◇今回のワールドベースボールクラシックについて
サッカーワールドカップカタール大会の興奮も冷めやらぬうちに、ワールドベースボールクラシック(以下WBC)が帰ってくる。
今回の日程は来年の3月8日に台湾で行われる予選ラウンドを皮切りに、日本、台湾、アメリカでそれぞれ予選が行われ、3月21日にアメリカで決勝を迎える。
また、そのWBCのための強化試合は3月6日・7日の日程で行われる(大阪会場では、阪神―侍ジャパン、阪神―韓国代表もカードも組まれている)。
当然こういう国際試合は、通常のペナントレースの日程の前に行われる。
だから、よく言われる事と言えば、コンディションをペナントレースの開幕日に合わせるのではなく、これらの大会の前に合わせないといけないので、通常のシーズンより、調整を前倒しに進めないといけない事。
また、特に投手はWBC仕様のボール、マウンドからNPB仕様に感覚を戻すための準備期間が要るので、NPBの開幕に間に合わせるのが困難な事。
WBCの日本代表=侍ジャパンに選ばれる事は、選手としてもチームのファンとしても光栄でワクワクする事ではあるのだけれど、ペナントレースに影響するおそれがないか、不安ではある。
現在メンバーの選考が行われており、先行発表は1月上旬で、最終選考は1月末としている。
ただ、既に湯浅京己はメンバー入りが内定していて、岡田監督は「開幕の守護神は湯浅の代役として、K・ケラーか新外国人のビーズリーを起用する」としている。
青柳、近本、中野はまだ最終選考まで残っているらしいが、佐藤輝明はすでにメンバーから外れているようだ。
◇WBCとペナントレースどちらが大事か問題
オリンピックでの野球競技は東京五輪が最後ではないか、と言われているように、野球における世界大会を位置付けとする大会は少なくなっていく方向にある。
そうなれば、メジャー挑戦を考えている日本選手が、海外(特にアメリカ)の野球関係者、野球ファンの目に触れる機会が圧倒的に減る。
WBCが「メジャーを目指す日本選手の品評会」だと言い切る事はないけれど、そういった側面は否定できないと思う。
だから、WBCで日本がいい成績を収める事はもちろん目標としてある上で、その先にある自身の夢の実現に思いをはせている選手もいるはずだ。
そういう意味で考えると、WBC代表入りはペナントレースとは別の重要な意味があると考えられる。
特に今回は、代表監督が栗山英樹氏という事もあり、恩師のために大谷翔平が参加を表明し、同じく元日ハム出身のダルビッシュ有が久々に参加するほか、鈴木誠也も参加するなど、日本人メジャー選手が参加し、それに加えて日系人メジャー選手もメンバー選考に入れているという。
海外組が躍動したサッカーW杯にあやかって、WBCでのメジャー組の活躍も期待されるなど、日本国内で盛り上がる事受け合いだ。
優勝でもしようものなら、日本国内ではまぁまずしばらくはWBC一色になるのではないか。
しかし、3月30日より始まるNPBペナントレースも当然大事である事には変わりなく、WBCでケガなどされたり、せっかく仕上げたのに出場機会が少なく調子を落としてしまったりしては、チームとしてたまったものではない。
かつて2008年阪神が首位を独走していた時、シーズン途中の8月に星野仙一氏率いる星野ジャパンが北京五輪に出場し、メンバーに選ばれていた新井貴浩が腰を痛めて帰ってきて、阪神が優勝を逃した一つの原因になった。
WBCはシーズン途中ではなく、シーズン前なので影響は少ないかも知れないが、当然代表に選ばれる選手はチームの主力であるわけなので、無事で帰ってもらうのに越した事はない。
だから、主力選手を送り出す各チームの首脳陣は、嬉しさ半分、不安半分といったところだと思う。
◇佐藤輝明は今大事な時期、代表はこれからでいい
結論から先に言ってしまうと、佐藤輝明の代表入りは「今」じゃなくていい。
彼が今やらなければならない事は、岡田監督に指摘された、体力面での強化(特に下半身)、打撃、守備での粗さをなくす事、たくさんある。
岡田監督の指導法について感服しているのは、佐藤については「厳しく言って育てる」選手として扱っている事だ。
監督に就任して早々、かなり選手を褒める口調が多く、「解説でボヤいている様子とは真逆」と思っていたが、佐藤輝明については特に厳しい口調で、「これくらいの事を言っても佐藤は大丈夫」と理解して言っているのだと推測する。
ナイーブで優しい藤浪に、パワハラを敢行して凹ませた金本とはエライ違いだ。
佐藤の三塁の守備を酷評されている事から、周囲からは「佐藤がライトに回る可能性」を言う声もあるが、管理人としては言語道断であって、佐藤は誰が何と言おうと三塁で育てるべきだ。
外野にはそれこそ育て甲斐のある若手、中堅選手が目白押しだから、佐藤をライトに回して、糸原三塁スタメンなんて、そんなチーム力が落ちるオーダーはあり得ない。
向こう何年かは、岡田監督が就任最初に思い描いてたように、一塁大山、三塁佐藤で通していくべき。
ヤクルトや巨人を見てごらんよ、村上や岡本はチームの顔だよ。
中日だって、立浪監督は三塁を石川昂弥に任せて、チームの顔にしたい構想でしょ。
佐藤輝明はそのスケールと期待度の大きさを考えても、阪神の三塁に最もふさわしい選手だ。
ただ、村上と同じ時代を生きている以上、三塁でベストナインとか、代表入りとかは今後厳しいかも知れない。
それでも、阪神は掛布以来のミスタータイガースを継承できるどうかという意味でも、佐藤輝明を三塁で使い続けて欲しい。
大山には悪いけど、佐藤輝明の爆発力への期待はケタ違いなのよ。
今は雰囲気だけ凄いけど(苦笑)、横浜スタジアムでの場外ホームランとか、西武ベルーナドームでの1試合3発とか、やっぱりテルは持っているものが違う。
今は代表入りなんてしなくていい。
入団2年目で20発、84打点、実はすごくないですか?
外国人なら全然及第点だけど、「佐藤輝明」だから、「まだまだ」と言われる。
もちろん、「コイツ、おだてたら絶対調子に乗って、手を抜くんじゃないか」とシロートにも思わせるくらい、まだまだ本気モード入ってないぽいけど(笑)。
彼を一流に育てあげるのには、腰を据えて佐藤と向き合い、まるで日本ハムが大谷にしたように、佐藤のための育成プログラムを組むくらいでないとダメだと思う。
それをやるのは水口打撃コーチなのかな? それとも岡田監督自身なのかな?
井上広大も前川右京もいいけど、やっぱり佐藤輝明を育ててくれないと、ファンは満足しない。
本人も打順は「3番」が好きなようだが、今は3番でも5番でも6番でもいい。
いずれは4番サードで甲子園を飾る選手。
管理人は、佐藤輝明をそう見ている。