【幻】モーニン・ブルーズ 2023/07/01 | 澤田修ブログ

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ラジオDJ、ナレーター、音楽ライター、肉好き男、
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TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino / Elektra 8122 798434 0

 

N  アサー、おはようございます、ワツシイサヲです。「幻」モーニン・ブルーズ2023年7月1

 日を始めましょう。2週間ほど。意識的に冒頭の挨拶を変えていたのですが、

 「やはりアサーで始まんなきゃ」とのご指摘を受けまして、元に戻しました。放

 送番組の始まりと終わりは決まった言葉で始まるのが常です。狼の遠吠えが

 その代わりという人気番組もありましたが、あのオオカミは何を言ってたんでし

 ょうかね。この「幻」はやはり「アサー」ですね。

 

M01.Southern Nights(2’58”)Glen Campbel

-A.Tousaint-  Zonophone  7243 8 21834 2 6

 

M02.サザン・ナイツ(3’37”)アラン・トゥーサン

-A.Toussaint-   ワーナー WPCR-2592

 

N  早いもので、もう7月です。2023年も半分が過ぎてしまいました。7月と

 いえば、なぜか思い出す「サザン・ナイツ」、全米1位を記録したグレン・キャムベルの

 素晴らしいポップ仕様、そしてアラン・トゥーサンの原曲を続けてお届けしました。グ

 レン・キャムベルの方はバンジョーがリズムに貢献していました。片やアラン・トゥーサンのは捉

 えどころのないサイケな編曲でした。これを基にグレンのが出来上がったとは思え

 ません。南の方というよりは東洋的な異国情緒を感じますね。

  アラン・トゥーサンという人はわたしにとって謎の多いひとりです。彼が関わった

 音楽の殆どを楽しく感じていますが、本人に関しては沢山のアルバムを聞いても、

 来日公演を観たところで実態は未だに不明なままです。やはり本人の裏方志

 向がその存在を分かり難くしてるのかなあ、とも感じています。

 

M03.L.ady Of Spain(1’51”)Dick Contino

-trd.-  Pヴァイン  PCD-3399 / Rhino R2 71847

 

M04.アイ・マミ(4’26”)フランシスコ・ウジョーア

-Bacata-  Pヴァイン PCD-2374

 

N  共に鮮やかなアコーディオンの演奏でした。最初のは先週漏れてしまったディック・

 コンティーノの「スペインの女」、次は「アイ・マミ」、アコーディオンはフランシスコ・ウジョーアでした。

 こちらはドミニクのパンビーチェというリズムなんだそうです。

  先週アコーディオンの音色を少し楽しみましたが、正直言ってわたしはこの楽器

 に関して何も知らないな、という思いが強く残りました。毎度の事ですが

 ね・・・。

  そして更に、大事な蛇腹弾きを忘れていた事にも気付きました。

 

M05.The Breeze Snd I(2’36”)Art Van Damme Quintet

-A.Stillman, L.E.Lecuona-  Jasmine  JASMCD2714 MONO

 

N  「そよ風とわたし〜ザ・ブリーズ・アンド・アイ」、アート・ヴァン・ダム・クインテットです。

 このリーダー、アート・ヴァン・ダムがアコーディオン奏者でした。お聞きのように毒気のな

 い演奏で、ポール・モーリアなどの弦楽団が台頭して来る前は、ラジオ界ではかなり

 重用されていました。アコーディオン、ギター、ヴァイヴラフォン、そしてベイスとドラムズ。

 編成もさる事ながら、集団としての響き、アンサムボーが独特でしたね。履き込ん

 だスニーカー写真をジャケットにあしらったLPを覚えています。響き、良かったです

 よ。

  アコーディオンという楽器は、何よりもその音色が個性的でありますけれど、携

 帯が可能で動力いらず、旋律だけでなく和音を使った伴奏も出来るという利

 点があって、その昔はキャムプなどの野営には必需品でした。今では小さなオーケス

 トラのギターに、完全にその座を奪われてしまっていますが、個性的な音色を好

 む人間が今もたくさん居ます。

  ザ・バンドのガース・ハドスンもよくこの楽器を使ってましたね。この偉大な楽

 団の解散公演は、それまでに関わりのあった音楽家たちが集まって本来のザ・

 バンドの演奏よりはそちらの方が主だった感じですが、ガースはゲスト参加のボビ

 ー・チャールズが唄った時にアコーディオンを弾いていました。それを聞いてみましょう。

  ザ・バンド『ザ・ラースト・ヲーツ』から「ダウン・サウス・イン・ヌー・オーリンズ」です。

 

M06.ダウン・サウス・イン・ニュー・オーリンズ(3’06”)ザ・バンド 唄ボビー・チャールズ

-J.Anglin, J.Wright, J.Angelin-  ワーナー WPCR-1185/6

 

M07.オールド・デキシー・ダウン(4’20”)ザ・バンド

-R.Robertson-  ワーナー WPCR-1185/6

 

N  ザ・バンド『ザ・ラースト・ヲーツ』から、ボビー・チャールズが唄っていた「ダウン・サウ

 ス・イン・ヌー・オーリンズ」、そしてアコーディオンとは関係ありませんが、「ザ・ナイト・ゼイ・

 ドローヴ・オールド・デキシー・ダウン」をお届けしました。二曲とも圧倒的な反応が

 凄かったですね。流石、解散公演です。

 

M08.バンドネオンの嘆き(3’45”)ドミンゴ・フェデリコ楽団

-J.de Fillberto-   RVC R32P-19025

 

N  こちらはドミンゴ・フェデリコ楽団というアルゼンチン・タンゴ・バンドで「バンドネオンの嘆

 き」という、悲しいアコーディオンの歌でした。バンドネオンというのはアコーディオンの別

 称でもありますが、ピアノ鍵盤でなくて右手も押しボタンで音を操作する形式の、

 やや小型の手を動かして風を送って鳴らす「手風琴」の事を指します。先ほ

 どのディック・コンティーノやフランシスコ・ウジョーアはこの「手風琴」でした。較べて、アート・

 ヴァン・ダムやガース・ハドスンは右手がピアノ鍵盤の機種を使っていました。

  独特の音色で音に色彩感をもたらすアコーディオンは、先ほども申しましたよう

 に、既に今では小さなオーケストラたるギターに、完全にその座を奪われてしまって

 います。最近のフレンチ・ポップスでもその音色を耳にする事は殆どありません。

 フランスの「音楽新時代」は古臭いアコーディオンとの決別でもたらされたと言えなく

 もないですね。理由のひとつは電気化が上手く行かなかったからでしょう。

 20世紀の終わりにローランドがエレキ・アコーディオンの世界を開拓しかけましたが、パッ

 とした成果が得られませんでした。それでもあの音色の魅力は衰えず、今も

 音楽好きの間では熱い視線を浴び続けています。そんなアコーディオンでした。

 

M09.I Wake Up Crying(2’18”)Chuck Jackson

-H.David, B.Bacharach-  See For Miles Records SEECD 712

 

N  チャック・ジャクスンという歌手をご存知でしょうか。1960年代初期に沢山のヒット

 曲を放っていた黒人ポップ歌手です。多分あなたもこれ迄に耳にしている筈で

 す。古いジューク・ボクスや懐メロ有線放送で・・・。

  彼の『ザ・イーピー・コレクション…プラス』というCDに出逢いました。わたしもヒッ

 ト曲をいくつか知っていただけなのですが、この全26曲を通して聞きますと、

 朧げながらこの人が見えて来ました。

  まずは1961年の「アイ・ウェイク・アップ・クライング」をお聞き頂きましたが、あな

 たのご記憶にあったでしょうか・・・。

 

M10.I Don’t Want To Cry(2’18”)Chuck Jackson

-Jackson, Dixon-  See For Miles Records SEECD 712

 

N  この前奏、心の何処かに残ってますね。このコムピ・アルバムの冒頭曲がこれで

 す。年代的には珍しく、同名のアルバムも出ていました。「アイ・ドント・ヲント・クライ」

 この唄い手はこの歌の成功で世に出たようです。

  次はバート・バカラック作の「エニイ・デイ・ナウ」、わたしがチャック・ジャクスンと言われて 

 正確に答えられる唯一のヒット曲がこの歌でした。

 

M11.Any Day Now(My Wild Beatiful Bird)(3’21”)Chuck Jackson

-H.David, B.Bacharach-  See For Miles Records SEECD 712

 

N  チャック・ジャクスンは知らなくとも、この歌はきっとどなたでもご存知だったでし

 ょうね。特に前奏の安っぽいオルガンの音で奏でられる前奏が印象的です。わた

 しはずっと前に持っていたチャック・ジャクスンのLPにこれが入っていたので親しん

 でいました。数百円くらいで安かったのが購入動機だった筈です。お恥ずか

 し。

  このようにチャック・ジャクスンという人はたくさんのヒット曲を持っています。アメリカ

 の音楽界が新しいネタとして黒人歌手を探し始めた時にチャック・ジャクスンは手の届

 くところに居た、ちょうどいい存在だったのではないか、このアルバムを聞いて

 いてそんな感じがして来ました。唄は上手くて、白人とは違った味わいがあ

 る。容姿も捨てたもんじゃないし、何よりも凶暴性が皆無。これなら新しい

 音楽スターとして充分に売り出せる、そんな存在じゃなかったかなと思えるので

 す。だからこのようにEPをたくさん出せた事実もあったのでしょう。そう、

 丁度ハリー・ベラフォンテやサム・クックのように、です。ただチャック・ジャクスンは、より良い

 環境で歌が唄えれば、それだけで良かったんじゃないかな、とも思えます。

 それが良かったのか悪かったは、今のところ不明ですけれどもね。

  音楽界の新ネタとしてではなく、北米の黒人音楽の快進撃が始まると。チャック

 自身も「このままじゃダメだ」と感じたのかなあ。ちょっと似合わないエキサイティ

 ングな楽曲に挑戦しました。なんとポーター=ヘイズ作の「ユ・ドン・ノ、ライク・アイ・ノウ」、

 サム・アンド・デイヴのあれです。当代随一の爆発力を誇るダボー・ダイナマイトをひと

 りで受け持ったワケです。この心意気たるや立派ですね。終了間際のアドリブも

 たいしたモノです。クラブなど人前での実演経験が豊富なんでしょう、きっと。

  ではお聞き下さい。

  「ユ・ドン・ノ、ライク・アイ・ノウ」、チャック・ジャクスンです。

 

M12.You Do’t Know Like I Know(3’35”)Chuck Jackson

-D.Porter, I.Hayes-  See For Miles Records SEECD 712

 

N  終了部分、いったん音が小さくなって、再びおきくなってくるフェイドの妙は

 オリヂナルです。わたしが操作しているのではありません。

  「ユ・ドン・ノ、ライク・アイ・ノウ」、チャック・ジャクスン1967年の吹き込みでした。

 

M13..Pick Up The Pieces(4’00”)Average White Band

-Stusrt,Ball, Mcintre, Mcintosh, Gorrie, Duncan-   R2 74077

 

M14.Let’s Go ‘Round Again(4’10”)Average White Band

-Gorrie-   R2 74077

 

N  デビュー曲「木っ端を拾え〜ピック・アップ・ザ・ピーシーズ」と、それから6年後

 の「もう一度やってみようよ〜レッツ・ゴウ、ラウンド・アゲイン」、平均的白人楽団〜

 アヴェレイヂ・ワイト・バンドでした。特に「レッツ・ゴウ、ラウンド・アゲイン」では、編曲

 や全体構成が見事に当時の完全商品、ディスコ、AOR化してました。もともと

 ダンス音楽が得意だった平均的白人楽団ですけれども、ここまでやんなくても

 ねえ・・・と思った記憶があります。

  北米の黒人音楽特にR&Bが大好きだった英国の平均的白人楽団は70年代

 の終わりにベン・E・キングと一緒に『ベニーと僕達』というLPを作ってました。

 彼らの同時代的に聞いたアルバムは当時これだけだったので、ずっと探していた

 のですが、今もって手に入れられていません。この間レコード屋の店頭で見つけ

 た2枚組のベスト盤に珍しく『ベニーと僕達』からの選曲があったので買いまし

 た。

  ではまず「ゲット・イト・アップ」をどうぞ。アヴェレイヂ・ワイト・バンドです。

 

M15.Get It Up(3’48”)Average White Band With Ben E. King

-N.Doheny-   R2 74077

 

N  アヴェレイヂ・ワイト・バンドとベン・E・キングで「ゲット・イト・アップ」でした。これ

 はホースから出る水を浴びているジャケットが印象的だったネッド・ドヒニーのLPに入っ

 ていた西海岸のAORヒット曲ですね。わたしでもその位は知っています。です

 けれど、この歌がアルバム『ベニーと僕達』に収録されていたという覚えがありま

 せん。何が「同時代的に聞いたアルバム」でしょうかね。次も『ベニーと僕達』か

 らの筈ですが、これまた覚えがないのです。信用出来ませんよ、わたしの言

 う事は。

  では平均的白人楽団とベン・E・キングで「ザ・メセヂ」。

 

M16,The Message(5’21”)Average White Band With Ban E. King

-Average White Band, King-   R2 74077

 

M17.Cross That River(4’36”)

L.A.Mass Choir feat. Rev. Calving Bernard Rhone

 LightRecords  / CGL Records 51416 1090 2  1-5

 

N  アヴェレイヂ・ワイト・バンドとベン・E・キングで「ザ・メセヂ」に続けましたのはカルヴ

 ィン・バナード・ローン師が講義を執るロス・エインジェルズ集団合唱隊の「あの河を渡れ

 〜クロス・ザット・リヴァ」でした。かつて奴隷として働かされ様々な差別、虐待を

 受けていた黒人たちは苦しみから救われる唯一の時が「死」でした。「河」を

 渡ってあの世に行くのです。こんな事を教会で勿体を付けて教えていたんで

 す。酷いですねアメリカの白人、キリスト教は。

  それを21世紀に唄う黒人たちはどう言う心を持っているんだろう、そんな

 事を考えながら、いま聞いていました。「河」の概念はまだ有効なんでしょう

 か、とね。

  さて、先々週「夜の大捜査線」の主題歌では大恥をかいたワツシイサヲです。先

 週もこれに関するお便りを頂きました。どうも有難う御座います。

  その「ヒート」つながりで今週お届けします。

  ジェイムズ・ブラウンの「ボディ・ヒート」、フル・ヴァージョンです。

 

M18.ボディ・ヒート(9’23”)ジェース・ブラウン

-D.Brown, Y.Brown-  ポリドール UICY-76591

 

N  途中で音が小さくなるのは先程のチャック・ジャクスン「ユ・ドン・ノ、ライク・アイ・ノウ」

 と似ていましたが、これはシンゴー盤のパート1と2の分かれ目でしょうね。LP

 だったらフェイドせずにそのまんま行ったら良かったのに、とも思います。

  この「ボディ・ヒート」は1976年に発表されました。J.B.御大がもう何をやっ

 ても「JB流」と言う事で許され始めた頃ですね。この冒頭曲に続く2曲目が

 なかなかの歌なんです。多分に「イッツ・ア・マンズ・マンズ・ワールド」的で、その改

 作とも取れますが、御大の熱唱が効いています。ジョー山中のあの歌と上手に

 繋げたらカッコ良い事間違いなしでしょう。

  ジェイムズ・ブラウンです、「ウーマン」。

 

M19.ウーマン(6’00”)ジェース・ブラウン   

-J.Brown-  ポリドール UICY-76591

 

M20.Bach Meets El Mambo(1’18”)The Art Van Damme Quintet

-E.G. Hepperle jr.-  Jasmine  JASMCD2714 MONO

 

TM Born Ind Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N  重い熱唱が続いたジェイムズ・ブラウンの「ウーマン」、最後はお耳休めにトボケた音色

 のアコーディオン、アート・ヴァン・ダム・クゥインテットで「バッハ・ミーツ・エル・マムボー」、ヨハン・セバ

 スティアン・バッハがマムボー音楽に出会った時はこんな感じなんでしょうかね。

  さて、再来週に迫りました「『ニッポン人のブルース受容史』発売記念スペシャルトーク   す

 べては下北沢から!」重度聴取者の方々から、参加のご希望も頂いておりま

 す。どうも有難う御座います。高地明、田中敏明ともどもみなさんにご満足

 頂ける内容を準備中。なお当日は衝撃的な出逢いも企画しています。ご期待

 下さい。

  来たる7月15日14時開演、下北沢駅西口 33 1/3 アナログ天国 で開催です。

 「『ニッポン人のブルース受容史』発売記念スペシャルトーク   すべては下北沢から!」

 皆さん、奮ってご参戦下さい。

 

    今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

   https://87.gigafile.nu/0705-d0943b7f7c389a8d688d112c42e69c7d2

   ダウンロード・パスワードは、いつものようにありません。

   使用音楽素材図絵は、こちら。

   https://87.gigafile.nu/0705-d912ad650de748fa09b56ba100d8d60ec

   ダウンロード・パスワードは、同じく「なし」です。

 

  ちょうど時間となりました。

  こちらは、https://ameblo.jp/djsawada よろしくお願い致します。

  どんなコメントでも受け付けています。どうぞご自由にご投稿下さい。

  ツイターのhttps://twitter.com/hashtag/blues761?f=live も便利です。お好き

  な方でどうぞ。

 

  「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。とにかく東京はアサーです。

 

 

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