映画「栄光のバックホーム」を早速観に行ってきました。
「絶対に泣く事が分かっているので観たくない」というファンの声も分かります。
管理人も同じ気持ちでしたけど、やっぱり「あの実話がどんな映画になっているのか」という興味の方が勝ちました。
横田慎太郎という「野球選手」は知らないわけではないですが、彼の実際の生きざまを詳しく知っているわけではないので、やはり横田慎太郎に会いたい、彼をもっと知りたい、知っておきたい、という気持ちがありました。
さて、ここから先の内容は、映画のネタバレになるので、もし「まだ観ていないけど、今度観に行く」とか、「中身の事は一切知りたくない」という人はこの先は読まないで下さい。
(もっともこのブログを読んでくれる方なんて、ほんと数えるほどですけどね)
管理人が利用したTOHOシネマの映画館は、だいたい6~7割くらいの入りでした。
やはり世間は、「横田慎太郎」の事を知らない人の方が多いので、観客が限定される分、想定内といったところでした。
映画を見る前はずっと号泣で、涙が止まらないかな、と思っていましたが、そうではありませんでした。
涙がさーっと出る場面、じっくり落ち着いてみる場面、それが交互に来た、って感じでしたね。
全編通してまず感じた事は、母親の横田まなみさん役の鈴木京香がとにかく美しかった。
母としての凛とした強さ、もちろん女優としての美しさ、そして重病の息子に対する優しさと弱さ、すべての表現が素晴らしかったです。
横田慎太郎役の松谷鷹也は、あの元巨人の投手だった松谷竜二郎の息子って事で、本人もかつては野球をやっていたそうで、体格も野球のシーンも、他の俳優ではできないリアルさがありました。
ただ、素の演技はちょっと勉強中かな。
鈴木京香の名演もあり、概ね映画は良かったのですが、残念だった点があって、実際の人物を別人の俳優が演じるわけですから、最初見た時に誰の役を演じているのか、分からないんです。
だから初見でのテロップは欲しかったな、と。
いきなり序盤のシーンで、横田が亡くなった後の遺影の前に、柄本明がしゃがれ声で突然現れ、「慎、今から(甲子園に)行くぞ」と言った時、「誰やねん、コイツ? 親戚のおじさんか?」と思ったら、後の会話で川藤幸三役というのが分かり、ちょっと気持ちが冷めました。
これ誰やねん?って思って、ずっと映画を見ているうちに、何となく「あーこの人か」と分かっていく、というのは、何かストーリーに溶け込めず、ちょっと残念でしたね。
当時の九州担当スカウトの田中秀太役をやって萩原聖人しかり、横田慎太郎をずっと取材を続けてきたスポーツニッポンの遠藤記者役を演じていた、見た事ない俳優しかり。
最初のシーンだけでいいんです。
鹿実のグラウンドにいる難しい顔をした人物の下に「田中秀太」というテロップがあれば、その後の萩原聖人の振舞いも全部腑に落ちるし、いちいちマスコミの人たちの中で「説明セリフ」を何度もつぶやく人が、どこかのシーンで「スポニチの遠藤です。よろしく」という名乗りをするだけで、映画におけるこの人の存在感が立っていく。
それが全然なかったのは、制作上のこだわりかも知れませんが、見る人に対して不親切だった感は否めません。
(最後のエンドロールでいろいろ説明してくれるんですが、遅い。物語を正しく理解するためには、予備知識として必要かと思いました)
また、川藤幸三役の柄本明はまだ声で川藤に寄せようとしてくれてたのかも知れませんが、掛布雅之役の古田新太には…、すみません、イメージできるところが何もありませんでした。
古田新太が古田新太の顔と声で、「掛布雅之」然としてたのを見て、完全に引きました(苦笑)。
そこは著名人を題材にしたノンフィクション作品の限界なんでしょうかね。
ただただ、すごいな、と思ったのは、北條史也役の俳優は、髪型も含めて北條に似てましたね!
よくこんな人見つけてきたな、とそれだけは感心しました。
あと何気に岩貞祐太役の人の髪型が岩貞っぽかった(笑)。
横田とドラフトの同期なのに、岩貞や梅野や岩崎役の人が全部モブ扱いになっていて、何か可哀そうでしたね。
なお、金本知憲役の加藤雅也も何となく金本っぽさを感じられて、これも良かった。
平田勝男役の大森南朋はノーコメントで(爆)。
横田慎太郎の短くも太い一生。
本当に「よくぞ、ここまで生き抜いた」と思います。
彼の才能を信じて疑わない人たちにとっては、輝かしくもあり、また悔しくもあったか、と。
でも、こうやって作品になって、横田慎太郎という人の生きた軌跡、そして奇跡を多くの人に知ってもらえた事。
これは他の人にはマネできない事です。
だから彼は幸せ者だったのではと、管理人は思いますね。
本人は辛く悔しかったでしょうけれど、彼の夢は、彼を知っている人たちが引継ぎ、これからも叶えていく事でしょう。
そして、我々の胸にも、「横田慎太郎」はずっとずっと刻み込まれていくと思います。
彼の背番号である「24」を永久欠番にするのはいくら何でも難しいでしょう。
でも、育成時代に背負っていた「124」は横田のために、ずっととって置いて欲しいです。
今も誰もつけていないし、球団も「横田は今も124番をつけながら1軍を目指している」として欲しい。
そう、「124番」は、今もなお1軍を目指している横田慎太郎のための背番号だ、と。
