な凝結を誘発するのだ。

しかし、結露のプロセスも熱を放つ、そして、赤外線放出を引き起こしている理由はこれだ。

NASA の研究チームは、「3月8日赤外線の急速な増加が衛星データから観察されたことを、我々の最初のデータが示している」と言う。

これら赤外線の放出は、電離層とその全体の電子の含有量を増加させる。そして、これは確かに、岩石圏、大気と電離層がひとつの方向として不安定にさせられるという意味を持つと思われる。

問題は、今回得られたこの証拠が、どの程度まで一般化した意見となり得るかだ。

日本で発生した大地震は、世界で起きた地震の中で最も大きなもののひとつであり、今後においても研究されるべきトップクラスの現象であり続ける。

今回のデータを最大限に活かすチャンスを作らなければ、地震研究に明日はないかもしれない。」

(引用終わり)

 

このTechnology Reviewの記事は東北大震災直後(2011)の記事だし、日経新聞に載った電気通信大学の早川正士名誉教授研究グループの記事も2011年の記事だ。そして、京都大の梅野健教授研究グループの研究はつい最近のものであり、研究成果は、2024年3月19日に、国際学術誌「International Journal of Plasma Environmental Science and Technology」にオンライン掲載された、とのことである。

こんな重要な研究もマスコミでは全く扱われない。まるで反ワクチンに対するような冷淡さではないか。今日のネットニュースにやっと梅野健教授の研究が紹介されていた。しかし、東スポ!

 

何故なんだろうか。いくつか理由が考えられる。

ひとつは定説地震学を引っ張る学者らは東大地震研究所に巣食っていて、ここが認めなければ地震学として認められないようなのだ。平田らのいるところだ。

そして過去にこんなことがあった。石田氏の著書が紹介している。(「巨大地震は解離水の爆縮で起きる!」

 

地震の際に地電流が流れる現象は最近知られたことではなく、かなり前にその変化を調べて地震を予知しようという研究が行われていたという。

気象庁気象研究所高木聖博士が地震時の電気的な変化を検知するために「無定位磁力計」なるものを考案し、地震予知の可能性をもたらすものとして期待されたのであった。

その後宮本貞夫という方(高校教諭で地震専門研究者でない)がこの高木式無定位磁力計を全国に設置して観測すれば地震予知が可能となるかもしれないと、観測網の設置を国会に陳情した。昭和34年のことだ。

しかし、これは簡単に否定されてしまった。否定したのは東大の地震研究者たちだったのである。

 

宮本先生の説明

「「地球地磁気方面」の最高権威者の人たちが、私のアイデアを認め、「これはぜひとも観測しなけばいけない。地震の専門家ではダメですが、地磁気の専門家が、ぜひとも多数観測試験をなすべきだ」と言っておるのであります。」
この文だけでは宮本先生の主張がよく理解できませんが、恐らく国会審議の中で、高木式無定位磁力計による観測が地震予知につながる可能性を縷々(るる)説明したのではないだろうか。

 

しかし、東大のお偉い地震学者たちは
「なぜ「地電流」が流れるのか、原理が不明である。そういう非科学的な方法を採用することはできない。」

と全否定したようです。つまり「素人が何を偉そうに言うか、すっこんでいろ!」ということだ。

 

その東大地震学者に対し、宮本先生は最後に次のように述べたとか。

「参考までに申しますと、「鹿野山」の地磁気観測所の一員から私のところに手紙を寄せまして、ぜひ観測したい、個人的な段階であるが、ぜひ観測したいというふうに、私の接触し得る限りにおいては非常に理解が深まっておる。
それに関連して申し上げますと、残念にも、地震関係の方々、たとえば今回の陳情書にも書いておりますが、「坪井忠二先生」あるいは「萩原尊禮教授」、いずれも地震学に関しては第一流中の一流でありますが、これに関しましては、まったく今までは少なくとも理解が少なく、これはぜんぜん駄目であるというような表現に近いことを公の席上でなされ、これが、いかに気象庁が理解をもって進もうとしても、それを阻害しておる。
このような方々の非常に不注意な発言のために、このような方法をもっと強力に推し進めたいという意欲を、仮に何らかの研究機関がもっておっても、それを表に出すことができない。非常に残念なことであると思います。」 

 

このように高木式無定位磁力計による観測が否定され、その時、地電流と地震発生の可能性が東大地震学者によって潰されてしまったのである。

つまり、そういう経緯があるので、東大地震研究所ではそのような研究はタブーになったのではないかと思うのである。

 

もう一つは、定説地震学によって強固に確立された地震学を揺るがすようなことは絶対に認められない、つまり定説地震学での地震予知はプレートが動いた、活断層に歪みが溜まった等々測地によって地震予知をしようとして政府から多額の予算を分捕っているわけで、これが否定されるような研究を認めるわけにはいかない。

なので、先に示したような電通大、京大、群馬大等々いくら大学でまともに研究しても電離層と地震の関係など絶対に認めるわけにはいかない。

その結果お偉い学者に拝跪するマスコミもへらへらと東大地震学者のつまらないかつ成果の出ない地震学を世間に広めることしか出来なくなったのではないだろうか。

全くワクチンと同じ現象だと思われる。正しいかどうか役に立つかどうかではなく、権威に縋り付き嘘でもいいつのるわけだ。だから、京大教授のFM電波の乱れで地震予知が可能だという研究も東スポでしか扱われないのだ。(東スポに失礼だが)

 

もう一つは、地震の宏観異常現象といわれるものへの拒否感、うさん臭さを感じてしまうマスコミの態度である。FM電波の乱れで地震予知が可能だというのは、しっかりした理論があっても、世間的にはトンデモの宏観異常現象の一つとみなされているのではないか。

 

Wikiより

「宏観異常現象とは、機器の測定ではなく人間の知覚に基づいて“地震の前兆”と報告される事象。主に動物の異常な行動、地鳴り、発光現象などが取り上げられ、そのほか特異な雲の出現、電気機器の故障、体の痛みなど多岐にわたる。

地震予知・地震予測の中では、観測されている地殻変動や地震活動の変化、地磁気や地下水の変化、地下由来の微量元素(ラドン等)の検出などの測定値に表現される物理的な事象と対比される。

 

最近地震雲について、気象専門家が「雲を目で見て、地震の影響を判断するのは不可能」と言ったというニュースが出ていた。

「「震災の前には地震雲が出るんだって。前兆とか怖い」

「3本線の地震雲出てた」

 宮崎県沖を震源とするマグニチュード(M)7・1の地震が8日に発生し、気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を初めて発する中、SNSでは地震の前兆を示す「地震雲」があるかのような投稿が相次いでいる。だが、専門家は「科学的根拠はない」と指摘し、デマを拡散しないよう注意を呼びかけている。

 「雲を目で見て、地震の影響を判断するのは不可能」。そう断言するのは、映画「天気の子」の気象監修を務めた雲研究者で、気象庁気象研究所主任研究官の荒木健太郎さん(39)だ。」

 

地震雲が地震の前兆かどうかよくわからない。ここで言えることは世の中に伝えられる地震の前兆現象いわゆる宏観異常現象が味噌糞一緒に否定されていることだ。

宏観異常現象のなかには全く根拠がないものもあるかもしれないが、全て否定していいものなのか。

 

そういう風潮の中では、FM電波の乱れで地震予知が可能だというのも、昔の東大地震学者が「なぜ「地電流」が流れるのか、原理が不明である。そういう非科学的な方法を採用することはできない。」というように、非科学的なものとして追いやられるのではないか。

如何に科学の研究が進歩しても東大地震学者が認めないものを気象庁が認めるわけにはいかないから。そして気象庁が認めないものはマスコミも認めない。だから、地震予知の可能性として重要なものも世に出てこられないのではないのではないか。

 

しかし、これらの研究は定説地震学を基にしてFM電波の乱れで地震予知をしようとしているようにみえる。京大梅野健教授研究グループの研究はちょっと違うようだが。

そのFM電波の乱れ、電離層の乱れを起こす原因を石田氏は地震爆発論で説明するのであるが。

それについてはもう長くなったので次回。