【引き算の文化】俳句というのは「排句」という引き算の作業のなかで「余白の美」を面白がる文化 | 【出口貴章(ターキー)のブログ】喋りで大切にしてほしいいくつかのこと

【出口貴章(ターキー)のブログ】喋りで大切にしてほしいいくつかのこと

CHANGE TALK,CHANGE LIFE
「話し方を変えたければ生き方を変えろ」
一般社団法人日本フリートーク協会代表理事
現役ラジオDJ
もっと自由に、もっと自分らしく、もっと自信を持って
小手先の技術(やり方)ではなくあり方にこだわって欲しい

余白の美


Change Talk, 

Change Listen and Life. 


"話し方を変えたければ  

 聴き方と生き方を変えろ" 


「話がちゃんと”伝わる人”と 

    話をちゃんと”聴ける人”を増やす」 

「22世紀に人見知りを社会からなくす」 


話す技術だけにフォーカスした 

自己満足な解決法に警鐘を鳴らす

そもそも話し方に悩む人の原因は 

“聴き手にある”ことがほとんどです 


約3000人の悩みに寄り添い気付いたこと 

「話し方」だけを改善しても意味が無い 

本当に改めるべきは「聴き方」と「生き方」 


27年間ラジオ現場で培った“DJ思考”により 

話し方、聴き方、生き方をフルイノベーション 

一般社団法人日本フリートーク協会代表理事 

Lifeskill Talk College 学長の出口貴章です 


こんにちは! 

僕のブログに来ていただき 

本当にありがとうございます!



五七五の世界


毎回アドリブトーク研究会でのトラスティ

つまりファシリテーターを務めていますが

事前にお題を考えたり仕込み(準備)をする

単なる話をするワークやお題考案で終わらず

なるべく豆知識要素を入れるようこころがける


ところが


当日の雰囲気や流れ等でほぼ半分がボツです

それはラジオの生放送と本当によく似ている

後日改めてお題を使うこともありますが

かなりの確率でやらずに終わる方が多いです


先週も事前の仕込みの段階で

「芝不器男」という詩人を知った

生憎アド研では日の目を見なかった人

いわゆるボツネタとなりお蔵入りでした


ところが


そこから清岡卓行や中村稔という詩人も知り

今《五七五》の俳句に興味を持つようになった

よくある川柳ではなくて正統派の俳句です

この世界最短級の表現に魅せられてしまった


そして先日のリアルアド研の帰りに

特に買うものはなかったが書店に立ち寄り

偶然見つけたのが『俳句四季』という月刊誌

多くの作品の世界観にどっぷり魅了されている


省略の美学


以前ラジオの仕事が主だった僕に

テレビ番組の司会の仕事が入った

音楽番組なので本当に嬉しかった

当然よろこんで引き受けたのだが

思いもよらぬ悩みが待ち受けていた


それは…


「説明が詳しく言葉が多過ぎること」


現場のディレクターやプロデューサー

「もっと言葉を少なくして欲しい」

「なんでもみんな説明しすぎやねん」

このように「言葉が多い」のが悩みでした


ラジオだと聴覚情報だけになるので

どうしても詳しく状況説明をしがち

でもテレビの場合は視覚情報もあり

すべてを説明しなくても伝わるのです


それをラジオで慣れてしまったせいか

テレビでも同じように言葉が多くなり


「それはラジオでのコメントやな」

「テレビはもっと言葉を短くして」


そんな指示を毎回受けすごく悩みました


例えて言うなら野球の実況でしょうか

ラジオの場合は状況を細かく伝えます

ただその実況をそのままテレビですると

ちょっと「うるさい」ということになる


なので


当時のディレクターはこう言いました


「省略の美学を追求してくれ」


正直当時の僕はなんじゃらほいでした

現場では「はい!」と返事はしたものの

「どうすりゃええねん!」と思ってた

テレビを見まくりコメントを磨きました


そして今魅了されているこの「俳句」

文字通り無駄な語句を排除するという

「俳句」でありながらスタンスは「排句」

つまり「俳句は排句」ということが言える


今の僕はこの「一言の重み」を追求する

長々と言葉を多くし喋ることは簡単です

でも同じ内容のままで言葉を少なくして

5分喋ったことを30秒にするということ

これが本当に今でも至難の業なのですよ


だからこそ「省略の美学」という作業

当時ディレクターが僕に言った言葉が

やけに今でもずっと心に残っていて

それこそが「省略の美学」となっている


引き算の文化


そう思えば 「俳句」をはじめとする日本文化

「華道」「茶道」「能」や「日本料理」も含め

 これらは《引き算》の文化だと言えませんか?

物質的なものを削ぎ落としていく《引き算》


省き引くことで生まれる「余白」や「行間」

よく「行間を読む」などという言葉も聞く

「余白」を大切にする考え方もよく聞きます

こういう「隙間」 を楽しむ趣こそが俳句です


なんでもかんでも満たそうとする現代

どこか不完全でいびつで未完成なもの

それらは欲求不満の対象にもなりますが

敢えて見方を変えそれを「面白がる」


本来3分間1000文字くらいのフリートーク

これをたったの「五七五」の17文字で表現

いわば俳句はその欲求不満を面白がる文化

この「余白の美」こそが俳句だと感じます


ここにきてあの「省略の美学」という言葉

俳句による「余白の美」に繋がるとは

当時の僕には到底予想もしなかったこと

逆に言えば「だからこそ面白い」のです


今はまだ鑑賞というか「読む」立場ですが

必ず表現する側として「詠む」立場として

こういう場でも作品を披露出来ればと思う

それこそ出来不出来よりドキドキを楽しむ


今日も読んでくれてありがとう

ほいじゃまた明日!!