第3章 2011年01月28日
サービス開始5日前にしてサイトの制作作業はよく言えば淡々と悪く言えば特に大きなひらめきも無く進んでいた。
彼らが5日に開始する「4次元クローゼット」というサービスは今までにないファッションシェアという概念のサービスである。
「ファッションシェア?」「レンタル?」
朝倉はまたいつものパターンか。。。と心で小さなため息を一つついて説明を始めた。
「一つのクローゼットをいろんな人と共同で使うというイメージだよ」
「クローゼットを共有?ウェブでやるんじゃねーの?」
今、朝倉が会話しているのは高校時代の連れである迫田という人物だ。
決して物わかりが良い方ではないが悪い方でもない。
物事をごくストレートに飲み込み、ごくストレートに発するタイプである。
変に斜めから物事を見たり、勘ぐったりしないそんな迫田の性格を朝倉は好きだった。
今回、自らが始めるサービスのついて率直な感想をもらう為に迫田に声をかけたのもそのような性格だからだ。
「ウェブでやる。申し込みやアイテムの選択などすべてウェブだよ」
「実際にユーザーからアイテムを送ってもらって会社で一括管理、発送などはすべて会社が行ってユーザー間でアイテムを共有するんだよ」
「なるほど。ウェブサイトで申し込んで実際のアイテムが届くってことか」
「レンタルと何が違うんだ?TSUTAYAのファッション版ってことだろ?」
きた。そう朝倉は思った。話をした人ほぼすべてに聞かれる質問だ。
「レンタルはお金を払って借りる。でもこのサービスはシェアだからサービスに参加する為には自分のアイテムをも持ち込む必要がある。持ち込んで初めて別のユーザーのアイテムを借りれるってことだよ」
何度、同じ説明をしたのかわからない。最初の方は自分の説明の仕方が悪いのだと思い色々工夫をしてみたのだが結局は同じ様な物だった。
「なんとなくわかった気がする。自分のアイテム入れるのは面倒くさいな。正直」
迫田の言っている事は多くの人が思う事だろう。
レンタルなど金銭との引き換えにサービスや物を手に入れる事が当たり前の世の中で自分の持っている物を他人と共有しようという発想はなかなか生まれない。
それを覚悟の上で、新しいライフスタイルの提案をしていこうと言う気持ちを込めて始める事業でもあった。
「とりあえず俺なら様子見だな。参加者が増えてきたら参加するかもだけど」
朝倉は無音で考えを巡らせていた。自分が頭に描いているこの事業の魅力を表現出来ていない。どうすればいいものか。
サービスは5日後に始まる。
彼らが5日に開始する「4次元クローゼット」というサービスは今までにないファッションシェアという概念のサービスである。
「ファッションシェア?」「レンタル?」
朝倉はまたいつものパターンか。。。と心で小さなため息を一つついて説明を始めた。
「一つのクローゼットをいろんな人と共同で使うというイメージだよ」
「クローゼットを共有?ウェブでやるんじゃねーの?」
今、朝倉が会話しているのは高校時代の連れである迫田という人物だ。
決して物わかりが良い方ではないが悪い方でもない。
物事をごくストレートに飲み込み、ごくストレートに発するタイプである。
変に斜めから物事を見たり、勘ぐったりしないそんな迫田の性格を朝倉は好きだった。
今回、自らが始めるサービスのついて率直な感想をもらう為に迫田に声をかけたのもそのような性格だからだ。
「ウェブでやる。申し込みやアイテムの選択などすべてウェブだよ」
「実際にユーザーからアイテムを送ってもらって会社で一括管理、発送などはすべて会社が行ってユーザー間でアイテムを共有するんだよ」
「なるほど。ウェブサイトで申し込んで実際のアイテムが届くってことか」
「レンタルと何が違うんだ?TSUTAYAのファッション版ってことだろ?」
きた。そう朝倉は思った。話をした人ほぼすべてに聞かれる質問だ。
「レンタルはお金を払って借りる。でもこのサービスはシェアだからサービスに参加する為には自分のアイテムをも持ち込む必要がある。持ち込んで初めて別のユーザーのアイテムを借りれるってことだよ」
何度、同じ説明をしたのかわからない。最初の方は自分の説明の仕方が悪いのだと思い色々工夫をしてみたのだが結局は同じ様な物だった。
「なんとなくわかった気がする。自分のアイテム入れるのは面倒くさいな。正直」
迫田の言っている事は多くの人が思う事だろう。
レンタルなど金銭との引き換えにサービスや物を手に入れる事が当たり前の世の中で自分の持っている物を他人と共有しようという発想はなかなか生まれない。
それを覚悟の上で、新しいライフスタイルの提案をしていこうと言う気持ちを込めて始める事業でもあった。
「とりあえず俺なら様子見だな。参加者が増えてきたら参加するかもだけど」
朝倉は無音で考えを巡らせていた。自分が頭に描いているこの事業の魅力を表現出来ていない。どうすればいいものか。
サービスは5日後に始まる。
第2章 2010年1月のある日、東京・赤坂にて
この日、森本と後藤の二人はIT系コンサルティング会社が主催する
ビジネスプランコンテストの最終選考会場にいた。
大学の同級生である二人は就職という選択肢を捨て
自ら起業ををすると言う夢を追いかけ始め、何も知らない未知の世界へと歩みだしたばかりであった。
事業計画書など書いた事も無い二人がなんとか悪戦苦闘しながらようやくここまでたどり着いた。
最終選考までに<書類選考><面接><ブラッシュアップ後の2次書類選考>をくぐり抜けてきた二人は
わずかな自信と、大きな不安を抱え今、ここに立っている。
最終選考には3チームが進み、今日コンサルティング会社の役員の前で最終プレゼンが行われるのだ。
「どうなるんだろうな」
「まあ、どうにかなるよ」
そんな、空虚な会話が二人の間で続き、いよいよプレゼンの時間を迎えた。
最初は緊張していた二人もいざ始まると、関西人の気質なのか流暢に自らの考えた夢のプランを訴えた。
「パジャマのまま店を訪れてオシャレな格好で出て行く!」
「そんな店を実現したい!」
事業と聞くと大それた物を思い浮かべるが彼らのプランは自分たちが
「あったらいいな!」
それを実現しようと描いている物だ。
そんな熱い想いを伝えているうちに時間は過ぎプレゼンは終了した。
「これはいける」
そんな不確かであるが確かな手応えを二人は感じた。
そして新たな一歩を踏み出した。
ビジネスプランコンテストの最終選考会場にいた。
大学の同級生である二人は就職という選択肢を捨て
自ら起業ををすると言う夢を追いかけ始め、何も知らない未知の世界へと歩みだしたばかりであった。
事業計画書など書いた事も無い二人がなんとか悪戦苦闘しながらようやくここまでたどり着いた。
最終選考までに<書類選考><面接><ブラッシュアップ後の2次書類選考>をくぐり抜けてきた二人は
わずかな自信と、大きな不安を抱え今、ここに立っている。
最終選考には3チームが進み、今日コンサルティング会社の役員の前で最終プレゼンが行われるのだ。
「どうなるんだろうな」
「まあ、どうにかなるよ」
そんな、空虚な会話が二人の間で続き、いよいよプレゼンの時間を迎えた。
最初は緊張していた二人もいざ始まると、関西人の気質なのか流暢に自らの考えた夢のプランを訴えた。
「パジャマのまま店を訪れてオシャレな格好で出て行く!」
「そんな店を実現したい!」
事業と聞くと大それた物を思い浮かべるが彼らのプランは自分たちが
「あったらいいな!」
それを実現しようと描いている物だ。
そんな熱い想いを伝えているうちに時間は過ぎプレゼンは終了した。
「これはいける」
そんな不確かであるが確かな手応えを二人は感じた。
そして新たな一歩を踏み出した。
第1章 2011年01月16日
ドアを開けるとリフォームをしたばかりの独特の匂いを感じる。
田舎の小学校に数ヶ月前に都会から転校してきた少年の様な
周りの世界とどことなく馴染めていない、馴染みようが無い。
そんな匂いだ。
その匂いは朝倉の気持ちを少し滅入らせた。
「まだ誰も来ていないか」
部屋の壁にかけられている何の装飾も無いシンプルな掛け時計は午前11時前を指している。
部屋に入るなり窓を開け、空気を入れ替えた。
朝倉ら3人が最近創業した「株式会社1K」は11時出勤である。
ほぼ毎日終電まで働く事を考え、この時間に決めたのだ。
「さあ、今日もこいつとの格闘が始まるな」
そう呟きながら、パソコンの電源を入れた。
そうこうしている間に残りのメンバーも顔を揃えいつもの一日が始まった。
サービス開始まで2週間。
サービスの要であるWEBサイトは制作段階でありその他の作業もまだまだ山積みである。
作業をただ進めるだけの日々が数日続いた。
田舎の小学校に数ヶ月前に都会から転校してきた少年の様な
周りの世界とどことなく馴染めていない、馴染みようが無い。
そんな匂いだ。
その匂いは朝倉の気持ちを少し滅入らせた。
「まだ誰も来ていないか」
部屋の壁にかけられている何の装飾も無いシンプルな掛け時計は午前11時前を指している。
部屋に入るなり窓を開け、空気を入れ替えた。
朝倉ら3人が最近創業した「株式会社1K」は11時出勤である。
ほぼ毎日終電まで働く事を考え、この時間に決めたのだ。
「さあ、今日もこいつとの格闘が始まるな」
そう呟きながら、パソコンの電源を入れた。
そうこうしている間に残りのメンバーも顔を揃えいつもの一日が始まった。
サービス開始まで2週間。
サービスの要であるWEBサイトは制作段階でありその他の作業もまだまだ山積みである。
作業をただ進めるだけの日々が数日続いた。