阪神にいた頃の板山祐太郎は、入団当時から既に「逆境」だった。
2015年明治大学出身の黄金ルーキー髙山俊がドラフト1位だった時に、亜細亜大学よりドラフト6位で入団。
同じ大卒の外野手ながら、片や東京六大学のスター髙山と、名門亜細亜大卒ながらドラ6の板山では、脚光の浴び方も雲泥の差だった。
髙山はルーキーイヤーにそのヒットメーカーぶりを早くも発揮し、球団史上新人シーズン最多安打記録(当時)を樹立、セリーグの新人王に輝いた。
一方、ドラ6板山はそれでも40試合に出場するも打率2割3分そこそこ。
翌年からは主に2軍の試合に出場する事となった。
だが1年目に順調だった髙山も、長打狙いの打撃に変えようとして苦しみ、だんだん主力選手から遠ざかるようになってくる。
髙山、板山ともに2軍で苦しんでいたが、2023年シーズンに岡田監督が就任し、最初は髙山に期待がかかったが、開幕前は板山の評価がそれを上回った。
しかし板山は期待に応えられず、阪神の外野の厚い選手層に苦しんだ。
2023年日本一を達成したシーズンだったが、残念ながら髙山、板山ともに戦力外になった。
ここで2人の道がスパッと分かれる。
髙山は新設のイースタン所属のオイシックス新潟に入団し、板山は中日ドラゴンズの育成契約選手となった。
ともに、1軍からは少し遠ざかるポジションに身を置く事になったが、ここでも板山は「逆境」を跳ね返す。
シーズン中に支配下を勝ち取り、1軍の試合にたびたび出場するようになる。
そして、6日の広島戦で移籍後初本塁打、昨日の7日の広島戦はサヨナラヒットを記録。
連日のヒーローとなった。
内野のユーティリティぶりを発揮している山本泰寛とともに、阪神を戦力外になった男が「拾ってもらった」中日で輝く。
まだまだこれからも、板山に数々の「逆境」は待っているだろう。
しかし、それをはねのけるため、彼の挑戦は続く。
地味だけど、地味だからこそ、しぶとく生きていく。
そんな板山に目が離せない。
頑張れ板山!
もちろん山本も!