能登半島地震の次の日に、驚くべき大事故が発生。羽田空港でJAL機と海保機が衝突事故を起こし炎上したが、乗客乗員379人全員が脱出した。客室乗務員の機敏な行動によって成し遂げられた。これは海外でも奇跡的と称賛された。

まさに奇跡的だ。

 

 

しかし、もう一つの奇跡がある。(困った奇跡?なのだが)

というのは、そもそもの事故原因を見ていると(様々に分析されているが何が真の原因かよく分からないが)、管制と海保機とのやり取りや滑走路警告灯が故障で未修理のままとか海保機のトランスポンダ最新式未搭載とかで事故が発生すれば必ず重大事故につながるというのに、何とお粗末なことか、管制もシステムも。

そんなにもお粗末な中で航空機が離発着していたなんて驚くべきことじゃないのか。

よくこれまで羽田空港で事故が起きなかったものだ。こんなお粗末なやり方でも事故が起きなかったこと自体が奇跡だったのではないか?

 

様々なユーチューバーが事故原因の分析をしているが、問題点をキチンと指摘しているのは深田萌絵氏の動画だ。

これに関して、ブログ「Social Chemistry」が2回に亘って分かりやすい記事を書いているので、リブログしました。

Social Chemistry氏の記事の中で、今回の事故について深田萌絵氏による指摘を引用しつつ次のようにまとめている。

「航空機での旅客輸送等は大規模であり、しかも本質として非常に危険な業務であるので、①飛行機(操縦士と操縦システム)、②空港(滑走路とその装置群)、③管制(管制官と管制システム)全体で、安全を確保するシステムが出来上がっている。

従って、今回の事故の場合、一方の飛行機の機長がたまたまミスをしたとしても、全体としてのフェイルセイフ(失敗防止)機能がまともなら、事故は防止された可能性が高い。

深田氏は、上記①②③の合計4カ所(飛行機2機、飛行場、及び管制塔)で本来協奏的に仕事がなされていたなら、一箇所のミスがあっても事故を防止できた可能性が高いので、その何処に原因があり、フェイルセイフ機能が何故働かなかったのかを明らかにしなければならないと言っている。

しかるに警察は現在、海保機機長の業務上過失致死罪をゴールに定めて捜査していると報道されており、それはこの種の航空機事故の再発を防止する意味からも遺憾だと話す。」

 

Social Chemistry氏は、「今回の航空機運航上のシステムにおける重大な幾つかの欠陥」と題して深田氏の指摘を次のように書いている。

「これについては、最初に紹介した深田萌絵氏の動画で詳細に検討されている。それを以下に簡単に紹介する。

 ・海保機は最新式の位置情報を発信する装置(最新式トランスポンダ―)を搭載していなかった。トランスポンダ―は飛行機の位置情報をGPSで検出し、毎秒発信する装置である。(補足1)

・羽田のこの滑走路に本来備わっているべき滑走路警告灯が故障をしていたという。(補足2)それが修理されていなかったということである。この件は、国際民間航空条約で定められている航空情報(Notice to Air Mission;NOTAMと省略)に記載されている。ただそこには補修の予定などは記載されていないようだ。

海保機は、位置について目測を誤ったとしても、トランスポンダーが正しい位置を管制塔やJAL機に知らせていた筈ではないのか? また、管制塔も海保機が誤って滑走路上に居たのなら、滑走路警告灯でそれを知り得たのではないのか? これら二つが成立しなかったことの責任を、国民に公表するべきだ。

何故、国土交通省は管轄下にある羽田飛行場の滑走路警告灯の故障などの補修を放置したのか?」

(引用終わり)

 

この深田萌絵氏による指摘に対して、Social Chemistry氏は「子守康範(元毎日放送アナウンサー)チャンネル」による深田批判を紹介しつつ、反論している。

 

 

子安氏はこの2点についても何ら問題ないとしている。その子安氏に反論してSocial Chemistry氏は

「警告灯の件、NOTAMに出したのだから手落ちは無いとおっしゃるが、それが働いていたら日航機が海保機の存在に気付いた可能性があるし、海保機も位置を間違えていると気付いた可能性がある。羽田のような離着陸の頻度が高いところでは、急いで修繕する必要があったと思う。」

 

まず海保機が何故滑走路に進入したかだが、海保機のミスなのか管制官の指示ミスなのか今のところ不明である。個人的には管制官のミスの可能性がかなり高いのではと考える。

つまり、自動車運転と異なり、航空機の場合機長は最新の注意を図って操縦しようとするので、ポカミス、つまり進入指示もないのに「ついうっかりと」滑走路へ進入したとは思えない。海保機には機長の他に副機長もいたはずだから、二人で同時にポカミスする可能性は極めて低いのではないか。

(ホリエモンの動画を見ていると機長の思い込みミスも考えられるとコメントしている。それでも滑走路への進入許可があったかどうかがポイントになる。)

 

残るは管制官の指示ミスである。管制官は混雑する離着陸を緊張感をもってさばいているはずだが、情報がふくそうしてくれば指示ミスの可能性が生ずるはずだ。そのための補助としてフール・プルーフ、フェイル・セイフ機能が備えられていると思われるが、海保機には最新トランスポンダが設置されていなかった。トランスポンダは海保機の位置を逐次ディスプレイに表示させるもので、それがなかったので管制官は海保機の動きを捉えられなかったかも。(その後の報道では海保機は赤く表示されていたとのこと)

 

これらの管制官批判については、子守康範氏は管制官を擁護して海保機をいつまでも監視など出来るわけがない、と突き放す。

 

Social Chemistry氏のブログ記事より。

「…子守氏は、全くの暗闇でも今日の羽田では飛行機が離着陸できるようになっていると言っている。それにもかかわらず、飛行機が多いので、ずっと海保機の飛行機を見続けている訳ではない。管制官が言ったとおりに海保機が動いてくれると信じていたから、まさか滑走路まで進んでいるとは思わなかったなどと言っている。」

 

私に言わせれば、仮に子守氏の言うことが事実だとしたら(「管制官が言ったとおりに海保機が動いてくれると信じていたから、まさか滑走路まで進んでいるとは思わなかった」)重大インシデントはしょっちゅう起きている可能性があるし、管制官はそんなこといちいち「知らんがな」といっても仕方がないと言っているのと同じで、子安氏は事故について関心がないということになる。

問題は事故を防止することにあるのに、子安氏は管制官はそこまでやってられない、やれというなら管制官は200人は必要だとうそぶくのだ。

200人増員しろと要求しているのでなく、事故が起きないためのシステムなり工夫はないのかという指摘なのだが。

 

先にも言及したホリエモンの動画はかなり参考になる。

 

 

例えばなぜC5で海保機は待機していたのか、通常民間機はC1(一番手前)で待機するのだが、海保機は地震の救援のための飛行なので優先離陸を許されて滑走路途中のC5で待っていたとホリエモンは解説している。

そして、そのことが海保機長の動作に誤解を生じさせたのではないかと。

その他も参考になるコメントが多く提起されていて有益だ。

 

不幸な偶然やミスがいくつも重なって事故が起きたわけだが、あり得ないようなミスならまだ許せるが、いろいろ聞いていると事故に簡単につながる可能性のほうが大きいことがいくつもありそんなのだ。つまり、そんな危険と隣り合わせで薄氷を踏む思いで航空機の離着陸が毎日何百回となく行われているとしたら、これまで重大インシデントが起きなかったこと自体がまさに奇跡というしかない。

 

この事故で乗客乗員全員が助かったことについて、日本航空の元客室乗務員は「奇跡ではない」、訓練のたまものだと語っていたが、空港離発着時の無事故が奇跡で支えられているとしたら、怖くて飛行機なんぞに乗れなくなる。元客室乗務員の「奇跡ではない」というように空港離発着で事故がないことは「奇跡ではない」と自信をもっていってほしいものだ。

 

余りにも大きな災厄が起きた場合、真の原因追及はそっちのけで、まず保身つまり責任逃れをしようと動く。そして都合の悪いことは証拠隠滅すら平気で行う。個人でなく組織を守るためであるなら、かなりの理不尽な隠ぺい工作も平気でやる。

アメリカはその典型例だろう。バイデンの不正投票工作、1.6議事堂乱入事件等々だが、これらは隠ぺいというよりトランプ排除のための陰謀だからちょっと違うかもしれないが。

責任逃れのため事実の捻じ曲げを組織的に行うことで真の原因追及は不可能になってしまう。

今回の羽田空港衝突事故はそうあってほしくないものだ。

 

(追伸)

忘れていた。

日本航空の飛行機が炎上しているとき、空港の消防車のいかにもお粗末だったこと。

消したいのか消したくないのかなんだか消防車数台が来て、消防士数人が水をちょろっとかけていただけだ。

わずか1台の消防車のみが消火している。これじゃ消えないな!

後でテレビは40台も消防車が集まって消火に当たったと言っていたが、 NHKは全部映し出していた。

40台も集まったのは大分飛行機が炎上した後だ。

つまり、空港内消防体制がいかにもお粗末だったかということが露呈した。

これも大いに問題にしないといけない。