幻の銭湯 in筑後 | 旧DMX Blog

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それはまるで、使われなくなってすでに数十年が過ぎた町工場のような建物だった。

一見しただけでは印象に残らない、しかし注意深く見るととても気になる存在。

地元の人でもほとんど知らない、幻の銭湯は、今日もひっそりと営業していた。



筑後市の物件を23名で清掃した後、ぼくたちは市役所のE崎さんに連れられ、銭湯に向かった。

「面白い銭湯を見つけたんですよ~」とE崎さん。

「レトロ」と「面白い」という言葉に反応し、少しずつテンションを上げながら向かうと、程なくして辿り着いた。

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大きい車ではとても入れない細い道沿いに、それはあった。

「え?これすか?」と思わず声がでてしまう。

というのも、どうみてもこれが営業している銭湯に見えないからだ。

朽ちた木造の外観からは、とても現在利用されている建物と想像できないし、(全くもって失礼な話だけど)閉店して20年と言った方が納得がいく。


しかし、よく見てみると、外に薪がたくさん積み上げられているし、壁には「洗湯」と書かれている。「銭湯」ではなく、「洗湯」。

現在時刻17:30、どうやらまだ営業していないようなので、お店の人を探して建物の間を通って、奥に入って行った。

すると、イケメンなおじいさん(以下、Sさん)が登場。

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釜で風呂を沸かしているところだった。

外に積んであった薪は、このためか、と納得。

E崎さん「今日は何時からですか?」

Sさん「・・・・」

E崎さん「(大きな声で)今日は何時からですかー?」

Sさん「・・・・」

どうやらSさんは耳が遠いとのことで、コミュニケーションに苦労しつつも、
すでに営業中だということがわかった。

早速風呂へ。

外から見ても古いが、中に入ると、もっと古い!

創業80年とのことだが、80年間一度も改装していないんじゃないかと疑ってしまうほどの年季の入りよう。

さらに驚いたのは、室内に全く仕切りがないということ。

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もちろん男女のスペースは申し訳程度に壁が立っているが、男湯自体はワンルーム。
脱衣スペースも、洗うスペースも、浴槽も、全部ひとまとめだ。ものすごいザックリ感。

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そして、室内にはこんな時代を感じさせる看板がずらり。
電話番号が3ケタとか、2ケタとか(笑)

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写真だけでは伝わらないですが、とにかくすべてが味わいMAX状態。


銭湯の料金表が貼ってあった。

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大人:120円
子供:60円
洗髪:50円

えー、どこからツッコんだらいいのか悩ましい。
まず、とても営利目的とは思えません。

あと、洗髪50円について。
頭を洗ってくれるサービスがあるの?いや、あるわけない。

もちろん自分で洗うんだけど、お湯をたくさん使うから、別料金らしい。
しかし、50円って・・・。安すぎる。

ちなみに、ぼくは洗髪したので、帰りにSさんに50円払おうとしたら、
受け取らなかった。NPOもびっくりのノンプロフィットぶり。

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薪で風呂を沸かすのに全力を出して燃え尽きたSさんは、入口で座り込んでいる。
この過酷な作業を月に1度の休み以外は、今も毎日続けているそうだ。

すぐ近所に50年ほど住んでいる物件のオーナーさんですら、この銭湯のことは知らなかった。
幻の銭湯は、ひっそりと、地元の人にも知られずに、今日も営業している。

場所はこちら