【幻】モーニン・ブルーズ 2024/08/10 | 澤田修ブログ

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TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino / Elektra 8122 798434 0

 

N   若い時にイキがっていたツケが回って来たようですね。この歳になって1日の 

 うちに何回「暑い」という事でしょうか。もちろんの事それで涼しくなる訳

 ではありませんが、とにかく暑い。これは地球の悲鳴です。そんな中、今朝

 も「幻」が始まります。

  まずは暑苦しさを煽るこの歌です。

  ビッグ・ブラザーとホールディングカムパニーで「夏季」、唄はジャニス・ジョプリンです。

 

M01.Summertime(4’01”)Janis Joplin  

-I,G Gershwin, D.Hayward-  Columbia CK9700

 

 

N   酷暑の中、しかも朝早くから「モーニン・ブルーズ」をお聞き頂いて、有り難う

 ございます。この「サマタイム」は、一躍ジャニス・ジョプリンの名前を世界的にしたビ

 ッグ・ブラザーとホールディングカムパニーとのアルバム『チープ・スリルズ』に入っていて、大

 勢の人たちの耳に触れました。わたしもちゃんとガーシュウィンの「サマタイム」を聞

 いたのはこの仕様だったかも知りません。人から借りたレコードでね。展開と

 しては日本人好みというか理想的で、多くの人たちがカヴァに挑みましたが、

 何回も聞ける仕上がりだったのは、麻生レミをフィーチュアした内田裕也のザ・フラワー

 ズくらいだったでしょうか。

  テレビからジャニスの声が聞こえて来るという不思議な現象に気づいたのは数

 週間前でした。それも高級な化粧品のコマーシャルで。では、その歌をしっかり聞

 いて貰いましょう。

 

M02.Cry Baby(3’57”)Janis Joplin 

-B.Berns, N.meade-  ソニー SRCS 9805

 

N  この歌がテレビで化粧品のコマーシャルに使われている「クライ、ベイビー」です。1971

 年にシンゴーとして発表されました。バート・バーンズの作品ですね。たぶんジャニス

 が唄ったから、こうなったんでしょう。つぎの「コズミック・ブルーズ」と非常に 

 似ています。

 

M03.Kozmic Blues(4’24”)Janis Joplin

-J.Joplin, Mekler-  Columbia CK9913  

 

N  「クライ、ベイビー」と非常に似ている「コズミック・ブルーズ」でした。そして次は

 これら2曲とまたよく似ている「トライ(ジャスタ・リルビッ・ハーダー)」です。

 

M04.Try(Just A Little Bit Harder)(3’56”)Janis Joplin   

-J.Ragovoy, C.Taylor-   ソニー SRCS 9805

 

N   ジャニス・ジョプリンで「クライ、ベイビー」「コズミック・ブルーズ」「トライ(ジャスタ・リルビ

 ッ・ハーダー)」3 曲お聞き頂きました。わたしはこれら三つがはっきりと分別で

 きません。未だに全部で1曲のようにも聞こえます。ただし演奏者の表記は異

 なります。最初の「サマタイム」はフル・ティルト・ブーギー・バンド、そして他のふたつ

 はコズミック・ブルーズ・バンド名義になっています。彼女は一緒に演ってくれる演 

 奏者たちにも悩み続けたのです。

  時は大音量時代へ入って行く頃ですから、ジャニスは特に実演の場で自身の

 領域を護ろうと叫び続けました。あんな不自然な唄い方になってしまったの

 にはこの時の経験が大きいのではないでしょうか。しかもそれが一般的な認

 識となって固まってしまった。どの世界でも、女は慎ましく控えめで男の

 考える「可愛い存在」という規範があった時代です。女が本気で唄う「ロック」

 や「ブルーズ」が何処にありましょう。余計にジャニスは目立ちました。まして

 彼女は保守的な共和党支持者の多いテキサス育ちで白人です。ジャニスは抵抗しなが

 ら自由を探し続けたのでしょう。そんな暮らしの中でブルーズ音楽、その表現

 は心のやすらぎだったに違いありません。

 

M05.Turtle Blues(4’23”)Janis Joplin 

-unknknown-  Columbia CK9700

 

M06.Move Over(3’41”)Janis Joplin 

-J.Joplin-   ソニー SRCS 9805

 

N  アルバム『チープ・スリルズ』の息抜き的に収められている「亀のブルーズ」、続いて

 は新しいグループを組んで、アルバムも録音中と伝えられたジャニスからの挨拶「ムー

 ヴ・オーヴァ」、この国では「ジャニスの祈り」なんて邦題でしたかな。確かにジ 

 ャニスは新しいグループに賭けていた。その行く末を祈っていたのでしょう。

 

M07.I Need A Man To Love(4’55”)Janis Joplin  

-unkown-  Columbia CK9700

 

N   またLP『チープ・スリルズ』から、「愛する人が欲しい」です。これもギター2本 

 の間奏が理想的でしたね。わたしはこの演奏から大きな影響を受けました。

 たぶん多くの人が同じだったでしょう。まだ安い輸入盤が入って来る前で、

 女が「ロック」を唄うレコードなんて他になかった頃です。

 

M08.Me And My Bobby McGee(4’31”)Janis Joplin    

-F.Foster, K.Kristofferson-   ソニー SRCS 9805

 

N  ジャニス最後の遺作ともなったフル・ティルト・ブーギー・バンドとのLPからクリス・クリスト 

 ファスン作の「ミー・アンド・マイ・ボビー・マギー」でした。サザーン・オールスターズの「いと

 しのエリー」の閃きの元とも言えるこの歌を聞いていますと、彼女はこのグルー

 プでそれまでになかった女性の唄い手になろうとしていた想いが伝わって

 来ます。それは大音量のエレキに対抗する事なく自然に唄おうとする気持ちで

 す。反ハードロックなのです。然し乍らジャニスはヘロインの過剰摂取で志半ばにしてこ

 の世からいなくなってしまいました。それから10年ほど経ってから女性は音

 楽の世界でも活躍し始めますが、たったひとりで道を切り開いた彼女はもう

 少し評価があっても悪くはないでしょう。わたしの友人は「最も嫌いなブルー

 ズ歌手」だとしてジャニスを挙げます。その気持ちは分からなくはありません

 が、そのころ彼女はたったひとりで男たちの中にいたのです。

 

M09.Summertime(2’17”)The Zombies

-I,G Gershwin, D.Hayward-   Repertoire REP 5179

 

N  ゾムビーズの「二人のシーズン」を思い出して聞きたくなって探したらば、この

 ビートグループもしっかりと演ってました。「サマタイム」です。かなり鍵盤楽器が活

 躍してますね。この時代では珍しい。

  このグループの要はこの鍵盤担当のロド・アージェントという男で、学校友達を誘

 ってゾムビーズを結成しました。1961年ですから、当時ありきたりのビートグルー

 プでした。

 

M10. Whenever You’re Ready(2’42”)The Zombies

-Argent-  Repertoire REP 5179   

 

N   ビートグループ ゾムビーズオリジナル曲「ウエネバ・ヨー・レディ」でした。この曲の作者 

 は、やはり鍵盤担当のロド・アージェントです。かれはクラシックとジャズの両方を吸収

 していて、他の楽器としてはクラリネットとヴァイオリンも弾いていたようです。

 さて、彼らのアルバム『ビギン・ヒア』はこんな歌で始まっていました。ジュニア・ヲ 

 ーカーとオールスターズもカヴァした「ミ、ミ」です。オリヂナルはボー・ディドリーの

  「ロード・ランナー」。

 

M11.Road Runner(2’07”)The Zombies

-McDaniel-  Repertoire REP 5179

 

M12.Going Out Of My Head(3’03”)The Zombies

-Randzzo, Weintein-  Repertoire REP 5179

 

N  「頭欠け」でしたが、繰り返されるリフでお分かりでしょう。小島正雄司会

 だった「9500万人のポピュラー・リクエスト」が「オール・ジャパン・ポップス」とかなん

 とかに変わってしまってからの後テーマ曲として知られるようになった「ゴーイン

 グ・アウト・オヴ・マイ・ヘッド」でした。ゾムビーズはビートグループとしての顔を持ち

 つつ、こんな「大人の世界」のナムバもリパトゥワに入れてたのですね。

  これは世代間の断絶がなかった時代では当然の事です。イカれた音楽くらい

 しか出来なかったチンピラたちも歳を取れば「大人」なのです。こういう定番を

 人前で演奏して「大人」の仲間入りをしていたのです。しかし、新大陸の

 R&Bは・・・

 

M13.You Really Got A Hold On Me(3’40”)The Zombies

-Robinson- Repertoire REP 5179

 

N この仕様は以前もお届けしました。その時に横浜のザ・ゴールデン・カップスは

 ゾムビーズでLP『ブルーズ・メセヂ』の「ユー・リリィ・ガタ・ホールド・オン・ミー」と「悲

 しき叫び」のメドリーをゾムビーズから盗んだ、とか言ってた筈ですが、今回ゾム

 ビーズの『ビギン・ヒア』を通して聞いてみて、もっと大きな事実に出会ったの

 です。洗濯洗剤の袋に書いてある「ゾンビ臭」というのが気になっていただけ

 の事はあったようですね。でもこのゾムビーズという素晴らしい名前を持つグ

 ループは、所詮この歌で知られたに過ぎません。

 

M14.I Love You(3’25”)The Zombies

-White-  Repertoire REP 5179

 

N   「お前のしゅべてえ」・・・カーナビーツのアイ高野がドラム・スティックを両耳に当て 

 て来て叫んだ名曲「好きさ、好きさ、好きさ」の本歌、ゾムビーズの「アイ・ラー

 ヴ・ユウ」です。原曲は割とマジな歌です。1963年からグループに入ったクリス・ホワイ  

 トがこの歌を書きました。その他にも隠れた名曲があります。この国ではザ・

 エムが演ってたかなぁ。

  「シーズ・ノット・ゼア」。

 

M15.She ’s Not There(2’25”)The Zombies

-Argent- Repertoire REP 5179

 

N 「シーズ・ノット・ゼア」、ザ・ゾムビーズでした。この『ビギン・ヒア』アルバムは1965年の発表なのですが、この’65年というのは第一期「ブリティッシュ・インヴェイション」でして、ハーマンズ・ハーミッツやデイヴ・クラーク・ファイヴが大活躍した年です。『ビギン・ヒア』アルバムも好調な売れ行きだったようですね。ところがこの作品はR&Bアルバムでして、わたしがジョー・コカーの唄で知った「スティクス・アンド・ストーンズ」をここでカヴァしてました。ジョーの唄以外で聞く事があるとは思わなかったなあ。

 

 

M16.Sticks And Stones(2’56”)The Zombies

-Turner-  Repertoire REP 5179

 

M17.I Got My Mojo Working(3’35”)The Zombies

-M.Morganfield-  Repertoire REP 5179

 

N  ザ・ゾムビーズで「スティクス・アンド・ストーンズ」、そしてその次がマディ・ヲーターズの

 「アイ・ガット・マイ・モージョ・ワーキング」でした。これを聞いてね、ザ・ゴールデン・ 

 カップスのメムバの誰かがこのレコード を持ってて、2枚目を作る時に大いに参考に 

 したんじゃないかと思えて来たのです。「ホーロン・ミー」も今の「モージョ」もクリソツ

 でした。

  カップスのLP『ブルーズ・メッセヂ』はバタフィールドの『イースト・ウエスト』です。これは

 15歳のわたしにも直ぐ分かった。ただ、今回の『ビギン・ヒア』はわたしは知

 らなかったなあ。中華街にあるレコード屋に、当時は香港経由でロンドンの盤が入

 っていたとしても、おかしくないでしょう。これから聞く度に、カップスが浮か

 んで来てしまう。正直言って「やられた」という感じです。

  以上、ザ・ゾムビーズ『ビギン・ヒア』のお話でした。

 謎の先取り男タージ・マハルのコムピが出ます。この人はアメリカ生まれの黒人ですけ

 ど、ちょっと日本では誤解されているようです。「アメリカ生まれの黒人」とい

 うと直ぐに「ブルーズ」とか「R&B」に繋げたがるのは日本人の悪い癖。ター

 ジ・マハルはもう50年以上も前からワールド・ミュージック嗜好があって、そこんとこ

 が上手く伝えられなかったんじゃないか、わたしはそう思います。しかもブル

 ーズと言ってもハードロックの元になったシカーゴ・スタイルを望まれちゃあ、困るっても

 んです。でもね青山のカイで観た時の、ハウリン・ヲーフにも繋がる喉を無理やり押し

 潰したような発声は、「ブルーズ」の世界の奥深さをわたしに教えてくれまし

 た。かつて平岡正晴が「世界のいい音楽はみんな河内音頭だ」と叫んでいた

 場所に居合わせたわたしですが、それを借りて「世界のいい音楽はみんなブ 

 ルーズだ」とここで言わせて貰います。

  さてタージの周りには昔からいろんな音楽がありました。もちろんカントリー

 も。今度のコムピに入っていたこの歌「6日間連続で仕事とはね」。

 

M18.Six Days On The Road(3’01”)Taji Mahal new

-unkown- BSMF 7207

 

M19.Good Morning Miss Brown(3’16”)Taji Mahal

-unkown-  SONY 88697731562

 

N   そしてこれも古い歌です。1968年の発表ですか。『ナッチェル・ブルーズ』から「お

 はようございます、ブラウン夫人」。

 

M20.Cajan Waltz(6’04”)Taji Mahal  

-unkown-  SONY 88697731562  

 

N これは『モールーツ』LPから「ケイジャン・ヲーツ」、仏語らしき言語も出て来ます。

 

M21.I Mean You(5’23”)リーン・バーンスタイン

-T.Monk-  キング KICJ 50

 

TM  Born In Chicago 「アサー」入り/ Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

 

N    今朝の最後は「『黄金の指が100本の公演』実況録音盤から、言わずと知れ  

 たマンクの「アイ・ミーン・ユウ」でした。これは1990年の五反田簡易保険ホールでの録

 音です。演奏しているのは女性のリーン・バーンスタイン。レコード屋でこれを見つけた

 時には「マンクのピアノ・ソロだと嬉しいな」と思ったのですが、違いました。巨  

 匠は既に亡くなって久しかった。

  「アイ・ミーン・ユウ」はマンクが来日した時にNHKに出てピアノ・ソロで汗をやたら掻

 いて弾いた印象が強くあって、彼のソロを長い事に亘って探しています。リーンは 

 はつらつとした律儀な演奏でしたね

   今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

   https://54.gigafile.nu/0816-j569d3b81852ea077a859cbb847f1aa03

   ダウンロード・パスワードは、いつものようにありません。

   使用音楽素材図絵は、ここです。

   https://54.gigafile.nu/0816-cdc5467775f012f3c07f79b328e5f7591

   ダウンロード・パスワードは、同じく「なし」。

   共に7日間の限定ですのでお早めに。

 

  今朝も、ちょうど時間となりました。

  こちらは、https://ameblo.jp/djsawada よろしくお願い致します。

  どんなコメントでも受け付けています。どうぞご自由にご投稿下さい。

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  な方で構いません。聞いているだけのあなたも、是非どうぞ。

 

  「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。今朝も首都圏で9人のあなただけ 

  に。そして全国で9500万人のあなたにも、アサーです。もうホントに明るいよ。

 

 

 

 

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