昨日、ERで誰かが、

「Hi, Dr.Smith!」


と私に間違えて声をかけました。
スミス先生はまだ新人のとっても若い女の子なんです。

とはいっても、アメリカでは 一般大学を卒業後、4年制のメディカルスクールへ進みます。そして、研修が、科によっても違うのですが3-6年くらいかかりますから 全部終わってひとり立ちしたときに30歳を超えているという例がざらなんですね。

 は、 すかさず、


「若い女の子と間違えてくれて、どうもありがとうね!」

と言いました。



そうしたら、それを聞いたいじわるなやつが、

「Hi, Mary!」で すって。

メリーは、ERで働く70歳くらいのおばあさん秘書。

杖を突いて歩いています。

私はこいつの首を絞めてやった。ハハハ。



ところで私が 私が第104回医師国家試験を東京で、老体に鞭打ってこの2月13,14,15日に受験したのですが
その時に、右となりが 東大6年生でした。幼少の頃からのお受験組みで
勉強ばっかりしていたそうです。それで、大学に入ったときにはじめて
自我が芽生えたとか。
それで、その彼の右となりは、どう見ても40歳くらいの女性でした。
その東大生とは隣りあわせなので、そのおしゃべりが自然と耳にはいったのですが・・・
彼女はなんと、努力の塊のような方なんですね。
今回、国試は昨年落ちたので2回目のチャレンジだそうで、しきりに



「今回もむずかしい、年々難しくなっている」

とぼやいておられました。


その彼女、ふつうの大学を卒業後、一大決意をして、医学部を再受験することに。
それで、パートをしながら、受験勉強を続けました。
何年も何年も浪人したそうですよ。

そうしたら、この若い現役東大生が、

「いったい何年、浪人したんすか?
あんた、今いくつ?」

ですって。

私は、できることならこの子のそでをひっぱって、


「女性に年齢を聞くもんじゃない」

と言ってやりたい気分で一人赤面していました。

昨年から今年にかけて 第104回の医師国家試験の受験勉強をしていたのですが その中にこんなハンディな情報がありました。
みなさんも、ぜひ計算してみてね!

さあ、電卓の準備はよろしいですか?

国家試験の過去問によると理想体重は、


身長x身長x22だそうで、

私の場合なら

1.64x1.64x22=59.1712

 れ で、総カロリーは、

運動が少なければ、理想体重X25、運動が多ければ、X30

で計算するそうです。

私の場合なら

59X25=1475カ ロ リーとなりますね。

意外と低いので、びっくり。

外で、たとえば、ちょっとマクドのハンバーガーのセットを食べたら
すぐに1000カロリー は オーバーします。


私も反省してカロリーを押さえるようにしようと思います。

いかがでしょうか。

今、キッチンでメキシカンのお手伝いさんの作った

メキシコ風フィッシュスープを食べてきました。
タラと、いろんな野菜をトマト味で仕上げてあるおいしいスープ。
私は、野菜がしっかり 食べられれば幸せです。

お手伝いさんも、子供のリクエストがそれぞれ違うので、苦労しているみたい。


彼女は、住み込みで私のところで、もう8年以上働いています。

 


今日は、魚をどのように料 理するのか でもめたようです。
結局雪ちゃん(7歳の娘)のリクエストが勝って、スープになったというわけ。
下では、まだマーク(10 歳の息子)がぶつぶつ文句を言っています。
 魚のフライが食べたかったそうなんです。

それで、明日は、フライになるそうで、お手伝いさんから


「サラダにするレタスを買うお金ちょうだい」


と言われました。



 日のメニューを考える苦労がないと言えばないけど、
昔のように家事を全部こなしながら、

そして小さな赤ん坊を抱えながら医学生をやっていた頃の

サーカスのような芸当はもうで きません。



このときの苦労がなければ、今はないのですが、正直言って

もう二度と繰り返したくない人生の一ページです。


その当時の夢のひとつに、


「いつかは きっと誰かに家事をやってもらえるようにがんばること」



というのが入っていたよう に思いました。

 んと、お手伝いさんには感謝です。

私の一番最初の印象は、セプシス(敗血症)によるショックでした。
血糖値がアレだけ異常に低いのは、ほんとうにおかしい。
何か他にいやなことがおこっているのかも・・・たとえば盲腸が破裂しているとか・・・

次々に、バッドニュースが続きます。
実際の正式な血糖値は、たったの4でした。
そんな異常低値は、今まで見たこともありません。

その他の結果は
ナトリウム116、BUN67、カリウム7.6です。どれもこれも異常な数値です。

そして、白血球は、18,700.そして、ヘモグロビンとヘマトクリットは、それぞれ、6.5と19です。
(正常値は11と33くらいですから、半分くらいしかないかなりの貧血状態ですね。)

そうそう、母親が今朝、黒い便を観察していたのを覚えていますか?
つまり、お腹のどこかから出血しているとみてほぼまちがいなしですね。

私は、緊急に腹部造影CTを撮ることにしました。

すると、なんと

肝腫大と肝臓の周りに腹水が発見されました。

ALT、AST(肝臓の酵素)は、それぞれ24,000を超える数値だとラボからパニック値の報告がありました。
正常の何千倍もの値です。

原因は今のところはわかりませんが、肝臓の機能がシャットダウンしている状態です。

搬送先のPICU(小児のICU)の、PICU専門医からのリクエストで、
状態がかなり悪いようなので搬送前に挿管してほしいとのこと。

私は、RSI(Rapid sequence induction(急速連鎖誘導))を使っての気管挿管を試みました。

まずは、Atropine(アトロピン、ムスカリン作動性受容体) を、1cc注入。
血管迷走神経発作を予防するためです。
そして、Succinylcholine(サクシニルコリン、短時間の筋弛緩薬)を、10mg注入。
これによって全身の筋肉が短時間完全に弛緩します。
赤ん坊がぐったりしたところで、気管挿管です。
赤ん坊が抵抗したり、口がこわばって開けられないときなどは、このRSIを使うと
挿管がとても楽です。
さて、一発でうまくいきました。
そのあとは、Midazolam(ベンゾジアピン)で、人工的に眠ってもらいました。

そして、まもなくPICUのトランスポートチーム(特別に訓練された看護師とレスピラトリーセラピストで
編成されたチーム)があらわれ、この原因不明の
肝不全を起こしている赤ん坊を、20分先のPICUへと、搬送していきました。

その後、PICUで、容態が急変し、さまざまな蘇生がおこなわれたそうで、
翌朝、医療用ジェットで肝臓移植のできるサンアントニオの小児専門病院へと搬送されたそうです。

そして、なんとこの子、肝臓移植のリストにのったわけなんですが、
2-3週間後に奇跡的に回復!!!
今では、名前も肝臓移植リストから完全にはずされ、回復に向かっていると、風の便りに聞きました。

肝臓の生体組織検査の結果は、
なんと アセトアミノフェンの過剰服用ということだったそうで、
ほんと、意外な展開でした。

アセトアミノフェンを過剰服用して、意図的に自殺する人はいますが、
あれは、過剰なアセトアミノフェンが、肝臓を完璧に破壊してしまうから死ねるんですよね。
ただこの場合、肝臓は徐々に破壊されるので、苦しんで、苦しんで死んでいくんですよ。

母親が知らず知らずのうちにアセトアミノフェンを過剰に与えていたのかどうか、それは???ですが・・・

何はともあれ、我が蘇生チームに乾杯!


ER到着後、5分以内で超低血糖値に気付き(これは、自慢じゃないけど私のお手柄)
すばやく補正できたことは、すばらしいことでした。
もし、そのまま低血糖値に気付かなかったなら 
確実に、意識不明から死への道をたどっていたことでしょう。
蘇生チームのすばらしい点滴確保も含めて、
1分たりとも無駄のない蘇生でした。

お見事!!!



トリアージュナースのアンが、トリアージュからとても重症の赤ちゃんを
自分の手で抱きかかえて コードブルー用のベッドに連れて来ました。
私は、ちょうど、コーヒーでも一杯と ラウンジの方へ歩いているところで、
アンとその赤ん坊に出くわせました。

21:23 母親が、自分の車でやってきて、ERの受付のウィンドウにかけよる。

      母親が、サインインするかしないかのうちに、非常事態を察したトリアージュナースのアンが
      エントランスのロックを解除。

21:24 赤ん坊が、コード用のベッドに。

21:25 いち早く、酸素が与えられ、モニターが装着され、
      コードベッド担当のナースのトムと、トリアージュナースのアンが、
      点滴のラインをスタートさせるかたわら
      私は、この1歳の男の子の命の危機を察する。
      顔面蒼白、瞳は一点に固定。体は硬直状態。
      救われることにまだ正常な呼吸あり。パルスは、125、
      サチュレーションが98%であることを確認。

21:25 ”Normal sailine bolus 400cc, wide open.Accu check,please!
      CBC,CMP,Amylase,Lipase,Blood culture X 1,Also ISTAT now!”
     (400ccの生理食塩水を、点滴ワイドオープン、血糖値を測ってください!
      CBC,CMP,アミラーゼ、リパーゼ、血液培養 1セット、それからISTAT 今すぐお願いします。)
     

21:26 ベッドサイドでは、看護師長が 母親に病歴を聞き出している。
      どうやら、5日前に、下痢と嘔吐が始まり、それ以来もう3度もかかりつけの
      小児科医を訪れている。
      今朝、便が黒くなったので、かかりつけの医師に電話をしたが
      相手にしてもらえず、水分もほとんど一日とっていない状態だという。   

21:27  重症の赤ん坊の点滴の確保は難しいのが常であるが 
      トムと、アンのおかげで一発で確保!見事だ。
      ERテックのケンが、叫ぶ。
      「先生、血糖値が10、たったの10ですよ!!!」
      (人間の血糖値は通常60以上で、10では生きていけません。
       この赤ん坊を救うには糖を今すぐ注入する必要があります。)

      「D10(10%のグルコース(糖)液)はある?」と私。

      「D50(50%のグルコース液)なら、すぐここにありますよ。アンプルの半分だけ注入しては?」と、トム。

      私は、赤ん坊の血管は細いのでD12.5(12.5%のグルコース液)が最大限点滴注入
      できる濃度なので、一瞬ためらいましたが、他に方法がありません。

      「いいでしょう。D50のアンプルを半分お願いします。」
      (コメディカルの意見やアイデアを聞くのも大切です。蘇生チーム、そうチームワークです!)

21:28 赤ん坊のレスポンスがある。硬直した体がみるみるうちにやわらかくなって、
      瞳がもはや固定していない。この赤ん坊、低血糖から痙攣をおこしていたのだった。

      「おかあさん、ほら、あなたの赤ちゃんきっとよくなりますよ!」と、アン。

さて、いったいこの子、それからどうなったでしょうか。
意外な展開が待っているとは?

蘇生チームもびっくりのお話が続きます。
      

近年、小さいお子さんの精神病が、増えています。
そういう場合、ふつうは、投薬の種類や量を調節して
観察するというのが、基本治療のようなんですが、
時々、こんなにたくさん薬、飲まなくちゃいけないの?なんて思うこともしばしば。

先日は、まさに小児の精神病患者のオンパレードでした。

ケースその1

8歳の男の子。

注意欠陥多動傷害(ADHD)、自閉症(AUTISM)、そして躁うつ病の既往あり。

主訴は、眠れない、食事を取らなくなったというもので、
なんと、まる二日寝ていない。

飲んでいる薬は、なんと

risperidone (抗精神病薬),

seroquel, (抗精神病薬)

depakote ER (抗てんかん薬)

concerta (ADHD治療薬)

それに、benadryl(アレルギー治療薬)も・・・

お薬だけで、おなかがいっぱいになるから 食事がすすまないんじゃないの??

ケースその2

10歳の男の子。

ADHD、自閉症の既往あり。

主訴は 膀胱尿管逆流を調べるため 検査に行った帰り
突然 ひきつけを起こしたというもの。ひきつけの既往は過去にない。

自閉症とひきつけはよく見るコンボです。
約3割が 思春期に初めて原因不明のひきつけを起こす、なんてスタディもあるくらいですから。
覚えておきましょう。

彼は、血液検査と脳のCTをとりましたが、ネガティブでした。

ケースその3

9歳の男の子。
なんか、今日はみんな男の子ですねぇ。

ADHD、自閉症、そして躁うつ病の既往あり。
飲んでいるお薬は、

methylphenidate patch (ADHD治療薬の貼り薬)

melatonin (メラトニン)

主訴は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これがな、なんと!

「シリアルを、食べたい」と言ったら、お母さんが
「もう食事したんだから、あとにしなさい」、と言ったそうなんです。

そうしたら、その子、台所の引き出しから果物ナイフを持ち出し、
お母さんを、ナイフで刺そうとしたそうなんです。

そして、「自分の中に、悪魔が住んでいる!」
と、ここのところ 繰り返しているらしいんですね。

この間も、幼い妹の首にナイフをつきつけたそうで・・・

この患者さんは、まっすぐ精神科の小児病棟に行っていただきました。
私の手には負えませんから。





今日は、意外とたくさん患者を診ましたけれども、
比較的すんなりといきました。

最後の3人は、流産で、かわいそうでしたが・・・
流 産、けっこう多いんですよね。

そのひとりは、もう4度目の流産ですって。
告知のあと彼女、ちっとも表情を変えませんでした。

もう一人 は、最初の妊娠で、赤ん坊が中で死んでいる状態。
さすがに、彼女は、泣いていました。
それぞれのドラマですよね。

最後の方は、私が内診をしている時に 流産した妊娠10週目の小さい胎児を
膣から先がリング状になっているカンシで、取り出さなければいけませんでした。

「先生、私の赤ん坊、見せて。」

と、取り乱すように訴える患者さん。

シャペロンをしてくれていたERテックが、

「やめた方がいいんじゃない。もっと苦しくなるから」

と、その患者を抱きかかえてやさしくかたりかけていました。

時々、そう いう人の不幸に巡り合って、感情が冷め切っている自分に
驚く時があります。人の死に対して、冷静すぎるほど感情が抑えられている。

どうな んでしょうか、こういうのは。

そういえば、この間、躁うつ病の患者で、とても若い女の子が、「そう」の頂点にいて、
ERで、叫びまくっていたんです。

私の患者では なかったんだけど、前を通りかかったら、

「あんた、フィリピン人?」

と聞かれました。

それで私は、

「ちがうよ、私はメキ シカン」

と冗談で返したら、

その後前を通るたびに

「ヘ~イ!メキシカンナース!こっちへ来い。」

だって。それも大声で。

今 日は、精神病のおじいさんが、私がカルテを書いていると、
部屋を抜け出してやってきて、私のそばに座ってこういいました。

「君、僕のガー ルフレンドにそっくりだ。愛してるよ!」

ですって。

私も気だけは確かにいたいものです。

ここのところ、やたらと忙しいです。

エルパソは砂漠なのですが、それゆえ 昼間と夜の温度差が激しいです。

それで、仕事にでる夕方はかんかん照りで、車のエアコンをオンにして高速を飛ばすんですが、
帰りは明け方の4時、5時で、今度は反対に車のヒーターをがんがんにかけて、
さすがに高速は車がほとんど走っていませんから
クルーズコントロールを時速60マイル(時速100キロちょっと)にセットして、帰ってきます。

日本ではちっとも使えなかったクルーズコントロール、実に快適です!

というわけで、温度差の激しいせいか、体調を崩す人が多いから、ERが忙しいのでは?
とにらんでいるところなんですよ。

さて、終身刑というのは、日本でもありますが、
それに、年数がつくことってありましたっけ。

今日、刑務所から搬送されてきた囚人、実は終身刑120年というつわものでした。
いったい、どんな罪を犯したのでしょうか。
殺人を犯したことは事実でしょうが、いったい何人???
家族の話によると、19歳の時に罪が確定して、それ以来ずっと刑務所暮らし。

ずいぶんやせ細って、年もかなりいっているようにみえるのですが、カルテをみると、彼はまだ28歳。
けれども、右腕の骨肉腫が、全身に転移していて、実は彼はホスピスの患者なんですね。
お気の毒ですが、この様子では、もう先は長くないことが、一目でわかるような状態でした。
なんとも複雑な気持ちでしたね。

周りのスタッフは、きっと罰が当たったんだとしきりに・・・

私にできることは、モルヒネを打ってあげること、ただそれだけでした。


24歳女性。

主訴は、腹部に不快さを感じるとのこと。

「先生、最近、なんかお腹全体がなんか奇妙な感じなんですよね。
なんか、腸かなんかがぐるぐるよく動くの。
痛いとかいうわけじゃないんですけどね。
最近ちょっと太ったのかお腹も少し大きくなったような感じだし・・・」

というわけで、この女性まあ、よくしゃべることしゃべること。
世間話に花が咲きます。

「ところで最終月経はいつ?」と私。

若い女性の患者を見たら、妊娠を疑えとはよく言ったものですからね。

そうしたら、3月の終わりとのこと。ちゃんと、5日間月経があったそうなんです。

ふうむ。だけど、おなかはかなりふっくら、やせた体に似合わない。

そう、まだ妊娠を疑っている私は、

「妊娠の可能性は?」と聞いてみました。

そうすると、今までおしゃべりしまくっていたこの女性、

「先生、ここだけのお話なんですけどね・・・」

と急にトーンを落としました。

「先生、実は今年の1月の終わりに、メキシコへ渡って、赤ちゃんおろしちゃったですよ。
そのあとさすがにセックスしていないから、妊娠なんかしていませんよ~」

あらまあ!
なんという告白でしょうか。

私は、それでもまだ妊娠を疑っています。
なんていうのかなあ。長年の勘ですね。

そうしたら案の定、尿の検査で妊娠反応陽性とでました。

超音波で、胎児の大きさを測ったら、な、なんと、24週に入ったところ。
つまり 6ヶ月のおめでたということになりますね。

彼女は、この場におよんで、メキシコでぼったくられたことにはたと気付いたのです。

エルパソは、メキシコとのボーダーに位置していますが、安い医療や、医薬品を求めて
わざわざ国境を越えてメキシコに流れるケースがあとを絶ちません。
彼女は、堕胎を求めて メキシコのとあるクリニックへ行ったわけだったんですが
麻酔で眠っている間にお金だけぼったくられて 実は堕胎は行われなかったことになりますね。

先日、こんなケースもありましたよ。
メキシコで、前立腺切除術を受けて、前立腺のないはずのない患者さん、
実はまだ 前立腺が存在していたんですね。
これまたすごいぼったくり!
あきれてものがいえませんでした。