いつも、午後5時に 仕事に入って夜中の3時まで働いているので、
お昼過ぎに起きます。
その時間に、おはよ~ということになるわけなんですが、
もう何年もそういう生活を続けていると すっかり体も慣れてしまいました。

一番いけないのは、そういう夜の仕事をしている人が
お休みの日に ふつうの人の生活に戻そうと、朝と昼をひっくり返すことだそうです。
もし、お休みの日だけ、朝型に変えると、心臓に負担をかける結果になって
長生きできないんですって。
そんな話、New England Journal かなんかで読んだことがあります。

今朝、というか いつものようにお昼過ぎに起きてきた私。
お手伝いさんが、タイルの床を掃除していて
床が濡れていたのに気づかず、

すってんころりん!!

まず、右の腰で、床に着陸、そして頭も・・・
お手伝いさんと、彼女の娘さんに助け起こされて
気が付いたら左の手首がじんじん。

その瞬間思ったことは、「は、早くERに行かなくちゃ。レントゲンとCT...」

で、ちゃんと歩けたし、手首も一応動いたので よかったよかった。
ただし、あちこち痛むのは、しかたがありませんね。

それで、今日の最初の患者さん、
2歳の女の子。
40度の高熱と嘔吐を繰り返していたそうなんですが、
これがなかなかのきかん坊のおてんばさん。

最後に喉を診察しようと、舌圧子で口を開けようとしましたら
怒ったこの子、私のお腹をキック!!

その瞬間思ったことは、「ち、腸が破裂したかも。誰か、助けて~」

昼間の事故で腰は痛むは、手首はじんじん、おまけにお腹まで・・・

それにもめげず、診察を続行。
なんとか、口を開けるのに成功したのですが
嘔気を催すことになってしまい、彼女のつばが私の顔にべったり・・・

検査の結果、彼女は連鎖球菌に感染していることが判明。
そ、そうなんですよ。私は、そのバクテリアの直接攻撃を受けたことになります。トホホ・・・

きわめつけがこれ。

精神変容状態で検査中の年配の女性。
一人で歩ける状態ではないはずだったんですが・・・

ちょっと担当の看護師が目を離した隙に
この女性、ベッドからむっくり起き上がったではありませんか。
私はこの女性の様子を遠くから見つけ、
あわててかけよろうとしました。
ところが、腰の痛みから、走れません。お腹は痛いし、手首はじんじん。
あっという間に この年配の女性、ベッドから降りて立ち上がろうとしています。
でも、私は彼女が精神変容状態で、まともに歩けないのを知っています。
た、たいへん!
何とか駆け寄った私は、その女性を支えようとしました。
痛めた腰と、じんじんする手首でです。
その瞬間、彼女は、床に黒色のタール便を漏らしたのでした。
私は、そのタール便の海の中でまたまた、すってんころりん!



こんな危険な職場はもうたくさん、と真剣に思っているところです。






この自称妊娠28週の42歳女性、産科の病棟に着きました。
産科病棟のナースが、モニターを接続します。
赤ん坊の心音と、子宮収縮の様子をモニターするためです。

28週にしては、ずいぶんはらぼてで、汚い患者だわねぇ、と思ったそうですが
そこは、プロフェッショナル。
てきぱきと、モニターのベルトを装着していきます。

ところが、いくら待っても心音がキャプチャーできません。
患者さんは、硫酸マグネシウムの効果からか、リラックスして
ときおり ぐ~ぐ~いびきをかいています。DASH!

何日お風呂に入っていないんだろうか。
まるで、ホームレス。

そこへあらわれたのが、オンコールの産婦人科医。
ポータブルの超音波のプローブを手にしています。
流れ星
やったー!神の手の到着だ。どうか、この患者さんと赤ちゃんを助けてあげてくださいな。
HM
先生は、超音波のプローブをいきなり離して、こう叫びました。

「彼女、妊娠なんかしていないよ!
お腹は腹水だらけ。 早く内科の先生に連絡して!!!」

診断ー肝硬変と、腹水
    アンモニアレベルの上昇による精神変容状態と、痙攣


あとでわかったことですが、この患者さんアルコール中毒のホームレスでした。
きっと、赤ちゃんほしかったんでしょうね、いつか。
救急車(EMS)の無線が入ります。

「42歳の女性、痙攣発作をおこしているところを 通りで通行人が発見、通報。
現在、痙攣はおさまり、やや混迷気味ですが バイタルサインは、ほぼ正常。
妊娠28週とのこと、5分で到着します。」

到着後、この女性、また痙攣発作をおこし始めました。

ふつう、病院の規則で、20週以上の妊婦さんは ERをバイパスして、直接 産科病棟に送られ、
産婦人科医の診療を受けます。

ところが、痙攣発作中のため一応はERでその治療をしなければ産科病棟には送り込めません。
妊婦さんの痙攣というと、子癇等の可能性が高いわけです。
子癇というのは妊婦さんにとっても赤ちゃんにとってもとても危険な状態なんですよ。
だからいち早く治療しないと。

というのも患者さんの意識が痙攣中はないので、
おまけに家族も同伴していないので 
もともとてんかん持ちかどうかも聞き出すこともできません。

救急隊員によると、救急車で搬送中、彼女が、妊娠28週で、
おなかの赤ん坊のことをすいぶん気にしていたということ。

そりゃあ、そうよね。
診たところ、おなかも28週らしくふっくらしています。
でも、なんか身につけているものが汚くて、何日もお風呂に入っていない感じ。

ということで、酸素吸入をしてあげて 硫酸マグネシウム(子癇の治療薬)を注入。

まもなく、痙攣はおさまり、彼女は産科の病棟へと搬送されました。
めでたし、めでたし。

と、こうなるはずだったんですが・・・・


1月の始めのことです。

フライトパラメディックのビルは、2月のスケジュールを渡されて、
ふと7年目の結婚記念日をすっかり忘れていたことに気が付きました。

しまった!ちゃんとお休みをリクエストしておくんだった。

そう思うか思わないうちに、ビルは携帯を手にしていました。

「トニー、申し訳ないんだが、2月5日のフライト、替わってくれるわけにはいかないかな。」

トニーは、ビルの3年先輩で、フライトクルーの長を勤めています。

トニーは結婚記念日のことを聞き、二つ返事でフライトスケジュールの変更を承諾しました。

それから、ひと月・・・

2月5日の早朝、ビルは、トニーに念押しの電話を入れスケジュールの変更を確認。
それが、最後の会話になろうとは、思ってもみませんでした。

その日のドクターヘリに搭乗していたパイロット、フライトナース、そしてフライトパラメディックのトニーは
マクレガーレンジに消え、二度と帰ることはありませんでした。

その同じ週、雪のちらつくエルパソの高速道路10号線で、
事故を起こして、車に閉じ込められて動けなくなった老人を見つけた
若手のナースのマギーは、自分の車をとめて 事故にあった車にかけよりました。


やっとのことで、老人を車からひきずりだしたところ
雪道をスリップした大型のトラックがマギーと老人を引き離しました。

老人は、かろうじて助かりましたが、マギーは残念ながら二度と戻らぬ人となりました。

人命を助けるとおとい使命を授かった人々になぜ、神は冷たかったのでしょうか。
先日、黒猫ちゃんの赤ちゃんに AAP(American Academy of Pediatrics)から出版されている
5歳まで使えるとてもいい育児本を送ってあげようと、郵便局へ行ったときのお話。

「書籍郵便で、おねがいしま~す。」

すると、郵便局員のおじさん、

「あ、あんた 先生だよね。え~と、デルソール病院だっけ。」

私は、この町エルパソの西の方に住んでいますが、職場は、高速を30分飛ばしたところにある
東の端の病院なんです。エルパソは、意外と大きいんですよ。
だから、私のこと、あんまり知っている人はいないんですけどね。

「え~、どうして知ってるの?」 と私。

おじさんによると、

「先生に、息子が足を悪くした時に2度もお世話になったんですよ。」

そして、このおじさん、列を作って順番を待っているお客さんに向かって、こう叫びました。

「みなさん、聞いてください。
ここにおられるのは、名医の、ドクターママ。
息子の足を2度も治してくれました。
なんと、息子、おかげさまでまだ歩けますからね~!!

みんな、大笑い!にひひ

なにこれ?じょうだん? ま、おもろいおっさんでしたけど、めっちゃ恥ずかしかったです。
にゃー
最近 ブログを通じて知り合った黒猫ちゃん。女の子

実は、Googleで、’メディカルスクール’でググっていましたら
偶然黒猫ちゃんのブログを発見。目

http://ameblo.jp/dr-kuroneko/ 

そして、まるで一昔前の自分を見るようなそんな思いが走馬灯のように・・・

彼女、ブログを見ればわかりますが、日本の高校からアメリカへ留学、
そして念願のメディカルスクール(アメリカの医学校)へと進学し、現在3年生です。

そこまでなら、そういうケースもないではない。日本人の医師は、アメリカでも
けっこう活躍されていますからね。

ところが、彼女の場合は、ちょっと 状況が違います。

実は、昨年の秋にかわいい赤ちゃんがめでたく誕生。
現在乳飲み子を抱えての医学生生活なのです。

振り返ってみれば、この私も・・・・

私は、日本初の女性航空管制官として 11年運輸省(現在の国土交通省)に勤務後、
今の主人(現在USA政府内科医)と知り合い 渡米しました。
すぐに、子供が二人(そのうちのひとりは重度の身体障害児です)生まれ、
その小さい赤ん坊を抱えてメディカルスクールへ。

メディカルスクールの3年目に、3人目の赤ん坊が生まれ、
レジデンシー(研修医)の始まったその7月に 4人目が・・・
アテンディング(認定医)になったその年のクリスマスイブに、最後の赤ん坊が授かりました。

そんな私ですから、小さい赤ん坊を抱えて医学の勉強をすることは 
並大抵の努力ではできないものであることをよくよく知っています。

ベル
そんな彼女が、今回、アメリカの医師国家試験の
1番目の試験を突破しました!!!


アメリカの医師国家試験は日本のものと違って全部で3回あります。

今後とも、ぜひぜひ応援してあげたいと、思っています。



あるお父さんが、血相を変えて 泣き叫ぶ小さい女の子を腕に抱えて 
ERの受付のウィンドーをノックしています。

パー
受付のナースが、その子の小さな小指の先が
血まみれになっているのを確認すると
すばやく エントランスのドアのロックを解除しました。

お父さんは、

「助けてください! お願いします!!」

トリアージュのナースがどうしたのかと聞くと、
実は・・・

この泣き叫んでいる1歳の女の子のお母さんは、
ただ今5階のガン病棟に入院中。
若くして、子宮頸がんにかかり、
発見された時にはもうあちこち転移していて 
いろいろ手をつくしたが今夜がやまだろうということ。

臨終が近い中、この子、ドアの近くで、遊んでいました。
ところが、見舞い客が、お部屋のドアを閉めた時に
この子の小指がなんと、挟まってしまったんです。

そんな事情を聞いたトリアージュのナースは、
8年前に息子を白血病で亡くしていることもあって、
同情の涙をこらえて、私のところへ助けを求めにやってきました。

小指の先は、ほんとうに、皮一つという感じで、つながっていました。
空いている部屋に招きいれ、レントゲンをオーダーするかたわら、
縫合の用意をお願いしました。
そして、ANCEFという抗生物質も、薬局に緊急オーダーです。
トリアージュのナースや他のスタッフのおかげで、
到着後、なんと、30分以内に
レントゲンから、抗生物質の注射、指の麻酔(ディジタルブロック)、
洗浄、縫合、スプリントの装着をすませることができました。
あきらかな開放骨折でした。

メラメラ
急げや、急げ!

お母さんの枕元に早く帰ってあげて!!!

そんなみんなの思いがつたわったのでしょう。
ご臨終には、間に合ったそうです。

心からお悔やみ申し上げます。あせる


zxz

MRSA(市中MRSA)のまとめ


1.  化膿性の皮膚疾患の患者を診たら、 MRSAの疑え。


 


2.  問診で、MRSAの危険因子の分析をすること。

  たとえば 同じような感染症にかかったことが以前にあるかどうか、

  家族は?仕事場では?


  つまり過去に繰り返し 皮膚に膿瘍をわずらっていないかどうか。そしてそのような症状を繰り返している家族や仕事場の同僚に接触していないかどうか。職業上MRSAの保持者と接触するような立場、例えば医師、医学生、研修医などは危険度が高いのは言うまでもない。



 


 


3.  診察では必ず膿瘍やフルンケルの可能性を探ること。


 


4. MRSAによる感染症は皮膚にとどまらず、壊死性筋膜炎、壊死性肺炎、敗血症ショック、硬膜外膿瘍などに及びうることをよく認識していること。


 


5.  膿瘍は、まずは 切開すること。切開しなければ治らない可能性がある。



 


6.  膿瘍が存在するかどうか確かでない場合は 超音波や、CTをとること。

 


 


ER訪問#2 五日目

爆弾



救急車で担ぎこまれたこの患者は、今回は39度の発熱とともに、首の痛み、呼吸困難、嚥下困難、四肢の麻痺を訴えた。

緊急MRIが、施行され、なんと、C1-C6にかけて大きな硬膜外膿瘍が見つかった。


緊急手術が行われドレナージされた膿瘍からはMRSAが見つかった。



原因は 最近受けた疼痛専門医による硬膜外ブロック(硬膜外に麻酔薬を注射して痛みを止める)であったことが後ほど判明した。

しょぼん



現在、彼女は呼吸を気管切開に頼り、日常生活のほとんどを、介助を通して行っている。




そして、医療訴訟、現在進行形であるという。

ヒミツ



このケースは、患者にすでに首の慢性関節炎による痛みが存在し、一見 その痛みの憎悪とみなされても仕方がない状態にあったこと、激しい痛みのために神経学的な診察が十分できなかったこと、硬膜外ブロックを受けていた事実は ER訪問1日目の問診であきらかにされていなかったことなどなど・・・かなり難しいケースであり、と同時に学ぶことが多いケースであると言える。



今日は、アメリカで、実際に起きたケースをご紹介します。

 

ある中年の女性が、ERに首が痛いと、やってきました。

彼女は首の関節炎の既往があります。

半年ほど前にとったMRIにも、首のC4(4番目の骨)に、変形萎縮がみられるとのレポートがあり、この首の痛みは慢性的なもので  町の疼痛管理の専門医にかかっています。その他に、喫煙歴20年から来る慢性閉塞性肺疾患もわずらっていて、高血圧と不安障害のための薬も毎日服用してい ます。

 

ER訪問#1 一日目

 

40歳女性。首の激しい痛みを主訴にやってきた。

普段服用している痛み止めのヒドロコドン(麻薬)が効かなくなったという。

かなりの痛みに首の診察を完全に行うことはむずかしかったが

神経学的には ほぼ正常とみなされた。10mgのモルフィネの投与後、痛みはややおさまり、かかりつけの疼痛の専門医に、一週間以内 に診てもらうようにとの指示とともに、患者はうちへ帰された。