だめでした。わたしのような病気で死ぬことが近い者が見るべきものじゃなかったと後悔しています。
原作は大好き。何度も繰り返し読んでます。
最近、コミカライズ版も買ってみて読みました。マンガというのも悪くないと思いました。
でも、映像はダメです。意識を持っていかれそうになります。
客観的に、わたしが闘病中でなかったり、つい1年前に家族を亡くしたりしてなければという意味での「客観的」に見るなら、この映画は良い出来栄えだったと思えます。
原作に忠実すぎるあまりにモノローグが続く構成と、やたらピンクや赤に彩られた世界のイメージ、宗教的な香りを少しだけ感じさせられる静謐な劇伴。
10年前のわたしだったら、すごく満足したんじゃないかなぁと思うのです。
実際、劇場公開しているのを見に行ったわたしの弟の感想は、「悪くなかった」「観客は若い女性が多かった」てなくらいで、悪い印象ではなかったような記憶があります。
でも、死生観につながるストーリーに、暴力を組み合わせる映像は、がん患者となった私にはダメでした。
平安になる。ハーモニーになるという耽美な世界へつながる道が暴力によって舗装されていることを見せられるているような映像構成は、一瞬、原作の解釈違いかと思いたくとなりましたが、原作とは違ってはいないこともあり、少なからず困惑させられました。
原作者の伊藤計劃は、果たして彼の闘病中にそんな世界を描きたかったのか。
原作者の彼は小説を残して若くしてこの世を去ってるので解はわかりませんが、果たしてこの映画のイメージのようなものを思い描いたのか。
そうは思いたくないと思いつつ、そして、視聴規制が年齢別であるP12だけというのも、もしかしたら不適切なんじゃないかと思ったりもしました。