映画の中で 伊野によって偽造された医師免許状が出てくる場面がありましたよね。

看護師が、それは伊野によって書かれたものだと 警察の前ではっきり認めます。


私は、日本の医師免許証なるものを 一度も拝んだことがありませんので

おそらく 卒業証書に近いもののような感じなのかなあと想像しているのですが。


さて、日本の医師免許には 有効期限がありませんよね。

一度手にいれれば、重大な法律違反などがない限りは取りあげられることはないと解釈しています。




ところが、アメリカの医師免許は 州によっても違うのですが1、2年に一度更新しなければいけません。そのたびに バックグランドチェックされて、訴訟を起こしていないかとか、いろいろたいへん。 少しでもひっかかると免許の更新はできません。更新のたびに 10万円くらいのお金は軽く飛びますしね。




さて、本題の映画批評なんですが、日本では偽造の医師免許状で ほんとに医師になりすませるもんなんですか??

少しは、履歴書をたどってどういう先生だったか調査するのがふつうだと思うんですけど。




アメリカでは 病院を変わるごとに その病院で働き出せるまでに最低2,3ヶ月待たされます。まず、膨大な応募書類を提出。




その中には最低3人の最近まで一緒に働いた医師の住所と電話番号を含めます。その3人には病院の査察部門がコンタクトを取って どういう先生なのかを聞き出します。




そして、提出された書類の真偽を一から確認します。

医師免許はもちろんのことですが、医学校の卒業証書なんかもです。




たとえば、医師免許などは 発行された免許局に直接お伺いを立てて

本物だと言う証明を取りますし、卒業証書もおなじことで、大学側にお伺いを立て 本物だと言う証明を取ります。そういうことを、1から100まで繰り返して すべてを確認しないと その病院から 診療特権というものをもらえません。


その真偽の証明のやりとりはすべて郵便でなされるため 2,3ヶ月軽くかかるわけなんですね。



これは、どんな病院でもクリニックでも同じこと。だから偽者になりすますことはアメリカでは不可能に近いんですよ。




この映画の村長さん、もうちょっとどういう先生か調査してからやとえばよかったのにね!





Dear Doctor

あんなにすばらしい 村の人々から神様のようにあがめられていたあなたが
突然失踪しました。人口1,500人のほとんどが老人という そして町から2時間も離れた無医村に 夜昼なく村のために尽くし続けたあなたが・・・

そのあなたが 実は偽者だと知った時、私はとても驚きました。

でも、老人が呼吸ができなくなって逝きかけたとき 家族が、お寿司をパクパク食べていたと思ったら具合が急に悪くなったと言ったのに 喉にお寿司を詰まらせた可能性があるとはすぐに気が付かなかったあなたを見ていて おかしいなあとは思いましたし、事故で担ぎこまれてきた青年の時も同じ。
(ほらあなたが 息の途絶えた老人を抱えて”ようがんばったなあ“と背中をたたいたら ひょっこり赤貝が喉から出てきて 老人が生き返ったでしょう。)
腕の怪我に気をとられて 緊張性気胸の可能性に気が付かなかったとき、もし看護師さんの機転がきいていなかったら あの青年の命はなかったことでしょうね。
(胸を強打したあと、片肺の呼吸音が聞こえないときは 何はともあれ 胸に針を刺して空気を抜く、そうしないと心肺機能障害から患者さんはあっという間に
亡くなってしまいます。でもあなたはそれを知らなかった。)

村のみんなから本当にありがたく思われて 逃れたくても逃れられなくなっていたんでしょう。うそが、たったひとつのうそが まるで火だるまのごとくおおきくなってしまったんですね。

あなたが捕まった日、私たちはなんとあなたに声をかけるんでしょうか。

それは、私にはわかりません。
それは、無医村の老人医療問題を抱えたわが国にとって とても奥深い問題が秘められているからです。


これは、伊野先生宛てに書いた私の手紙。

ほぼ一年送れですが 娘とネットで Dear Doctor の映画をネットで見ました。なんとも考えさせられることの多い映画でしたね。
この映画の中で 日本人にしかわからない日本人の心変わりの早さなどがうまく描写されていて 役者さんもとても名演技で、見ごたえがありました。

さて、ここからがアメリカ版映画批評です。ハハハ。
明日に続きます。

オリンピッククールキャップシステムは、2006年にアメリカのFDA(食品医薬品局)によって認可された画期的な新生児の低酸素性虚血性脳症の治療法です。


お産のときに何らかの理由により脳に酸素が十分いかない状態が続くと、低酸素性虚血性脳症になります。つまり脳性麻痺になってしまうんですね。このクールキャップシステムは脳性麻痺にならないようにするために特別に開発されました。


通常は、生後6時間以内に昨日のブログで紹介したフィニックス小児専門病院のNICUでのビデオのように クールキャップと呼ばれる特別なヘルメットを装着します。


ビデオでもお気づきのように、新生児は気管に管が通っていて、人工呼吸器によって呼吸していますよね。新生児は人工的に筋肉弛緩剤によって眠らされています。この特別なヘルメットには冷たい水が流れます。そして34度という低い温度を保ち、脳波や、心肺の活動度をきめ細かにモニターします。



脳を冷たく保つ理由は、脳細胞の代謝のスピードを遅らせることによって低酸素によってすでにダメージを受けた脳細胞から出る毒素が他の脳細胞に及ばないようにするためなんですね。



私の受け持った赤ん坊は、生後1ヶ月の赤ん坊でしたから 新生児というわけではありませんでしたが、低酸素の状態が40分以上と極端に長いケースで このクールキャップセラピー以外にはオファーする治療法がなかったのです。



おとといの夜、私は偶然 うちのNICUで勤務するナースプラクティショナー(専門看護師)と出くわし、もうそろそろ7ヵ月半になるあの患者のその後を聞いてみました。



あの日、コードブルーで担ぎ込まれて心肺停止だった赤ん坊。3日間に渡るクールキャップセラピーのあと 2ヶ月のNICU治療後 無事に退院。今ではふつうの7ヶ月の赤ん坊の発達度を示しているとか。なんともすごいお話ではありませんか。



現在アメリカでは、毎年低酸素状態で生まれてくる5,000-9,000人の赤ん坊の新しい希望の星となっているんですよ。

イギリスでも行われているようですが、日本ではいかがでしょうか。



今日の英語



低酸素性虚血性脳症 hypoxic-ischemic encephalopathy





2009年9月6日の日記から

今日はしょっぱなから コ-ドブル-でした。
生後1ヶ月の男の子 救急車で運ばれたときは 真っ青でぐったりしていて呼吸も止っていました.
手をつくして なんとか  心臓は動きだしましたが 呼吸は通された管を通してしかできません。

実はこの赤ちゃん さらにエルパソの東にあるライバル病院の ERで診察をしてもらって 帰るとちゅ うでした。あんまり激しく泣くので みてもらいにいったそうですが 色々検査したけれど何も悪くないといってうちに返されたそうなんです。

とちゅうで ガソリンス タンドに立ち寄って 母親が何か買いに行っているあいだに 父親が うしろの席の 赤ん坊をのぞいたら 呼吸をしていなかったというお話。 それが  夕方5時10分頃。そして すぐに救急車をよんで 到着が5分後。パラメディックが気管挿管をこころみましたが 失敗。

我がデルソ-ルERについたのが 5時54 分でした. 
すぐに 挿管したけど ダウンタイムが 長すぎです。
たぶん 脳はかなりのダメ-ジを受けていると予想されます。

かわいそうにね。今現 在新生児集中治療室で 生きるために闘っています.
祈るしかないですね。私にできることはほんとうに限られています。


この赤ん坊、4階にある新しく大きくなった新生児集中治療室(NICU)
にERに到着後30分以内に搬送されました。
ちょうど、新生児専門医も病院で診察中でしたので 新生児のコードブルーのアナウンスを聞きつけて 4階から降りてきてくださり、彼と私は 両親にCool Cap Therapyのトライアルを説明しました。

ダウンタイムが長過ぎる今回のケースは 赤ん坊の脳のダメージがどれくらいなのか、どこまで回復させられるのか、というのが焦点になります。

明日は、このほんとに クールな、Cool Cap Therapyについて書きますね。
もちろんこの赤ん坊がどうなったかも知りたいでしょう?

今日の英語
neonate  新生児
intubation 気管挿管

今日のお話は、日本の友人が教えてくれたこんな話題です。

日本から20年近く離れている私にとっては日本で起きているお話にとても敏感なんですね。

以下は、友人のメールからの抜粋です。

群馬大学の医学部が明確に年齢制限を
掲げていないにもかかわらず
合格ラインを超えていた55歳の女性を不合格にした事件です。
このことから、日本の多くの大学医学部が
内々で年齢制限しているのであろうということが表ざたになったわけです。
裁判になりましたが、女性が敗訴になりました。
この件に関して賛否のあるところですが、
医師養成には多額の税金がつぎ込まれる。
したがって、将来、長期間医療活動に
従事できる条件を備えた人物を入学させたい

というのが、おそらく大学側の言い分でしょうね。
55歳で入学した場合には、日本のシステムでは、
独り立ちできるまで10年かかるとして65歳。
勤務医の定年がおおよそ65歳ですから・・・・。

比較的年齢の高い医学部志望者は、
受験に際して、
・面接の無い大学を選ぶ
・過去の受験合格者もしくは
その大学の医師国家試験合格者の年齢を調査しておく
などの対策を考えるのが常識化しつつあります。
ちなみに、こうした対策は20歳後半になれば、
必要ではないかと言われています。

これは、どうやら2005年のお話のようですね。

というわけで、私はもちろんびっくり仰天したわけですが

皆様、年齢制限というものをどうお考えでしょうか。

アメリカに渡った時にもうすでに30歳を超えていた私が

年齢制限を経験したのはたったの一度だけ。

それは、アメリカで航空管制官の仕事を継続しようと 応募要綱をみましたら

1 アメリカ国籍であること

2 30歳未満であること

残念ながら私の場合は 両方引っかかってしまいました。

まあ、それがばねとなって メディカルスクールへ進んで医師になろうと決意したことは今考えれば私にとっては 不幸中の幸いだったんですけれどもね。

そうそう、今春、70代の女性が 神奈川歯科大学に見事入学されたと聞きました。がんばりますねぇ! 私 そういうの大好き!!

ところで、私はいくつかって?

皆さん、私は今年の1月でめでたく125歳になりました。

私は魔女、え~、ご存知なかった? 失礼いたしました。

さて今日の英語です。

航空管制官 air traffic controller

魔女 witch

私の場合、テレビを見ることもなく、はっきり言ってもう何年もゆっくりテレビの前にすわったことがないという なんかすごい生活を送っていますが、

この世界の常識から完全に遅れをとっている私に唯一最新の情報を

流してくださるブロ友の皆様、たいへん感謝します。


今日は、こんな話。


むかしむかし、だんなといっしょに貧乏学生をしていた頃、

日本の親戚が、トトロとキキの映画をわざわざアメリカまで送ってくれたことがありました。


確か、「となりのトトロ」、とかいう題名でしたっけ。



あの映画に出てくる古い日本家屋にたいへん郷愁を覚えました。
ほんとうによく描いてあるので感心したことをはっきり覚えています。


将来はあんなすてきな日本家屋にゆっくり住んで 隠居生活ができたら?なんて思ったものです。


ただ あの映画の中で アメリカ人なら理解できないことがひとつ。

それは、おとうさんが娘たちとお風呂に入っていること。


 メリカでは絶対ありえません!!
Sexual abuse(性的虐待)と訴えられるのがおち。


日本では、おとうさんが 娘とお風呂に入るのはちっともおかしくないですよねぇ。

もちろんある一定の年齢まででしょうが・・・


最近、ポニョの映画を家族で見ました。

この映画でも、一つ負に落ちなかったことがありま した。


それは、お母さんが、嵐の中、5歳の子供をおうちにおいて
自分の仕事場に夜中に行ってしまったこと。


これもまたまたアメリカでは絶対ありえません!!


CPS(子供の虐待ホットライン)に通報されて、子供が取り上げられてしまう。子供は 事情によってもですが その州の持ち物になってしまい、里親に出されます!


文化の大きな違いを垣間見たひと時でした。


さて、今日の英語。


虐待は、abuse


子供の虐待ホットラインは、CPS (child protective service)です。


こちらアメリカでは CPSがとても強い権力を持っています。

アメリカに来られたら、ぜひぜひ子供を手元から離されないよう

お気をつけくださいませませ。

鯖にあたったことありますか?



むかしむかし、さば寿司か、お刺身を食べて、鯖にあたってじんましんがでたことがあります。
それで、鯖を 食べれば、アレルギーなのかというとそうではないんですよね。
それから、何度も何度も青みのお魚を食べていますが、ぜんぜんだいじょうぶ。

 れで、クエスチョンバンクの中毒の本を読んでいて、
ヒスタミン食中毒というのがあるのを学びました。

青みの魚(特に鯖)は、ヒスチジンを 多く含むが、温度管理が悪いなどの条件下で
モルガン菌が、このヒスチジンを、ヒスタミンに変えてしまう。
腐敗臭がする前にすばやく産生さ れるので、傷んでないと判断してしまうことが多い。
ヒスタミン中毒の起こる理由のひとつである。

ということだそうで・・・

 の今まで、知りませんでしたがやっと大昔にでたじんましんの謎が解けたわけ。
無知の知。ソクラテスの境地です、また。


ちなみに英語でじんましんは


   urticaria


です。覚えましょうね!!


Let’s study medical terms with me 

from now on little by little.

It’s a good idea, right?


通常、腰椎穿刺などの侵略的な処置を行う場合は 必ず家族にインフォームドコンセントを取り付けます。


その段階で 拒絶する家族も少なくはありません。なぜなら、考えても見てください。生まれたばかりの赤ん坊の背中に針を刺そうというんですよ。

カテーテルによる尿の導尿ですら拒否する母親が多い中、この若い見た目15,6歳の母親は私たちになんの質問することもなくあっさり コンセントにサインをしました。


父親らしいものの姿も周りには見られませんし、この赤ん坊をERに連れてきたのはどうやらこの幼い母親だけのよう。

反対されて、子供を産んで 家族からのサポートがないのかしら??

私たちにはわからないいろいろな家庭の事情がありますからね。


ところが、腰椎穿刺の途中、待合室で待っているはずの母親がいなくなって大騒ぎ。

どこをどう探しても、母親が見つかりません。

うちのERはかなり大きいですから 端から端までみんなで あちこち探しました。何個もあるトイレのドアも片っ端からノックしまくり。

彼女の携帯にかけてみましたが、応答なし。


それで、もしこのまま母親が現れなかったら どうしようか
という話にまでなって、なんと
養子にしたいというスタッフがわんさかわんさか。

こんなにかわいい赤ん坊を放って、いったいどこに??



私だってこの子養子にした~い!!こうなったらうちに5人の子供がいたって平気、なんて一瞬思ったのですが・・・


結局、母親は1時間後に見つかって事なきを得まし たけれども、
こんなにかわいい赤ちゃん、放ってどこに行っちゃったのか
みんなほんと不思議でした。

母親いわく、お腹がすいたので、近くのハンバーガー屋さんで、

ハンバーガーを食べていたとか。もうまったくねぇ。

このお母さん、まだ遊びたい盛りなんでしょうね。子供が子供を育てているという感じ。

帰ってきたこの母親をいち早く叱ったのは、60歳過ぎのベテラン看護師長でした。



人間の赤ちゃんは、誰かに愛されながら育つわけで
自分じゃなにもできないで しょう。
だから、どんな赤ん坊でも かわいいから
周りのみんなから目いっぱい愛されて育つんじゃないかな。
微笑みや、しぐさのひとつ ひとつ、ほんとうに
愛情をそそるというか。

こんなかわいい赤ちゃんに会えるの は職業上の特権だなと思いました。

生後4週の赤ちゃんが発熱して
敗血症や髄膜炎の可能性を 想定して

いろいろな検査を行うことにしました。




生後6週くらいまでは、母親からのB型連鎖球菌による感染症の可能性があるため

詳しく検査をする傍ら、検査結果の詳細を待つことなく抗生物質を打ちはじめるのが基本的な治療法です。





新生児には、Ampicillin(アンピシリン) とGentamicin(ゲンタマイシン)のコンボを、

生後4週なら、Ampicillinと、Claforan(クラフォラン)のコンボがいいでしょう。





通常の血液検査に加え、髄膜炎の可能性をさぐるため、

腰椎穿刺も行わなければなりません。


小さい赤ん坊の腰椎穿刺は、高度な技術と経験が必要です。

小さな背骨の間のこれまた小さな小さな隙間を狙って特別な針を刺し、

脳脊髄液を取り出し、分析します。


ところがたいへんなことが・・・・・