ここでは遺言にまつわる表記のゆれなどがメインのため、まとめて書いてます。それからここで
気になるのが、ハリーたちのスクリムジョールに対する口調。いくら対立していたとしても、17歳で
そこそこの教養があれば、魔法界のトップにタメ口はきかないと思う。喧嘩ごしになってからとかは
いいんだけどね。特にロンがバカっぽい。
さて、最初のこのシーンは、個別に話をしたいというスクリムジョールに対し、ハリーが3人一緒じゃ
なきゃダメだと強気に出た後のこと。
P.177 ハリーは、大臣が初手から対立する価値があるかどうか、判断に迷っている、という
印象を受けた。
UK版P.104 Harry had the impression that the Minister was wondering whether it
was worthwhile opening hostilities this early.
初手って。間違ってないけど…。普段聞かない。将棋とかで使うのかな?
試訳:ハリーは、大臣がこんなに早く(最初)から対立していいものかどうか値踏みしている
印象を受けた。
”価値があるかと考える”で、値踏みとしてみた。やり過ぎかしら?ならば判断しかねているとか?
※opening hostilities 戦争を始める。
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P.178 「私にはちゃんと権利がある」 スクリムジョールが素っ気なく言った。
UK版P.104 ' I had every right,' said Scrimgeour dismissively.
ハーマイオニーにそんな権利なかったくせにと言われた後のスクリムジョール。素っ気なく
で、相手にしてない感じを出したかったのか。
dismissivelyは、はねつけるように、無視するようにといった意味。しかし、ハーマイオニー
の意見に対し、スクリムジョールが興奮して言い返しているのならばまだしも、そういう感じでも
なさそうなので「はねつけるように」ではちょっと強すぎる。原文を読んだだけだと割と冷静を
保ってるような雰囲気なので、素っ気無くも悪くはないような気もする。
試訳:「私にはあらゆる権利がある」スクリムジョールが軽くあしらった。
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P.178 「差し押さえる前に、魔法省は、死者の持ち物が違法であるという確かな証拠を
持っていなければならないはずです!
UK版P.105 ' and the Ministry is supposed to have powerful evidence that the
deceased's possessions are illegal before seizing them !'
ハーマイオニーが、スクリムジョールと法律談義をするところ。優秀なハーマイオニーならば
こういう話で死者の持ち物といういい方はしないかと。
試訳:「魔法省は、差し押さえる前に故人の所有物が違法であるという確かな証拠が
必要なはずです!
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遺言書を読み上げる時、原書は同じ書き方で統一されているのに、翻訳はバラバラ。
しかも公的文書なのに、”わし”って。
P.180 「『ロナルド・ビリウス・ウィーズリーに”灯消しライター”を遺贈する。使うたびに、
わしを思い出して欲しい』」
P.181 「『ミス・ハーマイオニー・ジーン・グレンジャーに、わしの蔵書から”吟遊詩人
ビードルの物語”を遺贈する。読んでおもしろく、役に立つ物であることを望む』」
P.182 「『ハリー・ジェームズ・ポッターに』」スクリムジョールが読み上げると、ハリーは
急に興奮を感じ、腸(はらわたとルビ)がぎゅっと縮まるような気がした。「『スニッチを
寄贈する。ホグワーツでの最初のクィディッチ試合で、本人が捕まえたものである。忍耐
と技は報いられるものである。そのことを思い出すためのよすがとして、これを贈る』」
腸(はらわた)って、煮えくり返るとかならまだしも…。
P.106 " to Ronald Bilius Weasley, I leave my Deluminator, in the hope that he
will remember me when he use it. " '
P.106 ' " To Miss Hermione Jean Granger, I leave my copy of The Tales of
Beedle the bird, in the hope that she will find in entertaining and instructive. " '
P.107 ' " To Harry James Potter, " ' he read, and Harry's insides contracted
with a sudden excitement, ' " I leave the Snitch he caught in his first Quidditch
match at Hogwarts, as a reminder of the rewards of perseverance and skill. " '
試訳:
「『ロナルド・ビリウス・ウィーズリーに私の”灯消しライター”を遺贈する。
それを使うたびに、私を思い出すよう願って』」
「『ミス・ハーマイオニー・ジーン・グレンジャーに、私の”吟遊詩人ビードルの物語”
を遺贈する。それが面白く、ためにもなることを見出すよう願って』」
「『ハリー・ジェームズ・ポッターに』」スクリムジョールが読み上げると、急に気持ちが
高まり、ハリーは胃が縮んだような気がした。
「『ホグワーツでのクィディッチ初試合で、本人が捕まえたスニッチを遺贈する。
不屈の努力と技術は報われることを思い出させるものとして』」
Harry's insides contracted なので、ハリーは胸が締めつけられるような気がした。
でもいいかもしれない。
ちなみにクィディッチ試合(じあいとルビ)という言い方も…。野球試合(じあい)、
サッカー試合(じあい)とは言わないと思う。親善試合(しんぜんじあい)ならともかく。
P.192のハリーの台詞にもクイディッチ試合(じあいとルビ)あり。クイディッチの試合でしょう。
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P.180 スクリムジョールは、前屈みになって、「灯消しライター」をロンに渡した。
UK版 P.106 Scrimgeour leaned forward and passed the Deluminator to Ron,
細かくてすまん。間違ってないけど、前屈みより身を乗り出しての方がよいかと…。
試訳:スクリムジョールは身を乗り出して、「灯消しライター」をロンに渡した。
※この直前にライターの説明があって、カチッと押すたびに(with a simple click)と書か
れている。カチッと鳴らすたびにの方がいいかな?と思ったけど、スルーしてたら!
P.191にはカチッと鳴らした(UK版P.112 clicked) とある…。
P.196もカチッと鳴らした(UK版P.114 clicked)
P.292 カチッと言わせて(UKP.167 clicking)
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P.182 身動きできないほどぎゅうぎゅう詰めで座っていたので、ロンは、片腕を抜き
出してハーマイオニーの両肩に腕を回すのに苦労した。
こういう場合、数は訳すべきなんだろうか。不自然な日本語。
UK版P.107 They were wedged together so tightly that Ron had difficulty
extracting his arm to put it around Hermione's shoulders.
試訳:ぎゅうぎゅう詰めで座っていたので、ロンは腕を伸ばしてハーマイオニーの
肩に回すのに苦労した。
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P.183 「スニッチは肉の記憶を持っているからです」
UK版P,108 ' Because Snitches have flesh memories,'
flesh と言えば確かに肉だけど。肉の記憶って…。これはスニッチが初めて触った人の感触
を覚えているということの前振り。
ストレートに訳すならば、人肌あたりで。少し意訳するならば感触もありかも。
試訳:「スニッチは人肌を記憶しているからです」
※スニッチをさんざん金色(こんじき)のボールとしてたのに、
P.185 6行目 いきなり球。(UK版P.109 ball )
以下のように表現が変わっているならまだしも。
P.193 金色(こんじき)の球 UK版P.113 the golden sphere
P.193 金色(こんじき)の球面 UK版P.113 the golden surface
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まとまりのない遺言関係。表記がバラバラなので一気にまとめて列挙。かならずしも同じ表現で
ある必要があるわけではないが。
P.177 (UK版P.104)
遺言 ( will )スクリムジョールの台詞
ダンブルドアが君たちに遺したもの (Dumbledore had left you anything ) スクリムジョール
僕たちへの遺品 (what he left us) ハリー
私たちへ遺してくれたもの(whatever he's left us ) ハーマイオニー
以下、同じスクリムジョールの言葉がバラバラ。
P.178 (UK版P.105)
遺言書 ( will ) スクリムジョール
P.179 (UK版P.105)
遺言で君に遺品を残した ( he remembered you in his will ) スクリムジョール
※なぜにここだけ遺したではなく、残した?
個人的な遺贈品 ( personal bequests ) スクリムジョール
P.180 (UK版P.106)
遺言書 ( The last Will and Testament ) スクリムジョール
遺言書で遺贈されたのは ( the onle ones he remembered in his will are ) スクリムジョール
※全く前ページと同じ表現なのに。
P.181 (UK版P.106)
遺言書 ( Dumbledore's will )
P.182 (UK版P.107)
遺言書 ( Dumbledore's will )
P.185 (UK版P.109)
もう一つ形見 ( a second bequest ) スクリムジョール
いきなり形見…。
遺言書 ( the will )
P.189 (UK版P.111)
ダンブルドアが僕たちに遺したもの (what Dumbledore left us ) ハリー
遺言書 ( the will ) ハリー
古いスニッチを遺した (why Dumbledore would have left Harry an old Snitch)
P.191 (UK版P.112)
遺言 ( in his will ) ハーマイオニー
遺言書 ( his will ) ロン
遺品 ( everything he'd left us ) ロン
遺言書 ( in his will ) ハーマイオニー ※一連のやり取りなのに、ハーマイオニーの言い方が変わる。
P.204 (UK版P.119)
遺言書 ( her will ) ロン ← これは別の話だけど
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P.185 「ゴドリック・グリフィンドールの剣だ」
UK版P.109 ' The sword of Godric Gryfindor,' he said.
初めて he said を訳していない箇所を発見!意図したものか、ケアレスミスか。
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P.187 「誰か、ヴォルデモートに剣を刺してみたことがあるんですか?魔法省で何人
かを、その任務に就けるべきじゃないんですか?『灯消しライター』をひねくり回したり、
アズカバンからの集団脱走を隠蔽したりする暇があるなら。
UK版P.109 ' Has anyone ever tried sticking a sword in Voldemort ? Maybe the
Ministry should put some people on to that, instead of wasting their time
stripping down Deluminators, or covering up breakouts from Azkaban.
全体的に変なのー。特にひねくり回したり。strip down でふつーに分解すると出てくる。
ま、魔法の道具なので分解がふさわしくないならば、せめていじり回すとか。
試訳:「誰かがヴォルデモートに剣を突き刺そうとしたこと、ありましたか?魔法省こそ
誰かをその任務に就けるべきでしょう?『灯消しライター』を分解したり、アズカバンからの
集団脱走を隠蔽したりする暇があるなら。
この続きも、カンマで切ってるところを文をぶったぎってるので、変な風になっている…。
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P.188 十七歳の青二才が、私の仕事に口出しするのはお門違いだ!そろそろ敬意という
ものを学ぶべきだ!」
「そろそろあなたが、それを勝ち取るべきです」ハリーが言った。
スクリムジョールの台詞を途中から抜粋。十七歳の青二才って、間違ってないけど言うかな?
韻を踏んだのかな?お門違いも間違ってないけどねー。
UK版P.110 but it is not up to a seventeen-year-old boy to tell me how to do
my job ! It's time you learned some respect ! '
' It's time you earned it,' said Harry.
P.188 十七歳の若造が、私の仕事に口出しするのはお門違いだ!そろそろ尊敬すること
を覚えたらどうだ!」
「あなたもそろそろ尊敬されることを覚えたらどうでしょう」ハリーが言った。
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P.188 ハリーと大臣がほとんど鼻突き合わせて立っているのを見て、すっかり仰天した
ウィーズリーおじさんが言った。
UK版P.110 began Mr Weasley, looking thoroughly alarmed at the sight of Harry
and the Minister virtually nose to nose.
鼻突き合わせてって。せめて鼻を突き合わせてってした方がよくない?
試訳:ハリーと大臣がまさに鼻を突き合わせているのを見て、すっかり仰天した
ウィーズリーおじさんが言った。
※別なエッセイ読んでたら、鼻突き合わせて議論って出てきてた。違和感なかった。