バフムートで激戦が続いているようで取るか取られるかで象徴的な戦闘地域になっているようだ。
天王山の戦いか203高地かスターリングラードか、被害が甚大でも死守しないといけない地域となっている。
ここ数日、ワグネルのプリゴジンが、弾が無いぞ、戦闘できない、撤退するぞとロシアのトップを悪し様に罵っている動画が何度となく公開されていた。
それを見ているという、やはりロシアも弾薬不足で攻撃もとん挫したのかとか、ロシア軍内の内輪もめが起きており、ロシア軍の組織もおかしくなっているなと思わせるのだが、地上波で流されるニュースはほとんどプロパガンダの類だから、このプリゴジンの動画もそのまま受け取ることはできないと感じていた。
そんなとき、いつもの「大手メディアからの洗脳に騙されない為のブログ」と「マスコミに載らない海外記事」にバフムートの戦いについての信ぴょう性のある解説が載った。
まずは「大手メディアからの洗脳に騙されない為のブログ」から。
「ワグナーのプリゴジン氏は巧みなアクター?宇軍はビデオに釣られてバフムート南に進軍して大損失」(2023.5.14)
これを読んでプリゴジンのもやもやが氷解した。そうだったのか、と。
ここには次のように書かれている。
「傭兵企業ワグナーの代表、エフゲニー・プリゴジン氏はかなり強烈な個性の持ち主のようで、彼が前線近くから投稿する様々なビデオやメッセージに多くのメディアが釣られてしまっています。
ある時は「砲弾が要求した量の30%しか届いていない。砲弾があれば失わずに済んだワグナーの兵士を多数失った。」と20数体の遺体が並ぶ前でロシアの国防大臣のショイグ氏や参謀総長を務めるゲラシモフ氏の2人を罵倒したり、「このまま砲弾が来ないなら5/9の戦勝記念日まで戦って5/10にはワグナーを撤退させる」と投稿、その後、「無制限に砲弾を供給するとの約束があったので残って戦う」というビデオを投稿するなど、メディアの側が彼の投稿に振り回されている状態です。
軍隊経験がなく元々レストラン事業を営んでいたビリオネアでありながら、最前線にいるワグナーの兵士たちの少し後ろで 命の危険をも顧みずビデオを投稿し続けるプリゴジン氏は 前線近くに行かないショイグ氏とゲラシモフ氏が嫌いなのか、よく彼ら2人を非難していますが、彼のやり方は この「特別軍事作戦」を支持していたりワグナーを応援しているロシア人の間でも非難の声が上がっているようです。
ワグナーが砲弾不足 というのは バフムートで戦っているウクライナ兵士も そのような兆候はないと言っていますし、砲弾不足ならば、高いビルが立ち並んで本来防御側に有利なはずのバフムートでワグナーが進軍できていないはずですが、ほぼ毎日進軍していますので、砲弾不足はないはずです。
味方からも賛否両論あるプリゴジン氏のビデオメッセージは おそらく「西側メディアやウクライナ軍を騙す為の演技だろう」 という説と、「軍経験のない素人(プリゴジン氏)が前線近くで本当に正気を失っているのでは」という説がありますが、私も どちらが本当なのかは分かりません。
実はワグナーは ロシアの諜報機関である、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)が設立したもので、プーチン大統領と親密になったプリゴジン氏が そのGRU付属のワグナーの代表へと指名された ということです。ですから、ロシア大統領の報道官のペスコフ氏がワグナーのプリゴジン氏のことを質問されて、「前線からビデオでSNSに投稿している"個人"がいるが、ワグナーはロシア軍の一部」だと答えている とのことです。
ですから、ワグナーの兵士たちは 事実上、ロシア軍の司令官の命令で動いていて砲弾も供給されているのであって、軍経験のない代表のプリゴジン氏が指揮しているのでも何でもない というのが実情です。
そのようなワグナーの成り立ちを踏まえて考えると、あえて前線近くにいる必要のないプリゴジン氏がわざわざ危険を犯して前線近くに行って色々なビデオをSNSのTelegramに投稿する というのは 代表の彼が「メディア戦略」を担当しているのではないか というふうに私は思いました。もちろん、そのプリゴジン氏の「メディア戦略」の中には 大手メディアやウクライナ軍を騙す、心理戦や情報撹乱も含まれています。
その例として、ロシアでの戦勝記念パレードが終わった翌日の5/10から、ウクライナ軍の「反撃作戦」が始まったのですが、この反撃作戦の中で 明らかにウクライナ軍がプリゴジン氏のビデオに騙された と思われる戦闘がありました。
プリゴジン氏は5/12に「バフムート郊外の南部からワグナーの兵士を撤退させてその後を正規のロシア軍部隊に引き継いだら、ウクライナ軍の反撃が始まった途端にロシア軍が逃げた。全員だ!」と怒りのSNS投稿をしました。
そのようなプリゴジン氏のビデオを ウクライナ全力応援の西側メディアが取り上げないはずがありません。すぐに拡散されて「ウクライナ軍がバフムートの一部を取り返した」とニュースになりました。しかし、運河の東側まで撤退したロシア軍がそこで待ち構えており、ウクライナ軍を運河の西側に入ってきたウクライナ軍に壊滅的な打撃を与えた というのがその後の展開です。
上の写真の赤い線(省略)がロシア軍の動き、青い線(省略)がウクライナ軍の動きです。
ここを守っていたワグナーが撤退して正規のロシア軍に変わった途端に少数のウクライナ軍が攻撃してロシア軍が死傷者ほぼなしの状態で白い線のところ(運河の東)まで撤退
→プリゴジン氏がロシア正規軍の弱腰の撤退に対して怒りのビデオ投稿
→ウクライナ軍兵士が上の地図の狭いエリアにさらになだれ込む
→運河東に建設されたトレンチや近くの森に潜んでいたロシア軍に攻撃されて多数の死者を出す ということが起こっています。
この例では まさにプリゴジン氏のビデオによって「釣られ」て、ウクライナ軍が作戦に参加した千数百人のうち500数十名を失うという大損害を出したということであって、ロシア軍から見れば プリゴジン氏の行動は 結果的にメディア戦略が上手くいった事例と言えるのではないでしょうか。
(引用終わり)
シェルリさんの書くように、プリゴジンは戦地における「メディア戦略」の担当者であり、ウクライナ軍及び英米は、まんまと騙された、罠にはまったのだということです。
英米からすれば、ウクライナ軍がかなりの損害を被っているので、ロシア軍が弾が無く困っているという情報はとっても嬉しい情報なのです。だから、きちんと確かめもせずにその情報に乗って作戦を展開してしまった。そして被害を更に大きくしてしまったわけです。
いつものウクライナ戦争のことになるとバカになる「農と島のありんくりんブログ」を見てみます。
これはアメリカの情報しか依拠していませんから、もろにプリゴジンに騙されたようです。
「…あ、そうそうキミ(プーチン)の友人のブリコジンが、まだ約束の10%しか武器弾薬が来ていねぇぞ、もう壊滅だぁとバフムトで喚いていますよ。
「[11日 ロイター] - ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏は11日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムト周辺でワグネル部隊が追い詰められており、ワグネル部隊が多大な犠牲を払って占拠した拠点が失われていると述べた」 (ロイター5月12日)
(中略)
そんなこと(「戦勝パレード」)をやっている間に、プーチンが「スターリングラード」だとかってに決めたバフムトでは、ロシア軍の主力部隊の撤退が始まったという未確認情報も上がってきました。
[10日 ロイター] - ウクライナ軍部隊は10日、東部ドネツク州の要衝バフムトの前線地帯からロシア歩兵旅団を撃退したと発表した。ロシアの民間軍事会社ワグネルを率いるエフゲニー・プリゴジン氏はロシア側は撤退していると表明しており、ウクライナ側はこれを裏付けるものとしている。
ウクライナのシルスキー陸軍司令官も、ウクライナ軍の反撃の結果、バフムトの一部でロシア軍が最大2キロメートル後退したと明らかにした。ただ、詳細は明らかにしなかった。
バフムトに多くの戦闘員を投入しているワグネルを率いるプリゴジン氏は9日、ロシア軍がバフムトから退いていると表明。「第72旅団が3平方キロメートルを失った。ワグネルは約500人の戦闘員を失った」と述べていた」
(引用終わり)
農と島のありんくりんブログ氏はまだウクライナ軍が勝っていると本気で思い込んでいるようです。
「人々に騙されていたことを理解させるよりも、騙す方がよほど簡単なことだ」(マーク・トウェイン)
ありんくりん氏は簡単に騙されたのですね。
もうひとつマーク・トウェインの言葉をありんくりん氏に捧げます。
「厄介なのは知らないことじゃない。知らないのに知っていると思い込むことだ。」
次に「マスコミに載らない海外記事」に紹介された「Strategic Culture Foundation バフムートの戦いの終わり?」という記事を引用します。
「バフムートの戦いは過去80年世界が見たことのない最も激しく忌まわしい血まみれの戦いだ。
ほんの一年前までバフムートは普通の旧ソ連ウクライナの地方都市として無名で無為な生活を送っていた。(中略)
2023年に早送りする。「状況はキエフ政権に支配されていないドンバスの他の都市とほぼ同じだ」と従軍記者イゴールは報じている。最初の激しい砲撃が起きた5月まで、バフムートの状況は比較的平和だった。8月のある時点で、この都市に向かう全ての道路をロシア軍が前進し始め、大部分は当時民間企業ワグネルの兵士だった。この都市での直接の戦いは2022年11月中旬に始まり、今年初めワグネル軍は、ワグネル軍の側面を守り砲撃支援もする正規ロシア軍による支援を受け始めたとイゴールは報じている。
「バフムートの戦いは、過去80年世界が見たことのない忌まわしく血まみれの最も激しい戦いだ。戦いの双方がこの戦争地帯に投入した部隊は、この都市の戦前人口を上回る。したがって関与する兵士の数、その技術能力と専門能力と、ウォロディミール・ゼレンスキー率いるキエフの政治指導者が公に言っている重要性を考慮すると、バフムートの戦いは一地方都市の範囲をかなり超えていると言える。」とイゴール・ダムジャノビッチは視聴者に語っている。
バフムートの戦いが確実に終わった時にのみ紛争の双方が死者や負傷者の数をより正確に推計できる。しかし約50日前に、ウクライナは毎日三桁の要員を失っているという大まかな推計を欧米メディアが報じた。この悲惨で激しい戦いで死んだウクライナ人の数は軽く20,000人に達し、それを超える可能性さえある。適切で信頼できる情報源イゴール・ダムジャノビッチは、バフムートの戦いでのロシア損失はウクライナの損失の二分の一か三分の一だと推計したことがある。それが攻撃作戦であることを考えると、統計的には大成功と見なせるとイゴールは説明する。
ウクライナにとって大問題なのは、正規軍の7つの独立旅団と通常の領土防衛軍とは別に、バフムートの戦いのため、彼らはSBU(ウクライナ保安庁) ALFA(アルファ部隊、ウクライナ保安庁指揮下の対テロ特殊部隊)、ウクライナのエリート特殊部隊、国境軍、残った旧ネオナチ・アゾフ大隊、いわゆる外人部隊の傭兵も派兵していることだ。ウクライナで誰もが認める英雄の地位にあった2014年と2015年のドンバス紛争でのエリート部隊の高官や退役軍人の多くが永遠にバフムートの泥の中にとどまっている。
バフムートの戦いは、ザポリージャとヘルソン方面からのウクライナ軍トップ部隊と旅団を破壊し、長い間喧伝されている反攻のためのウクライナ軍の能力を確実に弱め、反攻は九分九厘延期されたようだ。今後の更なる進展によっては、バフムートの戦いはロシア・ウクライナ間の最も重要な戦いとして記憶されるかもしれない。
(中略)
バフムートの戦いは事実上終わっていると現場から50キロ離れたところに拠点を置くセルビア人従軍記者イゴール・ダムニャノビッチは考えている。ワグネル軍は中央部を支配しており、最も重要な戦略的施設や西部の残りのウクライナ軍は作戦上または事実上包囲状態にある。それが何を意味するか説明しよう。軍事包囲とは避難と供給ルートが敵による絶え間ない砲撃下にあることを意味する。そこで疑問が生じる。ウクライナ反攻の延期、ウクライナ軍最高部隊の破壊、スラビャンスクとクラマトルスクへの将来の前進条件の実現以外に、バフムートの戦いでの勝利からロシアは何を得るだろう。
バフムートの戦いの終結は民間軍事企業ワグネルとロシア国防省間の完全な調整が確立するおかげで、ロシア軍に更に前向きな影響をもたらすだろう。以前からの様々な誤解の後、弾薬とミサイル使用と配備に関する国防省基準をワグネルが無視していることと国防省の標準的な意思決定システムの間で妥協がまとまったようだ。一方ワグネルはロシア国防省の権限をある程度受け入れ、ロシア国防省はワグネルの現状を受け入れたようだ。
関連する話題で、かなり長い間喧伝され続けているにもかかわらずウクライナ反攻は、まだ起きてないとセルビア人従軍記者ミオドラグ・ザルコビッチがドンバスから直接報じている。だが反攻は5月12日に予定されているようだ。5月2日もキエフ政権にとって「選択肢のうち」だったことをザルコビッチは明らかにした。ある時点で何らかの形でウクライナ反攻が画策されたとしても、キエフ軍にとって決して容易なことではないと彼は述べている。確実に彼らの計画通りには進まないだろうし、欧米主流マスコミが報じているようには行かないだろうとザルコビッチは記事で言う。そしてキエフの「勇敢な戦争英雄たち」は5月2日の反攻を発表したが、天気予報で「大雨」だったためキャンセルしなければならなかった。「5月2日には一滴の雨も降らなかった」。
結局、現代の軍事装備は気象状況に大きく影響されることはないとミオドラグ・ザルコビッチは確信している。
戦争の結果を決定的に決めるはずの大反攻のような重要なことを何ヶ月も延期するはずはない。おそらく15日に起きるはずだと言うエフゲニー・プリゴジンは際立っている。ミオドラグ・ザルコビッチは、それはウクライナ軍を罠にかけるロシアによる軍事戦術だと前向きです。彼はプリゴジンが何らかの形で公衆への演説に適用しているように見える「カラフルに劇的な」方法に基づいて結論を導き出す。
全体として、ウクライナは反攻を延期し続けており、ウクライナ最高幹部連中さえ自身の計画をもはや確信していない可能性がある。(悪名高い大雨はさておき)欧米主流マスコミさえ以前欧米から送られた計り知れないほど膨大な量のウクライナ兵器をロシア軍は攻撃し全滅させるのに成功したと報じている。反攻はないか、少なくともウクライナは反攻をするふりをするだろうとミオドラグは考える傾向があるが実際の攻撃はないだろう。先週エネルゴダルやクリミアや他のいくつかの都市を訪問した後、ロシア防衛線はクリミアでさえ実に驚異的で「ヘビー級」防衛線だとザルコビッチは確信している。これは地球上最も強力な防衛線で、現時点では世界のどんな軍隊も突破できないと彼は大胆に言い切っている。
ウクライナの反攻開始については、さまざまな見方が出ている。ウォロデミル・ゼレンスキー大統領は10日、BBCなど欧州の公共放送局に対して、時期尚早との見方を示し、「(手持ちの兵器でも)前進し成功できると思う」と説明。「しかし多くの人を失うことになる。それは受け入れられないと思う。だから待つ必要がある。まだもう少し時間が必要だ」と話し、西側諸国が提供を約束した武器の必要性を強調した。」
(引用終わり)
反抗するぞ、とゼレンスキーが叫んでももう無理なのだ。しかし、英米はプロパガンダでしか「勝つ」ことができない大本営発表ばかりしているから、逆に本来の動き(つまり停戦交渉)ができないのである。
だからウクライナ軍にやれることはテロだけ。しかし、ロシア領内でのテロは、ロシアを怒らせ多大な報復を招くだけなのだ。無駄なテロなどやるべきではないのだ。
G7が広島で始まる。
G7のトップがウクライナ戦争についての真の戦況を知っていれば、どのように停戦交渉をするかが最大の議題にならないといけないのだ。
しかし、そんなことは絶対話し合われない。平和都市広島で、戦争拡大の話をみんなでするんだ。核をどのように使ったらよいか、とか。
原爆資料館で広島の被災者の展示を見るとのことだが、彼らはこの広島被災者を下手をすれば、ロシア国民に重ね合わせるかもしれない。つまり、核ミサイルをロシアに打ち込めば、広島の被災者のようにやっつけられるんだが、とか。
岸田という男は、原爆が落とされた都市で戦争拡大の話をするために世界のトップを呼び込んだ。まさに喜劇を演じようとしている岸田だが、それこそ一番の悲劇というものだろう。
恥を知れ、岸田!
日本人なら、もう戦争は止めようじゃないかと提案しろ!