フットピーポーよ!どっこいまだブラジルで生きている、itchです!
久しぶりの更新ですがそれには理由がありまして、本当は週末にカンピオナート・ブラジレイロ・セリエA、ブラジル全国選手権の観戦記を予定したのですが、滞在しているリオでの開催がなんとゼロ!
セードルフが活躍中のボタフォゴ×セレソンのストライカーであるフレッジ所属フルミネンセという好カードを楽しみにしていたのに、会場はなんとレシフェのペルナンブコ!そう、あのイタリア×日本が行われたスタジアムで、リオからは1000キロの距離、無理っす(笑)
現在リオではスタジアムの老朽化、暴れた観客への制裁などで使えるスタジアムが実はゼロ!コンフェデファイナルの舞台マラカナンも、まだ完成していなくてコンフェデ終了後からただちに工事が再開され使えず。リオはそんな状況なんです。
やむを得ずブラジル全国選手権はTV観戦。注目のボタフォゴ×フルミネンセはボタフォゴが1-0で制し、現在首位に浮上しました。
そして、今はコンフェデともうひとつの楽しみだったアトレチコ・ミネイロ×ニューウェールズ・オールドボーイズのリベルタドーレス杯セミファイナルを観戦すべく、日本×メキシコが行われたベロオリゾンテに再び訪れています。
チケットも取らずにとりあえずベロオリゾンテに来たわけですが、前回訪問の時にお世話になり仲良くなった、大のガロ(アトレチコ・ミネイロの愛称)ファンであるホテルのフロントマンに教わり、カンビスタ、ひらたく言うとダフ屋からチケットをゲット!
こちらのチケットの取り方を補足すると、通常はインターネットやビレテリア(チケット販売場)で購入しますが、このように大きな試合ではファンクラブの優先販売でほぼソールドアウトしてしまうらしいです。
それでもどうしても観たい場合は、僕のようにカンビスタから買うしかありません。カンビスタはスタジアム周辺か、驚くことにガロのオフィス(!)前にそれらしい人がたむろしているので、「テイン・ビレーチ?(チケットある?)」「クワント・クスタ?(いくら?)」この2ワードさえ覚えておけば、何とかなります。偽物チケットを売りつける人もいるらしいので、心配していましたが僕のは本物でした。参考にしてください。
「リベルタドーレス杯チケット(表)」

「リベルタドーレス杯チケット(裏)」

この日の試合はなんと22時キックオフ!試合が終わるのは0時!さらにこの日も、コンフェデから行われている大規模なデモが予定されていて、フロントマンからは「試合が終わったらすぐにタクシーでまっすぐホテルに帰ってこい。絶対にセントロに近づくな、特にガロが負けたらなおさら」と忠告を受けていました。
会場のインディペンデンシアは初めてなので、まず明るいうちに下見へ。
「エスタジオ・インディペンデンシア」

普通に家が密集する下町の中にデーンと位置するその立地!日本じゃまず考えられません(笑)
夜になりデモの花火がボンボン鳴り響く中、試合の2時間前に会場に向かいました。
インディペンデンシアにもっとも近い駅「HORTO」で降りた途端に、もうガロのチャント大合唱!会場まで歩いて10分ぐらいはお祭り状態で、爆竹がガンガン炸裂して、爆竹が鳴るたびに「ガ~ロっ!」の合いの手が上がってました。

会場外で雰囲気を堪能し、試合開始1時間前になったのでいよいよ初めてのインディペンデンシアへ突撃!
「インディペンデンシアスタンドからの眺め」

なんと、ダフ屋から訳も分からず買ったチケットはゴール裏!ガロの熱狂的なウルトラス「TORCIDA(竜巻)」が陣取るエリアのど真ん中!正直、ビビりました(笑)
インディペンデンシアはアウェイゴール裏が無く、その背後にはベロオリゾンテの美しい山並みが広がるというちょっと考えられないデザイン。ゴール裏から見るその解放感全開の風景。こんなのちょっと他では見た事ありません。
試合開始1時間前なのに、既にニューウェールズサポとのチャントの応酬が始まっていました。もうリスペクトなんてゼロ(笑)。ゴール裏ではわざわざニューウェールズカラーの赤と黒に塗られた段ボール製の棺桶を、アウェイ席に向かって振りながら中指をおっ立てている素敵な人もいましたね(笑)
しばらくすると耳をつんざく指笛とホイッスルが、ニューウェールズ選手のアップです。
気の毒なのはゴールキーパーとコーチでした。この過激な人達の目の前でアップするキーパーは、終始罵声を浴びせ続けれていました。内容は分からなかったけど、あまりに酷い事を言われたのか、キーパーは途中で振り返って何かを言い返しましたが、それは逆効果で、罵声は倍になってかえってきました。これが南米のアウェイなんだと衝撃。
そして大歓声、ヒーロー登場。ガロの選手たちがピッチに現れます。
もう、全員大合唱!アップ中ずーーっと彼らは歌っていました。誰かから強制される訳でも無く、歌いたいから歌う。そんな感じです。
この日の試合の為に3日前の日曜に行われた全国選手権で、ガロは主力のロナウジーニョ、ベルナール、ジョなどを温存。そしてこの日はもちろんベストメンバー。大好きなロナウジーニョも、若干太目になったその姿でピッチに現れました。
選手たちが引き揚げ、オーロラビジョンに「ようこそ俺たちの家へ!いくぞ!ガロども!」のメッセージと大音量の音楽が鳴り響き、スタジアムの屋根から打ち上げ花火が上がり、いよいよ試合が始まりました。
「2013 7.10 リベルタドーレス・セミファイナル2ndレグ アトレチコ×ニューウェールズ」
1stレグを2-0で落としているガロにとって、この日の勝ち抜け条件は3-0、もし点を取られたら3点差をつけなければいけないという厳しい条件です。ニューウェールズはマキシ・ロドリゲス、エインセなどをヨーロッパから呼び寄せ、監督が元パラグアイ代表監督を務めたヘラルド・マルティーノに代わってから頭角を現し、アルゼンチンリーグで首位を獲得したという好チーム。かなり難しい試合が予想されました。
しかし、その重々しい空気をガロサポーターは怒涛の歌声でかき消します。その声援に乗り、序盤から猛攻を仕掛けるガロ。特にジョのポストプレーと、現在ヨーロッパのビッククラブが熱い視線を送るサイドアタッカー、ベルナールが効いてました。
しかし、状況を大きく動かしたのはやっぱりこの人、マジコ(魔術師)・ガウショ!ロナウジーニョです。
バイタルエリアで前を向きボールを受けたロナウジーニョは簡単にマークを外すと、これぞロナウジーニョというあのがに股のフォームで、狙い澄ましたスルーパスを出しました。
そのパスは最初は強すぎる、と思いました。しかし、俊足アタッカーのベルナールのスピードにドンピシャ。キーパーと1対1になったベルナールはファーサイドに向けて右足を振りぬき、ボールは見事にネットを揺さぶります。ミネイロが待望の早い時間帯での先制点を獲得しました。
その瞬間のゴール裏はもう狂乱状態でした。即、周囲3メートルぐらいの人達とアミーゴに(笑)。スタジアムに響く喜びの歌。ミネイロの攻撃がさらに加速します。
しかしここでエインセの職人芸が!接触プレーの後にピッチに倒れこみ、時間稼ぎ!ピッチの外に運びだそうとするとゴロゴロ転がりながら逃げるという素晴らしい技が炸裂!しかも現場はこちらのゴール前。当然すさまじい罵声を浴びるもまったく意に介さないエインセ。
いい流れを断ち切られ、ミネイロは一息ついてしまいました。さらにニューウエールズの荒々しいプレーが襲い掛かります。この日の審判はコンタクトプレーに寛容で、観客を完全に敵に回していました。他の審判ならペナルティーを取ってもおかしくないプレーが少なくとも2回はありましたね。隣の若い人は審判に向かってピストルをバンバン撃つジェスチャーをしてました。覚えておけよ、という事でしょう。
さらにエインセがほぼワンプレーごとに時間稼ぎで倒れていたりして、この人の神経はどんだけ図太いんだろうと感心していたら、なんと前半終了間際に交代!マジだったのね(笑)。給料分しっかり働きピッチを去るエインセは、賞賛の証である盛大なブーイングと指笛に包まれていました。その中をエインセは牛歩戦術でゆっくり、実にゆっくりと歩いていく。しかも頭上で手を叩きながらその声援に応えるように。カッコよかったです。
ミネイロは押せ押せの前半で2点目が取れなかったのが痛かった。後半、ニューウエルズはまずジョのポストプレイを抑えにきました。さらに前半を飛ばしすぎたツケで、特にトップ下のロナウジーニョの足が止まり、相手5番のマークを外せなくなります。
中央の攻撃経路を失ったミネイロはベルナールを頼るも、前半のように厚みのある攻撃が仕掛けられない。ニューウェールズの反撃が始まりました。目の前のゴールで、目を覆いたくなるようなシーンが続きます。
後1点が遠い。すると突然、バックスタンド側の照明が消えてしまうトラブル発生!試合は中断され、時間にして10分ほど試合が止まります。
しかしこのアクシデントがガロにとっては追い風でした。中断中にゴール裏ではチャントのメドレーが始まり、その効果がバックスタンド、メインスタンドに広がっていき、スタジアムの雰囲気は前半の雰囲気に回復。
さらに選手達もこの中断中にドリンク補給、ミーティングを行い、照明復旧後には見事に流れを取り戻します。ここからガロは残った交代枠2枚を一気に使います。疲れの見えたベルナールを下げたその交代はブーイングが起きたものの、その交代で入ったギレーミが残り5分でガロを救いました。
ロングスローのこぼれ球をダイレクトでミドルシュート。リプレイで観るとそのシュートはアウトがかかっていて、右足から放たれたそのボールは、キーパーから逃げていくようにゴール右隅に突き刺さりました。スコアは2-0!
1stレグとまったくのイーブンのまま試合は終わり、延長戦かとお思いきや、いきなりPK戦が始まりだしたので焦りました(笑)
実はPK戦をスタジアムで観るのは初めてで、そのシーソーのように感情が揺れ動く感じ、想像以上にスリリングで心が揺り動かされるものなんですね。
もう周りの観客はスリリングどころの騒ぎじゃありません。全員が祈り、そして呪っていました。ジョが外した時は全員がフリーズ。その後ニューウエルズが外し息を吹き返しますが、またもリチャリソンが大きく外し、今度はあからさまに全員が罵声を浴びせました。
しかし、その後、またもニューウェルズが外すという奇跡が!ラテンの人は単純なのでスタジアムはまた「いけるぞ!」的な空気に戻り、そして5人目のロナウジーニョが重い一発を決め、サポーターに向かってエンブレムを叩いてみせます。
ニューウエルズの5人目はマキシ・ロドリゲスでした。
スタジアムは耳をつんざく指笛。ゴール裏の人間はありとあらゆる方法でマキシ・ロドリゲスの集中を乱す為に、中指を立てる、手をヒラヒラさせる、ケツを出す(!)など、ありったけのアイデアを披露していました。
そしてマキシ・ロドリゲスのキックは甘かった。それをビクトールが弾いた瞬間に、スタジアムも弾けました。
まさにグレートゲーム。ファイナル進出をはたしたガロの選手たちは全員がユニフォームを脱ぎ、ゴール裏に向かってユニを振り回します。それに応え、サポもユニを脱ぎ、同じくユニを振り回す!隣の人の肘が肩に当たるけどアドレナリンのせいで気にならず、一緒にブンブン僕もユニを振り回しました。
「勝利の瞬間のガロども」
初めて体験するブラジルのクラブサッカーは、コンフェデの比ではありません。やはり国民の代表セレソンよりも、わが町の愛するチームの方が熱い!コンフェデに漂っていたお祭り感はゼロ。クラブチームの試合は「戦い」なのです。
試合が終わったのは実に午前1時!なのにインディペンデンシア前の通りでは、このように終わらないパーティーが始まっていました。
「試合後のインディペンデンシア前」
もうすっかりこの熱にやられてしまいました。ブラジルサッカー最高!こりゃ2週間後のファイナルも観るしかないでしょ!という訳でリベルタドーレス杯決勝に行く事に決めました!
もし、優勝しようもんならいったい何が起きるのか、今から楽しみで仕方がありません!
そんな興奮のベロオリゾンテからでした、チャウ!
試合の動画はこちらです。





