2024年7月11日午前10時05分頃、

 

大阪府忠岡町の 南海電鉄 の踏切で、関西空港発難波行き上り急行電車(8両)が、踏切内で立ち往生していたトラックと衝突した事故は、皆様の記憶に新しいと思います。

 

     

 

ただ、この事故の第一報を聞いた瞬間、かの 男里川列車脱線転落事故 を彷彿しましたが、不幸中の幸いと申しましょうか、けが人も出ずに済んだものの、どうして事故が起こったのか? そして、どうすれば再発が防げるのか?について、個人的な意見を書いてみようと思います。

 

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1.トラック側に落ち度は無かったのか?

 

事故のあった踏切は、特に線路内の 幅員が狭い ため、地元の方が抜け道として利用する 裏道 であって、なぜここに配送用のトラックが進入してきたのかが疑問である。

 

     

※Googleマップより

 

事故の原因を作った運送会社の細かな指定ルートは不明だけれど、普通であればもう少し広い府道か国道を利用するのが一般的ではないだろうか?

 

ただ、一部では トラック進入禁止道路 との意見も見られましたが、これは大型トラックの通行禁止であるので、今回のような中型車の場合は違反にはならないのです。

 

     

 

 

 

次に、当該トラックは降りている遮断機を突破したのではなくて、踏切を渡っている途中に遮断機が降りて 立ち往生した との証言ですが、南海の場合はJRとは違って、警報機が吹鳴した後に一呼吸置いてから遮断機が降りるシステムですので、これは100% 一旦停止を怠っている証拠 でしょう!

 

     

 

いや、もしかするとスマホを弄りながら運転していたのか、はたまた音楽を大音量で流していたのかも知れませんね?

 

つまるところ、いくら運送業界が人手不足とは言え、このような一般常識すら欠如した 低レベルのドライバーがハンドルを握る ようでは、事故は一向に減らないと思うのです。

 

 

 

2.南海側に落ち度はなかったのか?

 

当該踏切には 障検(障害物検知装置) が完備されていますので、もしも遮断機が降りた後に線路内に障害物があったとするのなら、特殊信号機が発光しているはずです。

 

     

 

 

       

※当該踏切、矢印が障検

 

 

そして、もしも遮断機が降りた後に踏切内で異常があれぱ、このように発光して列車に伝えます→

 

 

 

 

当該列車がひとつ手前(南側)の踏切を通過する速度約95km/h(下画像)で、ここより事故のあった踏切までは約4~500mですから、この地点で特殊信号の発光を確認して 非常制動を取れば、今回の衝突はまぬがれていたはず ですが、今回は止まり切れずに衝突してしまいました。

 

     

 

※今回はトラックでしたが、もしも歩行者や車椅子の方が閉じ込められていたら…?

 

 

 

と言うことは、矢印の部分(事故のあった踏切)の特殊信号がはたして運転士から見えるのかどうなのか? 

 

付け加えるのなら、もう一度当該踏切の画像を詳しく見てみますと、くだんの特殊信号機は踏切の直前に一箇所しか設置されていませんので、要は400mほど離れたところから、これを確認出来るのか?と言うことなのです。

 

     

 

すなわち、発光→確認→制動が数秒遅れたことで、今回のような 低速での衝突 という結果になってしまいましたが、そう考えますと、いっそのこと特殊信号の発光と連動して、列車に自動的に 非常ブレーキ がかかる仕組みにすれば安心のようにも見えますね…?

 

しかし、発光のほぼ大半が、いわゆる残存歩行者や遮断機を無理にくぐる者による発光であるため、これを連動してしまうと定時運行に大きな支障が出るデメリットの方が大きいと思われます。

 

      

 

 

 

ですから、今後は特殊信号そのものを増設するか?もしくは位置をずらすか?に加え、現在の目視のみに頼らず、車の運転支援システムのように、発光と連動して 運転室に警報が鳴るシステム などを併設するなどの対策を取るのが、ひとつの方法だと思うのです。

 

 

 

 

3.不幸に不幸が重なる?

 

当該上り列車の春木駅発車が10:04→ 踏切通過が10:06

同時刻の下り列車の泉大津発車が10:04→ 踏切通過が10:05

 

もしも…

互いが定刻通りに運行していたとすれば、当該踏切の手前で停車していたトラックが、を下り列車が通過した後に一旦遮断機が上がったはずです…

 

しかし、不幸にも数秒後に上り急行が接近したため(忠岡駅通過辺り)、間髪入れずに再び踏切が吹鳴したと思われます。

 

     

 

ですから、トラックが踏切に進入しはじめたものの、たまたま運悪く歩行者が居てそれを避けたためスタートが遅れたのか? 

 

はたまた時間に追われるスケジュールを組まれていたとするのなら、 一気に渡ってしまおう! と強硬に侵入した結果なのかも知れませんね?

 

 

4.不幸中の幸い

 

他方、もしも…

下り列車に1分ほどの遅延が発生していたとすれば、今回は間違いなく上下列車同時に接触してしまい、 最悪の場合は脱線転覆の可能性があったのかも知れません?

 

加えて、この踏切横の橋梁は、近年新しいものに架け替えられていたため大事には至りませんでしたが、古いままの ガータ橋 ですと、スピードが速ければ間違いなく槙尾川に列車が転落していますし、当日は前日からの梅雨前線の影響で水かさも相当ありました。

 

     

 

ですから、橋梁横の狭い土手の踏切→

無理やり踏切に進入(男里は踏切内でエンスト)→

トラックが立ち往生→列車と衝突

と言う、まさに 男里川列車脱線転落事故 に酷似していますが、幸い今回はそれとは違う結果になったものの、ひとつ歯車が狂えば未曽有の大惨事になっていただけに、次に同じような事故が二度と発生しないためにも、互いが色々と知恵を絞って対策しなければならないと思いました。