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“Life with Sports Brand” DLIVE
フットボールライター itch のブログ

Football goes on 特別編 ~itch ブラジルへ行く~ vol.14


フットピーポーよ!どっこいまだブラジルで生きている、itchです!

久しぶりの更新ですがそれには理由がありまして、本当は週末にカンピオナート・ブラジレイロ・セリエA、ブラジル全国選手権の観戦記を予定したのですが、滞在しているリオでの開催がなんとゼロ!

セードルフが活躍中のボタフォゴ×セレソンのストライカーであるフレッジ所属フルミネンセという好カードを楽しみにしていたのに、会場はなんとレシフェのペルナンブコ!そう、あのイタリア×日本が行われたスタジアムで、リオからは1000キロの距離、無理っす(笑)


現在リオではスタジアムの老朽化、暴れた観客への制裁などで使えるスタジアムが実はゼロ!コンフェデファイナルの舞台マラカナンも、まだ完成していなくてコンフェデ終了後からただちに工事が再開され使えず。リオはそんな状況なんです。


やむを得ずブラジル全国選手権はTV観戦。注目のボタフォゴ×フルミネンセはボタフォゴが1-0で制し、現在首位に浮上しました。


そして、今はコンフェデともうひとつの楽しみだったアトレチコ・ミネイロ×ニューウェールズ・オールドボーイズのリベルタドーレス杯セミファイナルを観戦すべく、日本×メキシコが行われたベロオリゾンテに再び訪れています。


チケットも取らずにとりあえずベロオリゾンテに来たわけですが、前回訪問の時にお世話になり仲良くなった、大のガロ(アトレチコ・ミネイロの愛称)ファンであるホテルのフロントマンに教わり、カンビスタ、ひらたく言うとダフ屋からチケットをゲット!


こちらのチケットの取り方を補足すると、通常はインターネットやビレテリア(チケット販売場)で購入しますが、このように大きな試合ではファンクラブの優先販売でほぼソールドアウトしてしまうらしいです。


それでもどうしても観たい場合は、僕のようにカンビスタから買うしかありません。カンビスタはスタジアム周辺か、驚くことにガロのオフィス(!)前にそれらしい人がたむろしているので、「テイン・ビレーチ?(チケットある?)」「クワント・クスタ?(いくら?)」この2ワードさえ覚えておけば、何とかなります。偽物チケットを売りつける人もいるらしいので、心配していましたが僕のは本物でした。参考にしてください。


「リベルタドーレス杯チケット(表)」

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「リベルタドーレス杯チケット(裏)」

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この日の試合はなんと22時キックオフ!試合が終わるのは0時!さらにこの日も、コンフェデから行われている大規模なデモが予定されていて、フロントマンからは「試合が終わったらすぐにタクシーでまっすぐホテルに帰ってこい。絶対にセントロに近づくな、特にガロが負けたらなおさら」と忠告を受けていました。


会場のインディペンデンシアは初めてなので、まず明るいうちに下見へ。


「エスタジオ・インディペンデンシア」

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普通に家が密集する下町の中にデーンと位置するその立地!日本じゃまず考えられません(笑)

夜になりデモの花火がボンボン鳴り響く中、試合の2時間前に会場に向かいました。


インディペンデンシアにもっとも近い駅「HORTO」で降りた途端に、もうガロのチャント大合唱!会場まで歩いて10分ぐらいはお祭り状態で、爆竹がガンガン炸裂して、爆竹が鳴るたびに「ガ~ロっ!」の合いの手が上がってました。

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会場外で雰囲気を堪能し、試合開始1時間前になったのでいよいよ初めてのインディペンデンシアへ突撃!


「インディペンデンシアスタンドからの眺め」

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なんと、ダフ屋から訳も分からず買ったチケットはゴール裏!ガロの熱狂的なウルトラス「TORCIDA(竜巻)」が陣取るエリアのど真ん中!正直、ビビりました(笑)


インディペンデンシアはアウェイゴール裏が無く、その背後にはベロオリゾンテの美しい山並みが広がるというちょっと考えられないデザイン。ゴール裏から見るその解放感全開の風景。こんなのちょっと他では見た事ありません。


試合開始1時間前なのに、既にニューウェールズサポとのチャントの応酬が始まっていました。もうリスペクトなんてゼロ(笑)。ゴール裏ではわざわざニューウェールズカラーの赤と黒に塗られた段ボール製の棺桶を、アウェイ席に向かって振りながら中指をおっ立てている素敵な人もいましたね(笑)


しばらくすると耳をつんざく指笛とホイッスルが、ニューウェールズ選手のアップです。


気の毒なのはゴールキーパーとコーチでした。この過激な人達の目の前でアップするキーパーは、終始罵声を浴びせ続けれていました。内容は分からなかったけど、あまりに酷い事を言われたのか、キーパーは途中で振り返って何かを言い返しましたが、それは逆効果で、罵声は倍になってかえってきました。これが南米のアウェイなんだと衝撃。


そして大歓声、ヒーロー登場。ガロの選手たちがピッチに現れます。


もう、全員大合唱!アップ中ずーーっと彼らは歌っていました。誰かから強制される訳でも無く、歌いたいから歌う。そんな感じです。


この日の試合の為に3日前の日曜に行われた全国選手権で、ガロは主力のロナウジーニョ、ベルナール、ジョなどを温存。そしてこの日はもちろんベストメンバー。大好きなロナウジーニョも、若干太目になったその姿でピッチに現れました。


選手たちが引き揚げ、オーロラビジョンに「ようこそ俺たちの家へ!いくぞ!ガロども!」のメッセージと大音量の音楽が鳴り響き、スタジアムの屋根から打ち上げ花火が上がり、いよいよ試合が始まりました。


「2013 7.10 リベルタドーレス・セミファイナル2ndレグ アトレチコ×ニューウェールズ」




1stレグを2-0で落としているガロにとって、この日の勝ち抜け条件は3-0、もし点を取られたら3点差をつけなければいけないという厳しい条件です。ニューウェールズはマキシ・ロドリゲス、エインセなどをヨーロッパから呼び寄せ、監督が元パラグアイ代表監督を務めたヘラルド・マルティーノに代わってから頭角を現し、アルゼンチンリーグで首位を獲得したという好チーム。かなり難しい試合が予想されました。


しかし、その重々しい空気をガロサポーターは怒涛の歌声でかき消します。その声援に乗り、序盤から猛攻を仕掛けるガロ。特にジョのポストプレーと、現在ヨーロッパのビッククラブが熱い視線を送るサイドアタッカー、ベルナールが効いてました。


しかし、状況を大きく動かしたのはやっぱりこの人、マジコ(魔術師)・ガウショ!ロナウジーニョです。


バイタルエリアで前を向きボールを受けたロナウジーニョは簡単にマークを外すと、これぞロナウジーニョというあのがに股のフォームで、狙い澄ましたスルーパスを出しました。


そのパスは最初は強すぎる、と思いました。しかし、俊足アタッカーのベルナールのスピードにドンピシャ。キーパーと1対1になったベルナールはファーサイドに向けて右足を振りぬき、ボールは見事にネットを揺さぶります。ミネイロが待望の早い時間帯での先制点を獲得しました。


その瞬間のゴール裏はもう狂乱状態でした。即、周囲3メートルぐらいの人達とアミーゴに(笑)。スタジアムに響く喜びの歌。ミネイロの攻撃がさらに加速します。


しかしここでエインセの職人芸が!接触プレーの後にピッチに倒れこみ、時間稼ぎ!ピッチの外に運びだそうとするとゴロゴロ転がりながら逃げるという素晴らしい技が炸裂!しかも現場はこちらのゴール前。当然すさまじい罵声を浴びるもまったく意に介さないエインセ。


いい流れを断ち切られ、ミネイロは一息ついてしまいました。さらにニューウエールズの荒々しいプレーが襲い掛かります。この日の審判はコンタクトプレーに寛容で、観客を完全に敵に回していました。他の審判ならペナルティーを取ってもおかしくないプレーが少なくとも2回はありましたね。隣の若い人は審判に向かってピストルをバンバン撃つジェスチャーをしてました。覚えておけよ、という事でしょう。


さらにエインセがほぼワンプレーごとに時間稼ぎで倒れていたりして、この人の神経はどんだけ図太いんだろうと感心していたら、なんと前半終了間際に交代!マジだったのね(笑)。給料分しっかり働きピッチを去るエインセは、賞賛の証である盛大なブーイングと指笛に包まれていました。その中をエインセは牛歩戦術でゆっくり、実にゆっくりと歩いていく。しかも頭上で手を叩きながらその声援に応えるように。カッコよかったです。


ミネイロは押せ押せの前半で2点目が取れなかったのが痛かった。後半、ニューウエルズはまずジョのポストプレイを抑えにきました。さらに前半を飛ばしすぎたツケで、特にトップ下のロナウジーニョの足が止まり、相手5番のマークを外せなくなります。


中央の攻撃経路を失ったミネイロはベルナールを頼るも、前半のように厚みのある攻撃が仕掛けられない。ニューウェールズの反撃が始まりました。目の前のゴールで、目を覆いたくなるようなシーンが続きます。


後1点が遠い。すると突然、バックスタンド側の照明が消えてしまうトラブル発生!試合は中断され、時間にして10分ほど試合が止まります。


しかしこのアクシデントがガロにとっては追い風でした。中断中にゴール裏ではチャントのメドレーが始まり、その効果がバックスタンド、メインスタンドに広がっていき、スタジアムの雰囲気は前半の雰囲気に回復。


さらに選手達もこの中断中にドリンク補給、ミーティングを行い、照明復旧後には見事に流れを取り戻します。ここからガロは残った交代枠2枚を一気に使います。疲れの見えたベルナールを下げたその交代はブーイングが起きたものの、その交代で入ったギレーミが残り5分でガロを救いました。


ロングスローのこぼれ球をダイレクトでミドルシュート。リプレイで観るとそのシュートはアウトがかかっていて、右足から放たれたそのボールは、キーパーから逃げていくようにゴール右隅に突き刺さりました。スコアは2-0!


1stレグとまったくのイーブンのまま試合は終わり、延長戦かとお思いきや、いきなりPK戦が始まりだしたので焦りました(笑)


実はPK戦をスタジアムで観るのは初めてで、そのシーソーのように感情が揺れ動く感じ、想像以上にスリリングで心が揺り動かされるものなんですね。


もう周りの観客はスリリングどころの騒ぎじゃありません。全員が祈り、そして呪っていました。ジョが外した時は全員がフリーズ。その後ニューウエルズが外し息を吹き返しますが、またもリチャリソンが大きく外し、今度はあからさまに全員が罵声を浴びせました。


しかし、その後、またもニューウェルズが外すという奇跡が!ラテンの人は単純なのでスタジアムはまた「いけるぞ!」的な空気に戻り、そして5人目のロナウジーニョが重い一発を決め、サポーターに向かってエンブレムを叩いてみせます。


ニューウエルズの5人目はマキシ・ロドリゲスでした。


スタジアムは耳をつんざく指笛。ゴール裏の人間はありとあらゆる方法でマキシ・ロドリゲスの集中を乱す為に、中指を立てる、手をヒラヒラさせる、ケツを出す(!)など、ありったけのアイデアを披露していました。


そしてマキシ・ロドリゲスのキックは甘かった。それをビクトールが弾いた瞬間に、スタジアムも弾けました。


まさにグレートゲーム。ファイナル進出をはたしたガロの選手たちは全員がユニフォームを脱ぎ、ゴール裏に向かってユニを振り回します。それに応え、サポもユニを脱ぎ、同じくユニを振り回す!隣の人の肘が肩に当たるけどアドレナリンのせいで気にならず、一緒にブンブン僕もユニを振り回しました。


「勝利の瞬間のガロども」




初めて体験するブラジルのクラブサッカーは、コンフェデの比ではありません。やはり国民の代表セレソンよりも、わが町の愛するチームの方が熱い!コンフェデに漂っていたお祭り感はゼロ。クラブチームの試合は「戦い」なのです。


試合が終わったのは実に午前1時!なのにインディペンデンシア前の通りでは、このように終わらないパーティーが始まっていました。


「試合後のインディペンデンシア前」






もうすっかりこの熱にやられてしまいました。ブラジルサッカー最高!こりゃ2週間後のファイナルも観るしかないでしょ!という訳でリベルタドーレス杯決勝に行く事に決めました!


もし、優勝しようもんならいったい何が起きるのか、今から楽しみで仕方がありません!

そんな興奮のベロオリゾンテからでした、チャウ!



試合の動画はこちらです。





Football goes on 特別編 ~itch ブラジルへ行く~ vol.13


ブラジルでパブリックビューイングに参加!~コンフェデ決勝 番外編~


コンフェデが終わってはや10日、今さらながらそんな過ぎ去りしファイナルの日の事を振り返ってみようと思う。

というのもなんか燃え尽きちゃって、どうもブログを書く気がせずに、ここリオで再会をはたしたオーロ・プレット視察団の面々とコパカバーナ周辺で遊んでました!ビバ!ビーチ!ビバ!ビール!

さ、そんな訳でファイナルの日はチケットが無いので、当初の予定どおりパブリックビューイングで観てきた。

これまで、ベロオリゾンテでパブリックビューイングを利用した事はあったけど、リオのパブリックビューイングは初めて。しかもセレソンの試合でのパブビューも初めて。よくニュース映像とかで「LIVE ―ブラジルリオ・デ・ジャネイロ」とか字幕が入って、とんでもない人の数で埋め尽くされてる会場の映像が流れる事があると思うけど、あの中でファイナルを観るのが今回の狙いだ。

今回のコンフェデでは各開催地に「CONCENTRA」という特設会場が設けられ、そこではライブ、トークショー、ダンス、協賛スポンサーによるイベントなどなど、様々な催し物が開かれ、そして会場内に設置された巨大スクリーンでパブリックビューイングができた。

基本的に入場無料。ただし、ベロオリゾンテではホームレスへ配給する食料と入場券を交換するシステムだった。スペイン×イタリア戦を観戦しに向かった時にはそれを知らず、急きょすぐそばの雑貨屋で牛乳を買って交換してたら前半10分ぐらいを見逃した。

なのでリオでは家のそばのスーパーで激安2レアルのコメ1kgを購入し、万全の体制で会場入り。聖闘士は同じ技を二度は食らわない。

何も知らないトーシロどもが直接入場口に向かって係員と揉めてる。これだから素人は困るよね、と心で呟きながらスマートに係員に「交換所どこ?アーハン?」と聞き、指を差された方向にしゅしゅっと向かう

ベロオでは掘っ建てのテントにいいかげんなテーブルがあるだけだったけど、さすがは大都市リオ、きちんとした立派なコンクリート製の窓口だった。窓口には狭い小窓がついていたので、さては、と思いそこにぎゅうぎゅうコメ袋を捻じ込む。さあこれで文句はなかろう、チケット・プリーズ!


警備員が飛んできた


厳しい口調でなんか言われる。ホワイ?コメが足りないのか?モア?ノー?よく聞くと、パスポートを出せ!と言っている。どうやらリオの入場は食料の交換は不要で、身分証明書の提示だけでいいらしい。窓口周辺は奇妙なアジア人がコメ袋を片手に騒いでいるという面白い芸が披露された事から、暖かい笑いに包まれていた。

逃げるようにチケットを受け取りその場を離れ入場する。

「CONCENTRA RIO」

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さすがは3時間前なので入りは3割ほど、しかし、会場に入るやいなや前方のステージから陽気極まりない、イカしたリズムが流れてくる。そう、サンバだ!


ステージではリオのカーニバルを思わせる大がかりな大サンバショーが繰り広げられていた。そういえばサンバの国ブラジルに来て、本格的なサンバに触れるのは初めて。すかさずステージ真ん前まで行く。

4拍子のバスドラムと8拍子のタンバリンや太鼓、カウベル、そして16拍子で掻き鳴らされるガットギターが基本リズム。しかしそれらのリズム隊はそれぞれが複雑な裏打ちのシンコペーションを重層的に行っているので、適当に身体を動かしてもどこかのリズムに引っかかり簡単にノレる。というかそのリズムを面前で浴びていると身体が勝手に動き出す。

こりゃあいい、と若干ロックノリが入った感じでユラユラしながら周りを観ると、みーんな踊っていた。これがサンバの魔力か。60歳ぐらいの老夫婦が二人でデュエットしていたんだけど、これがもうリズムの捕え方が完璧でキマッてた。やっる~

すると音楽が高鳴り、ステージ上のサンバクイーンが交互にソロを披露する見せ場になった。青い服を着た、背の低い黒人のダンサーにすぐ目が奪われた。彼女のリズム感はとんでもなかった。16拍子、8拍子、4拍子を自在に使い分けて踊り、しかもそのリズムチェンジ時にキュートな決めポーズを一瞬はさんでノリをリセットするのだが、そのキレが凄くいい。

他のサンバクイーンが激しさ、エロさ、とかで勝負する中、彼女は神が与えしそのリズム感を堂々と披露していた。結果圧勝。自然と彼女のソロ時間が増える。オーディエンス熱狂。俺も熱狂。もう5日たつけどあの子の踊りは、まだ残像になっていて消えない。そんぐらい凄かった。

そうこうしているうちにいつの間にか会場は5割ほど埋まっていた。サンバショーは終わり、ステージではライブの準備。その間観客を飽きさせないようにDJがダンスミュージックをガンガンかけていた。ビールを飲み酔いに任せて踊っていたら、大嫌いな江南スタイルがかかったので(ブラジル人はノリノリ)、我に返りメシにした。

腹を満たし、さらにビールで頭を痺れさせ、トイレも済ませ、試合開始30分前にはたと考える。

さあ、どこで観よう。。。

会場は既に8割ぐらい埋まっていた。その雰囲気がまたスタジアムとは全然違って、かなりアナーキーin theブラジルな感じで、アイ・アム・ア・アンチ・クライストそうな奴ばっか。入れ墨率50%オーバー。正直、ちょっとビビった。

しかーし、それこそ望んできた光景じゃないか。あのニュース映像の中で、サッカーが観たかったんだろ?と自分を奮い立たせ、最前列へ向かう。だいたいステージから5mぐらいの所に家族連れの一団を発見し、今日はこの辺で勘弁してやる事にしてその家族の一員のように観る事にした。

試合開始前、会場内のスクリーンにはこの特設会場に訪れた様々な観客が映されていた。そこで日本人も来てるぞ~的な感じで突然自分が大写しになった。スクリーンには焦ってカメラを取り出し、スクリーンに映る自分を撮ろうとしている奇妙なアジア人の滑稽な姿が映り、周辺は暖かい笑いに包まれる。カメラを構えたときにはもう映ってなかった。周辺はまたも暖かい笑いに包まれた。

ブラジル対スペイン、たぶん世界中の人が望んだ決勝戦だろう。カウントダウンが始まり、ゼロになった瞬間にスクリーンがTV放送に切り替わる。湧き上がる歓声。

この決勝戦のチケットは一番安い席で定価約100ドル。ブラジルがファイナル進出したその日に相場は500ドルに達し、相手がスペインと決まった日に、最低1000ドルから交渉開始。そんな値段設定になっていた、らしい。

なのでこの日、マラカナンを埋め尽くした7万人超はほぼ中流以上、富裕層なのだ。

ここパブリックビューイングを埋め尽くす人たちはと言うと、この国の大多数、つまり貧困層の人達だ。みんなセレソンのユニを着ているけど、リバウドやロナウド、ロナウジーニョなど、ずいぶん懐かしいセレソンメンバーのボロボロのユニばかり。

スタジアムで観戦した時に、やっぱり南米のスタジアムは迫力が違う、これぞ本場の空気だ!と思った。だけど、どうやら違ったらしい。あれはまだお上品だった。

それを確信したのは国家斉唱の時だった。

スクリーンの国家を歌う選手に合わせて、会場でも国家が歌われる。それがちょっと常軌を逸したような声量でビックリした。老若男女全員絶唱。それにしてもこの国の人達は本当に我が国の国家を歌うのが好きだ。胸を張ってみんなが国歌を歌える喜びに満ちて歌う。ましてやファイナル。この場で国歌を歌う事を許されるのは世界でたった2つの国しかない。その名誉、誇りが声をさらにデカくする。

目の前の家族で一番声を張り上げているのはサングラスをした70歳ぐらいのお婆ちゃんだった。

国歌で心を1つにした会場のボルテージは開始2分でいきなりマックスになった。フレッジの泥臭い先制。たぶんその現象は偶然、振り上げた手に持っていたカップからビールがこぼれ落ちた事から始まったんだと思う。しかしそれは瞬く間に周囲に伝染した。しかもオーバーに。そんな訳でそこいらでビールかけが始まりだす。


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もう喜び、を通り越して狂乱。空からはビールが降り、地上ではパンクのライブとかであるモッシュみたいな感じで、そこかしこでぶつかり合って喜びを表現。スタジアムはやっぱりあれでもお上品だったのだ。

この日この狂乱の宴は幸いな事に3回も行われた。しかもその宴は回数を重ねるごとに加速されていった。空から降るビールの量は最後はドシャ降り。この日のリオは時折雨がパラパラ降っていたけど、会場では明らかにビールの方が降っていた。服なんてもうビシャビシャ。カメラが壊れるかと思った。

その狂乱の宴のシメはその都度決まっていた。「エウ・ソウ・ブラジレイロ」の大合唱だ。


「Eu sou Brasileiro, com muito Orgulho, com muito Amor」





「我はブラジル人なり、それはとても誇りであり、とても愛すべきことだ」いい詩だと思う。

彼らは嬉しい時だけではなく、セレソンが苦しい時もこの歌を歌う。スタジアムで観たウルグアイ戦でもそうだった。すごく慈愛に満ちた綺麗なメロディーで、このチャントが気に入り、覚えてから気づくと鼻歌で歌ってしまう。

3点目の後の大合唱時に興奮して思わず一緒に歌っちゃった。すると前の家族の親父に爆笑されながら突っ込まれた。「ヴォッセ・ブラジレイロ?」お前がブラジル人だって?はっと気づいて顔、真っ赤。そうでしたエウ・ソウ・ジャポネスでしたね。

世界王者スペインに3-0、大会を通じて戦う集団と化し、後日フラメンゴオフィシャルショップ店員に「あいつは俺たちの希望だ」と言わしめたエースのネイマール(サントスのプレーヤーなのに!)がMVP。ドラマだったらベタすぎてボツになりそうな完璧な優勝だ。

試合後のパブリックビューイングはDJがガンガンにHIP-HOPやダンスミュージックを流しだし、モロにクラブの様相と化した。あんな試合を見せられた後だけに、観客たちはノリノリで踊っていた。

会場を一回りして、家路につく。半裸になりエロい踊りを披露する女の子、ガンガン飲む男ども、試合を熱く語りあう親父達、楽しそうな場を背にして会場を後にした。ここからは彼ら王者ブラジル人の祭りで、傍観者の日本人のものでは無い。

自分の中では、実際にスタジアムで観戦できる最後の試合、セミファイナルのブラジル×ウルグアイで、このコンフェデ観戦は完結していた感があった。だけどパブリックビューの雰囲気はちょっと違う意味で衝撃だった。

わかったような気になって、全然わかっていなかった。大会は終わった。だけどブラジルサッカーの日常、クラブのリーグ戦は早くも今週末から再開される。南米最強クラブを決めるリベルタドーレス杯も再開された。

たぶんブラジルサッカーの日常は、あのパブリックビューの雰囲気みたいな感じなんだと思う。コンフェデは終わったけど、この旅はまだ少し続く。次はそんなブラジルサッカーの日常を体感してみようと思う。


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Football goes on 特別編 ~itch ブラジルへ行く~ vol.12


フットピーポーよ!終わってみれば、ブラジル人の、ブラジル人による、ブラジル人の為の大会でした。コンフェデレーションカップファイナル、まさかの3-0でブラジルが3連覇を決めました!

今回はリオのパブリックビューイングで見守った、コンフェデレーションファイナルを振り返ってみたいと思います。

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パブリックビューは完全にお祭りモードで、ずーっと試合開始までサンバダンスショーや、ライブをやって決戦を盛り上げていました。

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しかし、楽しみにしていたイタリア×ウルグアイをなんと放送せず!後で知ったんですけど、なんか壮絶な3位決定戦だったみたいすね。ブッフォン兄貴が神セーブ連発だとか。ああ、観たかった!


そんなこんなでお祭り気分を楽しんでいたら、あっという間に時刻は19時。いよいよメインスクリーンが試合会場に切り替わり、ファイナルの観戦が始まりました。


ブラジルは今大会で一貫して採用してきた4-3-3、対するスペインも同じく4-3-3。毎試合代わるスペインのウイングはこの日は左にマタ、右にペドロでした。


前回のFGOで「ポイントはサイドの攻防、特にブラジルの左サイド」と書きましたが、やはりこの試合、事が動き出したのはサイドからでした。


その中でも大きかったのが、前半2分という早い時間に出た、ブラジルの先制点だったと思います。


マルセロからのサイドチェンジを受けたフッキが、ファーに向けてシンプルにクロス。大きく左右に振られたスペインの守備陣は、中で構えるネイマールとフレッジに充分なプレッシャーをかけられず。最後はフレッジの泥臭い押し込みで先制しました。


こういった重い試合での先制点はデカいです。以後、スペインは前に出ざるをえず。ブラジルの鋭いカウンターにさらされる展開になりました。


ブラジルのストロングポイント左サイドに配置されたペドロはがんばっていたと思います。献身的な守備でなんとかネイマールとマルセロの分断をはかっていました。しかも前半には決定的なシュートも放ってます。


もし、あそこでダビド・ルイスのスーパーカバーリング(オウン寸前の超技巧的スライディング!)が飛び出さず、同点にされていたらこの試合はこんなワンサイドではなかったはず。


ただペドロはマルセロとネイマールの分断には成功しましたが、そのネイマールをアルベロアが止められない。


ネイマールはこの大会で、左サイドのプレーをものにしましたね。左でもらい、中央のオスカールに預けてスペースに走り込み、リターンパスをニアの天井に左足で打ち抜いた2点目、完璧でした。


おそらくバルサでもメッシがいる以上、同じく左ウイングで起用されるネイマール。このプレーができるならバルサでも期待できそうです。


最終的には3点とったブラジルですが、僕が目を見張ったのはむしろ守備でした。


あのブラジルがヨーロッパスタイルのプレッシングチームになっていました。フレッジ、ネイマール、フッキは献身的にフォアチェックを行い、それにより限定されたパスコースをパウリーニョ、ルイス・グスタホが厳しく詰めてかっさらう。高い位置で奪ったボールは、無駄な横パスをせず、シンプルに空いているサイドに展開してフィニッシュにつなげる。しかも相手はあのスペイン。世界で一番のパス回しをする国に、サッカーをさせませんでした。


たしかに今大会のセレソンは、ドイツや南アのスーパースター集団のような華やかさはありません。しかし、チームとして見たとき、イヤなのは今大会のセレソンでしょう。


各ポジションに代表クラスが2~3人はゴロゴロ存在するブラジルという国では、誰が監督をやっても必ずメンバー選び、起用に異論が出ます。そこで最大公約数的なセレクトをするのか、はたまた反対を押し切っても自分のサッカーに適したメンバーを選ぶのか。


後者を勇気をもって実行しているのがフェリポンのセレソンです。フェリポンは名前ではなく、プレーでメンバーを選んでいます。カカもロビーニョもガンソもいない代わりに、自分の描くサッカーに必要な駒をセレソンに呼んだわけです。


そしてそのフェリポンが目指すセレソンの姿というのが、このファイナルでの姿だと思います。ブラジルの今大会の得点のほとんどは速攻。プレッシングショートカウンターをメインに据えた、堅守速攻スタイルがおそらくフェリポンが描くセレソンなのでは。


あのブラジルにもついに、現在のヨーロッパサッカーのトレンドである組織化の波が押し寄せているわけです。


南米予選という真剣勝負での強化が行えないセレソンにとって、今大会の意義は大きかったはず。優勝と言う結果も出した。内容も良かった。もうブラジル国内でフェリポンに異を唱える人はいません。フェリポンは真剣勝負でのチーム強化と共に、より自らのサッカーを加速させる権利も手に入れました。


後は1年後の本大会に向けて、チームの骨格は変えずに、新戦力をどれだけ組み込んでチーム力を上げられるか。今大会で頭角を現したパウリーニョ的な選手を組み込めるか。


このセレソンは、もちろん組み合わせにもよりますが、来年のW杯でかなりの所まで行くと思います。安定した強さを発揮できるだけではなく、モダンフットボールが指向する方向に沿ったチームだからです。


「セレソンは地味で前評判が低い時ほど結果を出す」これまでそう言われてきましたが、その種明かしとはこういう事なのではないでしょうか。


「個の能力よりも、組織力を重視したセレソンは結果を出す」


まさにドンピシャなフェリポンのセレソン。それを目の当たりにしたファイナルでした!



↓「セレソンがゴールを決めるたびに大騒ぎ!空からビールの雨が降って来ました(笑)」


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