『ROMMY   そして歌声が残った』歌野晶午 感想


【あらすじ】

稀代の歌姫、ROMMY(ロミー)が殺された⁈

ロックの神様、フランク・マーティン(通称FM)との収録でスタジオを訪れていたROMMYは

仮眠室で亡くなっていた。首を絞められて。


非常口は外から開かない、入り口は見張りが常にある、そんな密室状態の殺人、犯人は?



【あらすじ2】

ROMMY、杉下裕美は小さい頃から音楽の才能を発揮します。しかし母親は勉強と躾でほぼ虐待を裕美に行う人でした。


裕美は音楽に対するものすごい才能を持っていたのですが、周りに理解者が1人もいませんでした。


そして高校生活最後の2月10日。裕美は家から大金を持ち出し、出奔します。


彼女は「広海真紀」と名前を変えジャズクラブCLUB68という店で、ピアノと弾き語り演奏でアルバイトするようになります。その店に通っていた中村茂は裕美の音楽の才能に気づきます。


泥酔状態で道に座り込んでいた広海を偶然見つけた中村は家に上がり込まれ、一晩泊めます。


中村は広海の音楽の才能と美貌に強く惹きつけられます。そして広海も音楽の好みが似ている人をやっと見つけたのでした。


中村は広海が世間に評価されてほしい、その才能は確実にあると思い、広海を応援します。「ステージネームを、ROMMYにするね!」と言われ中村は嬉しくなります。中村が広海のことを「ロミー」と呼んでいたからです。


【感想】

歌野さんの小説は叙述トリックが使われることが多いので、注意して読んでいたのですが、沢山の伏線が収束する高揚感を呼び起こされる本作でした。


中村と広海がやけに「過去を知られないようにしなくては」と繰り返すので、何か?と思っていたのですが、真相が語られてやっと「あれもこれも伏線だったんだ…」と楽しい驚きを体験することができました。


なぜ、ROMMYは殺されたのか、は中盤になってもう暴露されてしまいます。「推理小説なのになぜこんなに早く犯人と真相がわかってしまうんだろう?」と思いましたが、それだけでは終わらせないのが歌野先生…!


悲しい事件はあったけれど、未来の希望も、読者自身に委ねられていていることが、この物語の救いだと思います。結末も、見事すぎました。



追記……


ROMMY…希望のある終わり方だと思っていたのですが、最後のページで…泣くうさぎやっぱりダメだったのですね…