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B級パラダイス

健康優良不良中年が、映画、音楽、読書他好きなことを気まぐれに狭く深くいい加減に語り倒すブログであります。

休みだというのに普段より早起きして親類の葬儀に行く両親を送ってから朝食をとり、急がないと終わってしまう、朝10時から1回だけの上映になってしまったこれを鑑賞しに1人で出かけた。

ランボー ラスト・ブラッド (2019年)

RAMBO: LAST BLOOD

監督 : エイドリアン・グランバーグ 製作 : アヴィ・ラーナー、ケヴィン・キング・テンプルトン、ヤリフ・ラーナー、レス・ウェルドン キャラクター創造 : デヴィッド・マレル 原案・脚本 : シルヴェスター・スタローン 脚本 : マシュー・シラルニック 撮影 : ブレンダン・ガルヴィン 美術 : フランコ=ジャコモ・カルボーネ 衣装デザイン : クリスティーナ・ソペーニャ 編集 : トッド・E・ミラー、カーステン・クルパネク 音楽 : ブライアン・タイラー
出演 : シルヴェスター・スタローン、パス・ベガ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、アドリアナ・バラーサ、イヴェット・モンレアル、オスカル・ハエナダ、ジーニー・キム、フェネッサ・ピネダ、ホアキン・コシオ


ランボーシリーズ最終作。思えば1,2作目以来の劇場鑑賞となったが、ランボーの長きにわたる戦いの最後としては、シリーズを考えれば割と地味な作りだったなあ。


ランボー1作目を観たのは1983年だからもう37年も前なのか。東宝東和の「一体何人並んでいるんだ!」っていう無茶なデザインのチラシが懐かしいな(笑)。これね↓

その1作目の中身はチラシほど派手じゃなく意外と地味なベトナム帰還兵物だったが、その後大好きな「地獄の7人」を監督するテッド・コッチェフの硬派な演出も良くて、好きな一編だった。


本作もそういう意味では1作目の原作・原題「FIRST BLOOD」に対をなすタイトル通り、ソリッドな作品だった。

冒頭に「Balboa Production」と出ていたから余計にスタローンの(良い意味で)自主映画的な雰囲気も勝手に感じられたのもあるけど。

 

自らの戦場だったベトナムに戻る2作目も含め、その後色んな「戦争」を抱え込んだまま世界中の戦場で軍などを相手に戦う彼の最後の相手がメキシコマフィアとは。
これまでのシリーズに沿ったら、メキシコの地を戦場に変え、現地の警察や軍など巻き込む都市戦で派手にやらかす物語もあったと思うが、彼が初めて「誰かと暮らす」シーンがあった本作、心安らぐ、守るべき家族を奪われた彼の怒り、その守るべきものが既にいない自らの「家」を戦地に変えてまで、個人的な復讐を遂げる姿は「ランボーらしくない」という唯一にして最大の違和感はあったものの、大いに共感だった。

戦闘スキルが凄いスペシャルな男故に以前なら一回向こうに行ったらすべて壊滅させて帰ってきたランボーが、初回はコテンパンにやられるなんて。

結局は「大切なもの」を守れず、一度は住処に戻り、再度出直して復讐のために挑発するなんて、いかにアリゾナとメキシコが近いとは言え、何度も足を運ぶ、ある意味「一般人」に近いやり方に描かれていたのが何だか感慨深いのだ。

「ジョンおじさん」と慕ってくれたガブリエル。

演じるイヴェット・モンレアルが良くてね。ランボーならずとも将来幸せになって欲しいと願いたくなる。

彼女を守りたいという一心が行動原理。故に相手が女でも容赦なく脅すランボー。ただただ彼女を救うためのその真っ直ぐな行動にはグッとくる。

今までは降りかかる火の粉を払いながら強敵と対峙していた彼が直接怒りの感情を相手にぶつけるってのも原点回帰だなあと感じたのだった。


だからなのか、その真っ直ぐな「怒り」に、ジョー・ドン・ベーカーの保安官が不正な組織と戦う「ウォーキング・トール」や、ジョージ・C・スコットが娘を救うべく単身闇社会へ乗り込んでいく「ハードコアの夜」、そしてブロンソンの「DETH WISH」シリーズの第一作「狼よさらば」などを何となく想いだしたのも確か。

もちろんランボーはただの「一般人」でも、ましてや「素人」でもないから、厳密には違うのだけど。(自宅牧場での殺人トラップアミューズメント化は凄かったよなあ)

 

もちろん映画としてはメキシコでの協力者カルメンの扱いがちょっとぞんざいだったり、そもそものメキシコの人身売買組織があんまり大物っぽくなく、その辺のチンピラに毛が生えた程度にしか見えないスケール感の乏しさはちょっと残念ではあった。

 

まあ国家や軍が相手ではない分、「普通の人間の怒り」をぶつけるのにはジャストサイズだったとは思うのだが、半面「ランボー」としてでなくても、物語として充分成立する「初老の男の復讐譚」でもあったのは確かだと思うのだ。(但し、ラストの戦場スキル大発揮の部分を除けば…だけど)。



だがしかし、ランボーのトラウマは悲惨だ・・・未だに薬を飲み、あれだけのトンネルを掘ることで「蓋をしていた」わけなのだから。その蓋が開いた後のスキルの発揮が凄まじい分、やはり「戦場でしか生きられない」彼の姿はある意味哀れではあるのだ。

でもって、あのラストなら、もしかしたらまたその姿が拝めるのでは?とも思ってしまうのだが。

 

元々スタローンという俳優は大好きではなく、「ロッキー」こそ大好きな映画ではあったが、ロッキーもランボーもある時点から「シリーズ続けて金儲け~」的な匂いがして、スタローン離れをしたのも事実だ。

「ロッキーⅢ」までは劇場で観たがⅣ以降は敬遠していたが、ラストの「ロッキー・ザ・ファイナル」が予想以上に良くて劇場で観なかったことを悔やんだことと、「エクスペンダブル」シリーズでの「映画人としてのスタンス」で彼を見直したこともあり、こちらが年を食ったことも加わり今は「スタローン、凄えな」と素直に思えるのだ。

 

それにしてもあの頃スクリーンで観た映画のキャラクター、すなわちこのランボーやロッキー、インディ・ジョーンズにスカイウォーカー一族の「その後」を30年、40年たってこうして観ることになるとはねえ・・・。


そんなこちらの映画鑑賞歴も含めて、本編最後のシリーズの断片モンタージュにはちとやられましたな。弱点は多いもののなんか感慨深い一作でした。


彼の安息は今後もあるのかな…


 

毎回殺伐としたタイトルで申し訳ないが毎度お馴染みマカロニウエスタンレビュー、本日はこちら(笑)

 

地獄から来たプロガンマン (1966年)

SETTE DOLLARI SUL ROSSO

SETTE DOLLARI PER UCCIDERE

SEVEN DOLLARS TO KILL(英題)

 

監督 : アルバート・カーディフ 製作 : マリオ・シシリアーノ 原案・脚本 : フアン・コボス、メルキアド・コレッティ 脚本 : アルネ・フランクリン 撮影 : ホセ・アグアイヨ 音楽 : フランチェスコ・デ・マージ

出演 : アンソニー・ステファン、フェルナンド・サンチョ、ジェリー・ウィルソン、エリザ・モンテス、ロレダナ・ヌシアック、ジャンニ・マネラ

 

前にレビューした「砂塵に血を吐け」

 

 

のアルバート・カーディフが同じく「肉親の情」をベースに描いたマカロニウエスタン。

本邦公開のアンソニー・ステファンの「プロガンマン」シリーズ第2弾として公開されたが、当然のことながら前作「無宿のプロガンマン」とは全く関係ない()

 

冒頭フェルナンド・サンチョの山賊一味が一軒家を襲う。相変わらずの弾帯襷掛けのフェルナンド・サンチョは本作でも狂っていて、いきなり母親を殺し、幼い子どもを攫っていく。

妻を殺され、幼い息子を奪われたジョニー・アシュレー(A.ステファン)。

全てを捨てて息子ジェリーを求め荒野をさすらうこと20年!その間にジョニーの息子ジェリーはサンチョに育てられすっかり無法者に。

ジェリーはサンチョに命じられて、銀行を襲う偵察に向かう途中、暴漢に襲われていたジョニーを実の父とも知らず助けたりする。

しかし、サンチョが銀行を襲うことを知った保安官はジョニーに助っ人を依頼、町をあげてサンチョ一味を待ち伏せし撃退、居合わせたジョニーがサンチョを倒す。

(生みの親と育ての親の殺し合い…)

襲撃に参加していなかったジェリーは父サンチョの復讐に燃えて町へ向かうが、それより早く、サンチョの妻ローザがジョニーを訪ね、ジェリーが彼の捜し求める息子であると伝える。

降りしきる激しい雨の中、「父の仇」と実の父親であるジョニーに迫るジェリー…。

アンソニー・ステファンの主演映画は正直今一つのものが多いのだが、今作は物語としてはまあまあ。主人公ジョニーとその息子ジェリーの哀しい運命の人情劇が盛り込まれ、なかなか魅力的ではある。

 

ただ、メキシカンのサンチョの息子が何で白人なのか、ジェリー自身が出生に疑問を持たないのか?(笑)とか、

(凄く仲は良さげだな(笑))

20年たって息子は随分大きくなってんのに、さすらい続けたアンソニー・ステファンはその苦労の後が見えず、全然老け込んでないぞ〜とか()

根本的な「???」部分はあるが、まあマカロニだから毎度のことながら大目にみよう()

 

前述の通り物語は悪くないし、フェルナンド・サンチョは、基地外具合は「南から来た用心棒」などの方が上だが安定の暴れっぷり。

加えて血の繋がらないジェリーへの愛情と信頼を寄せてかなり画面をかっさらっている。

続荒野の用心棒のマリア役などやった綺麗どころのロレダナ・ヌシアックスも共演と自分の中では豪華なのだ

たが、肝心の主役のアンソニー・ステファンは、本作でも「ルックスはいいのに何かもっさりしていてカッコよくない」のだなあ()

 

この人、ガン捌きというか、素早い抜き撃ちにせよファニングにせよ、銃を持ってのアクションが今ひとつ切れがないんだよね。というか、拳銃を構えて撃ってるシーンがすぐに浮かばない()

いつもライフルを撃ってるイメージがあるが、本作でも銃を持つ手を見ないで〜と、観客の目をくらまそうとしているかのように飛んだり跳ねたり転がったりのアクロバティックなアクションが多いのだ()

階段転がるのはいいが銃口どこを向いているんだ?の図(笑)

 

以下ネタバレだが、実の父とは知らずジョニーに復讐のため決闘を挑むジェリー。

 

そして、望まない決闘で、望まない勝ちをえてしまうジョニー。

ジョニーの想いは息子ジェリーには最後まで届かず、ジェリーは息を引き取る最期まで本当の父親はフェルナンド・サンチョと思いこんでいるのがやるせない。

「我が息子よ、ジェリーよ」と嘆き、泣き崩れるステファンの姿は哀れではあるのだ。

 

ポスター惹句の「連続地獄射ち」がどこがそうだったのかわからなかったが(笑)、以上のようにタイトル通り地獄は見ているものの、アンソニー・ステファンの「プロガンマン」らしい腕の見せ所は少なく、バタバタした殴り合いが多いのも「砂塵に血を吐け」と似ている一作であった。

 

あ、今気づいたのだが、監督は同じだし、アンソニー・ステファン演じる主人公の名前もジョニーだった。加えて本作でも「砂塵〜」でもジェリー・ウィルソン演じる役の設定は別だが役名は同じ「ジェリー」だったな。

原題もあちらは「1000 DOLLARI SUL NERO」(黒の1000ドル)、製作が先のこちらは「SETTE DOLLARI SUL ROSSO」(赤の7ドル)。

ってことは、「無宿のプロガンマン」が関係ないのはともかく、本作と「砂塵に血を吐け」は「身内と敵対する不幸なジョニー」シリーズとでもいうか()、姉妹編みたいなものだったのか!と気づいて1人で興奮しているのだ()

 

さては…と調べたらアルバート・カーディフ監督のこの後の作品が「さすらいのガンマン・回転逆手撃ち 」。原題はなんと「20,000 DOLLARI SUL 7」。ドルが増えてるし!(笑) しかも主演こそアンソニー・ステファンではないが、ジェリー・ウィルソンが主役で脚本にも絡んでいるではないか!これは確定的に姉妹編というか、関連作とみて間違いなし。今まで知らなかったこの作品も俄然観てみたくなったぞ。

 

いやあ、こうつながるとはレビュー書くまで思いもよらなんだ。配給会社も違うので邦題もこの通り関連性の匂いもなく、アンソニー主役以外は気にもとめていなかったし、二階堂卓也先生のマカロニ本にもこんな記述なかったから(まあ、あの人はアンソニー主演の諸作に関してはボロクソだからな(笑))、長年マカロニを観続けていたが、なんか大発見をしたような気分なのだ(笑)。

 

いやあマカロニウエスタン、奥が深いなあ()

 

フランチェスコ・デ・マージの音楽は素晴らしく、哀愁を帯びたトランペットのメロディはかなり好み。

では恒例予告編をどーぞ!

先月に購入も、降り続く雨で取り付け工事が延びること3回。予定より20日遅れてよーやく新しいエアコンが付いたのだ!
ああ、湿気がない。冷房が気持ち良い。極楽極楽。本格的に暑くなる前に取り付け完了できて本当に良かった。

でもってこちらも待ちかねていたこれも!
BiSHの新譜、ミニアルバム「LETTERS」も本日到着!つい、Live DVDもついているバージョンを買ってしまったのだ。うう、楽しみだ(笑)。

おまけに先々週手に入れたベスト盤「FOR LiVE -BiSH BEST-」もご披露!
店舗でしか購入できず、収益は彼女たちがお世話になったライブハウスなどに寄付するという姿勢に賛同して購入したのだが、何となくかみさんと娘の手前、気が引けてまだ全然聴き込んでないのだよなあ(笑)。

明日仕事を終えたら連休だ。待ちかねたエアコンの涼しい部屋でこれらも堪能するとしよう。
そのためにも明日は出来るだけ仕事残さずにスッキリ終えて休みを迎えたいぞ…。


恥ずかしい話なのだが、年齢と共に歯茎が下がってきて、歯に隙間ができやすくなり、飯の後は爪楊枝と歯磨きが欠かせなくなっている。

2、3週間前に昼飯を食った後にいつものように下の前歯の隙間を爪楊枝で掃除していたら先の方がポキっと折れてしまったのだ。
ガッツリ歯の間に挟まってしまい、別の爪楊枝でほじり出そうにも、歯磨きしてもどうにも取れない。
歯の間にそれが見えるのも嫌なので、別の爪楊枝で前から押して、歯の裏側に押し出そうとしたら歯の根本の歯茎にグググと刺さってしまい、どこにあるかも分からぬようになってしまったのだ(笑)。

何やってんだと笑う皆さんの顔が目に浮かぶが、当の本人が「いい歳こいて何やってんだ〜!」と思ったから仕方ないっすね(笑)。

舌でなぞると確かにあるようなのだが、家に帰って、糸楊枝や、いざとなったら針かなんかでほじくり返そうかと考えて仕事を済ませ、帰宅してから家族の反対を押し切って即実行したのだが全く取れる気配がない。
存在は感じるものの刺さっている割に痛みもないので、諦めてしばらくほおっておくことにしたのだった(笑)。

違和感を感じながらの2週間。腐ったりしたらさすがに嫌なので次の連休に口腔外科に行って取ってもらおうかと考え出した本日昼。飯の後にいつものように爪楊枝を使っていたら何か手応えがある。
「お!これは!?」と押し出すように歯茎を爪楊枝で押したら出てきましたよ、先っぽが!
すかさず指を突っ込み、さらに爪楊枝で押し、多少出血はみたものの何とか抜き出しに成功!思わず「取れたー!」と声が出てしまった、約3ミリ程度の先っぽ。予想以上に大きくて、これがずっと埋まっていたなんて、どんな口してんだ俺は!と我ながら感心したのであった(笑)。

そしてもう一つ。
先々週の金曜に提出していた企画が無事獲得の知らせ。このところプレゼンは負け続けていたので嬉しさより寧ろ安堵の「獲れた〜!」(笑)。

あまり高額では無いものの勝ちは勝ちだ。協力してくれたプランナーやデザイナーはもちろん、応援してくれた同僚たちに感謝の一日だった。
ようやく獲れたこの案件、血を見ることがないよう、大事に大事に進めていこうと思うのであります(笑)。

金曜は前の記事の通りでトホホな思いのまま帰宅は23時を回り、そのまま昨日土曜はまたもや雨の一日。さっさと持ち帰り仕事を済ませてしまえばいいのに、予定のない今日やればいいやとだらだら過ごしたのだった。そんなどんよりの一日、これを観たので記しておこう。

呪いの館 血を吸う眼 1971年)

LAKE OF DRACULA 

監督 : 山本迪夫 製作 : 田中文雄 脚本 : 小川英、武末勝 撮影 : 西垣六郎 美術 : 育野重一 編集 : 近藤久 音楽 : 真鍋理一郎

出演 : 藤田みどり、江美早苗、高橋長英、岸田森、高品格、二見忠男、桂木美加、松下達夫、記平佳枝、毛利幸子、川口節子、鈴木治夫、小川安三、大前亘、山添三千代、大滝秀治

 

東宝の「血を吸う」シリーズ第2弾。第1弾の「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」も記憶はあるのだが、製作年度を考えるとどれも劇場では観ていないはず。今は亡き岸田森のクリストファー・リーのドラキュラに勝るとも劣らぬ吸血鬼っぷりにガキのころ震えあがった記憶はあるから、これか次の「血を吸う薔薇」のどちらかをテレビで観たのだろうなあ。

 

妹の夏子と湖畔に暮らしている教師の柏木秋子は幼い頃から「金色に輝く瞳を持つ男」の幻影に悩まされている。

ある日色々世話をしてくれる釣具屋の久作(高品格)と話しているところに不審な大きな荷物が届く。秋子が帰ったあとに久作が荷物を解くとそれは棺桶だった・・・。

秋子の恋人である医師の佐伯は多忙な仕事の合間に、姉妹のところにしばしば遊びに来るのだが、彼の勤める病院に衰弱しきった女性が運び込まれる。彼女の首には野犬のものとは思えない咬み傷があった。

一方秋子の方は、愛犬が姿を消して探しに行くと久作が人が変わったようになって襲ってきたり、妹の夏子まで深夜にふらふらと出歩いたりと次第に周辺に異変が起こる。

幼いころからの悪夢と併せ神経症的になる秋子は佐伯の催眠療法を受け、生まれ故郷に二人で向かい、悪夢の中に登場する洋館を訪れると、そこは吸血鬼の住む館だった・・・。

 

というシンプルなストーリーだけど、冒頭の不気味な夕焼けの中の幼い秋子の身に起こった悪夢の元になった出来事を含め、クリストファー・リーやピーター・カッシングが出てきそうなハマー映画の「怪奇」ムードをたっぷり纏っているのが好みだ。

あの時代の邦画ならではの台詞回しやファッションなど、次第にモダンになっていく70年代の日本の風景が良い感じにブレンドされていて、昨今のホラー映画のように畳みかける怒涛の展開や、特殊メイクやCGの「凄さ」は無くとも、充分怖い一本だ。


しかし本作の魅力は何をおいても岸田森だ。

ある意味植物的な、幽鬼のような彼が一転、血に飢えた吸血鬼の凶悪な表情に変貌する様の怖さったら!

クリストファー・リーのドラキュラ以上に禍々しくて、今観ても充分怖かったぞ。

ハマープロのドラキュラに忠実な、胸というか腹部に杭が刺さっての断末魔も最高だった。

 

「座頭市と用心棒」の九頭竜や傷だらけの天使、初期必殺シリーズでのいくつかの悪役や東映セントラル作品での脇役など、画面に独特の空気をいつも与える人だったなあ。何より「怪奇大作戦」での牧史郎や帰ってきたウルトラマン他特撮にもいっぱい出演していたまさに個性派俳優。彼や草野大悟や成田三樹夫などを早く亡くしたのはほんと損失だよなあ。


(あ、損失といえば三浦春馬はビックリ。決して「大好きな俳優」ではなかったけど、何度もTVやスクリーンで観ていた彼が、あの若さでこの選択をしてしまったのは残念としか言いようがないや…)


閑話休題。他にも怪しさ満点の高品格(上の写真じゃ「怪しい」以外はわかりづらいか(汗))や、メイクが凄すぎて最後まで誰だか分らなかった大滝秀治なども見逃せないのだ(見逃していたが…(笑))。

 

一方で女優陣はハマーブロの諸作のようにグラマラスな女性やエロさ加減は控えめ。

加えて主人公秋子の藤田みどりが今一つ俺の好みじゃなくて魅力に乏しいのが惜しいところだったな。

(彼女は実生活ではその後岡田真澄と結婚するんですな)。


むしろ妹夏子役の江美早苗の方が随分と魅力的。

姉の代わりに岸田森に早々咬まれてしまい、しもべになってしまう夏子。明るくて可愛かったし、吸血鬼となっても美しかったのになあ。

最期もまた哀しいのだ。

最期といえば、調べたら江美早苗はあの「新婚さんいらっしゃい」の初代アシスタントで、女優引退後は南沙織の「人恋しくて」など提供して作詞家として地位を築いていた後に、別れた元夫に今で言うストーカー的に付きまとわれ、36歳の若さで惨殺されてしまうという不幸な最期を遂げていたのがなんともではあった…。

というわけで昨今の怒涛のCG、血糊の量に飽きてしまった方には、このジワジワと、温度を上げない演出が新鮮かもですよ(笑)。お試しあれ〜


また雨になった今日金曜。
打ち合わせやら何やらで遅くなり、後は土日に家で仕事しようと、机も片付け、パソコンも閉じて車に乗り込んだのだが、昼間使用した時にキーをしっかり回しきっていなかったらしく、なんとバッテリー上がり(涙)。

「ジャンゴさん、金曜の夜は何かあるよね〜」と同僚に笑われながらケーブルを探すも見当たらないので、仕方なくJAFを呼んだところ。
しかも社有車なのに福島から乗ってきた我が相棒はこちらでの登録が済んでおらず、会社ではなく個人の資格で何とかきてもらうことになった次第。

思えば先々週の金曜日夜は、雨の中駐車場で車入れ替え時に目測を誤り社用車を擦ってしまったのだったなあ。

親譲りのこの不注意、間抜けさ加減、ほんとガキの頃から変わらなくて我ながら嫌になる(涙)。

故に映画の中のカッコいいヒーローたちに、どんなことにも動じないアウトローたちに憧れたのだった。

憧れていた彼らより随分年齢は超えたのに、この間抜けさ加減はちっとも変わらないなんて。
ううむ、自己嫌悪。

チャージ完了したところで今日の気分を2つ。

土砂降りの中、帰るとします。
あの頃と変わらぬ俺に。
昨日は普段より3時間早起き、6時半の新幹線に乗っての久々の県外出張だった。昼過ぎには静岡に戻り、夜まで普段通りの仕事をこなし、またプレゼン負けの知らせにやさぐれて帰宅(苦笑)。
飯を食った後に、これまた久々に娘が肩揉んで労ってくれたのが嬉しかったのだが、気持ち良さと早起きがたたってストンと撃沈したのだった。

しかし、突かれて目が覚めた。
「鼾がうるさい」とのこと(笑)。

実は先月の誕生日に、シャツなどの衣類と共にプレゼントされたのが「いびき解消枕」だったのだ。

5年半の一人暮らしでは、まあゲップも屁も誰もいない部屋故にし放題だった(笑)。おそらく毎晩のように鼾もかいていたのだろうが、これだけは自分が意識ないからわからないもので。

春からの同居生活が再開してからは、流石にゲップも屁も大っぴらにできず、人並みにデリカシーもって家族の前でも遠慮がちにしていたが(しないとは言わない(笑))、鼾だけはどーにもならないのだ。

疲れているのだろうと理解はしてもうるさいのは事実。ということで、前述の通り解消枕をプレゼントしてくれたのだが、どうもあまり効果はないようなのだ。

まず、そもそも解消枕のある寝床に行く前に、座椅子などで寝入っていることが多いのが一つ(笑)。
もう一つは、せっかく枕のある布団に行っても寝相が悪いのか、まず枕の上にきちんと頭が乗っているのが稀らしいのだ(汗)。

寝床でガーガーと盛大な鼾が聞こえるので、そーっと覗いてみたら上記の通り、せっかくの枕に俺の頭がまったく乗っていないのを見たかみさんと娘は「だめだこりゃ」と諦めたとのことだった(笑)。

本人としては自分の鼾を聞いたことがないからまったくピンとこないので、「うるさい」とムッとして言われても困惑するばかりなのだ。

まあ、この役立たず!と俺自身が言われているわけでは無いので良しとしますか(笑)。

そんなところで今日のBGM
明日は早朝から新幹線乗っての出張。
週末なんか朝5時まで起きていることあるのに、平日朝5時には起きなくては!なんてのはほんとに苦労する。

あちゃー、あと4時間しかないな。少しでも眠らなくては。普段無駄に夜更かししているので酒飲んでも眠れないのも困ったもんだ(苦笑)

そんなこんなで今夜のBGM
でもって、イントロのギターリフがピッチこそ違えど似ているなあ…なんて35年前以上前から思っていたこんなのも貼っておこう(笑)

いや、だから早く寝なさいよ、俺(笑)

ダメな時はダメな映画を観ることが多いのだが、なんだかなあの気分の土曜夜、録画していた中からこれを観てしまった。

テンタクルズ (1977年)

TENTACLES / TENTACOLI

監督 : オリヴァー・ヘルマン 製作 : E・F・ドリア 製作総指揮 : オヴィディオ・G・アソニティス 脚本 : ティト・カルピ、ジェローム・マックス、スティーヴン・カラバトソス、ソニア・モルテーニ 撮影 : ロベルト・デットーレ・ピアッツォーリ 水中撮影 : ネストール・ウンガロ 音楽 : ステルヴィオ・チプリアーニ

出演 : ジョン・ヒューストン、シェリー・ウィンタース、ヘンリー・フォンダ、クロード・エイキンス、ボー・ホプキンス、デリア・ボッカルド、チェザーレ・ダノーヴァ、シェリー・ブキャナン、アラン・ボイド、ヘレナ・マケラ

 

公開当時から精一杯良い評価で「ジョーズの亜流」とは聞いていたまま未見だったが、いやあ、70年代のB級動物パニック映画は色々見たがこれはキツかったなあ(笑)


西洋では忌み嫌われているというタコが巨大化して人を襲うんだから、いくらでも怖く描けて、面白くなりそうなんだが、いやはや・・・。

特撮がチャチなのは時代的には仕方ないのだが、それでも「ジョーズ」の怖さを思えばもう少し「見せるところ/見せないところ」のメリハリをつけることもできたと思うのだ。

タコのアップは実物というあの時代ならではの表現はしょうがないとしても、海面でのハリボテも、もう少し人と一緒に映して巨大感を出すとかできなかったのかなあ。

これは頑張ったショット。全く怖くないけど(笑)


それともこのヘドラのようなハリボテ、かなり小さく作っちゃったのか(笑)。

船を襲う前、唯一かもしれない巨大感あるショット(笑)。


CGもないから触手がウネウネと人に巻き付くなんて表現は望むべくもないが、もう少し触手の巻き付く気持ち悪さとか体液を吸い尽くすのをイメージさせるとかできなかったかねえ。

こんなのが出てくるショックシーンもあるけどまさにジョーズの二番煎じ(笑)

「ジョーズ」の「顎」に対して「触手」の複数形のタイトルは悪くないんだがねえ。


最初に赤ん坊がベビーカーごと「消えて」しまうのはまあ容赦なくて良しとしても(しかし車が随分通っていたからだれか見ていそうなのに)、その後の作業員の失踪も、どれもこれもまったくタコが姿を見せないからただの「謎の事件」でしかないしねえ。

襲われるシーンも本物触手のアップと、模型らしい触手にもう巻きつかれているわかりづらいカットを細切れに見せるだけなんで「おまえ、自分から巻かれにいっただろ!」的気分になってしまうのだ。

 

思えばウルトラQのスダールの実写と操演とか流用元の「フランケンシュタイン対地底怪獣」の大ダコのほうが全体出してスケール感も動きも良かったよなあ。ほらこのスダール最高だよ

こちらの大ダコも素晴らしい円谷の造型美。ってかまあタコそのものですが(笑)。


まあ特撮も文句ばっかりだがドラマも酷いんですな(笑)。

次々と起こる失踪事件に、警察官(クロード・エイキンス)たちの捜査が難航する中、地元新聞のベテラン記者(名優でもあり監督作も多いジョン・ヒューストン)が海底トンネル工事との関連性を疑いだすのだが、その根拠がまずただの思いつき(笑)。疑われてイライラする工事会社の社長(ヘンリー・フォンダ)なんか、副社長を叱りつけてるか電話してるかだけだもんな(笑)。

で、新聞記者の妹がシェリー・ウィンタースなんだが、ポセイドン・アドベンチャーみたいに自己犠牲でまた泣かせるのかと思えば、息子が参加するヨットレース大会が襲撃されてオロオロするだけだし。てかてっきり孫かと思ったぞ(笑)。


主役?であるジョン・ヒューストンとみんな絡むのだが、話の進行にはまったく関わらない役ばかりで・・・。どうしてこんなベテラン俳優集められたか謎だ。ヘンリー・フォンダなんてきっとレオーネのマカロニウエスタン出演時に世話になった人が製作陣にいて、頼みこまれて出演したのかと思ったらそんな関係者いないし。みんなもう少し仕事選ぼうよ・・・(笑)。


結局ヘンリー・フォンダから依頼を受けて調査に乗り出した海洋学者(ボー・ホプキンス)が海底で巨大なタコと遭遇、一連の事件は人の血の味を覚えたこのタコの仕業と確信するんだが、妻(デリア・ボッカルド)の妹夫婦が襲われてしまう。
絶対製作陣は「犬神家の一族」観てるね(笑)。

で、妹を探しに現場に行ってしまった妻自身も襲われてしまうあたりは冒頭の赤ん坊共々容赦ないのがイタリア製(笑)。

学者は失意と怒りを胸に、タコに挑むもピンチになったところ、彼が手なづけていたシャチ2頭がタコ野郎に挑んで倒すのだが…これがまた酷くてね。

実写タコにおそらく刃物でも仕込んでいるようなシャチ人形が突っついて、タコを切り刻んで終わるという、特撮はもちろん、カタルシスもドラマも大海原の彼方に忘れてきたようなエンディングを迎えるのだ(笑)。

 

とまあネタバレしたって誰も怒らないでしょっていう、パニックとはとても言えない、70年代B級映画でも酷い部類に入るこの映画だが、どんな酷い映画でもひとつはいいところを見つける俺としては、唯一良かったのはデリア・ボッカルド演ずる海洋学者の妻の妹ジョディを演じたシェリー・ブキャナンなのだ

ご覧の通り可愛くて微乳で、彼女が出ているシーンだけは大変よろしかったと褒めておきます(笑)。

あとは、この3年後「スターウォーズ帝国の逆襲」のポスターでブレイクする生頼範義の手掛けた、最初に貼っつけた日本版ポスターだなあ。
シェリー・ウィンタースとジョン・ヒューストンが2回出てるのと前述のシェリー・ブキャナンが不細工なのはご愛嬌だけど(笑)。

では賛否両論(俺は好きだ)のステルヴィオ・チプリアーニの妙なスコアに乗った予告編をどーぞ!
一昨日、昨日とプレゼンが続き、今日はまた別の企画書を提示。でもって一昨日にプレゼンした案件が不採用の知らせ。

くっそお!天気と同じく土砂降り続きかよ…。

今日明日休みの下の娘を、昨夜仕事を終えてから迎えに行って、久々家族勢揃いで楽しい週末になるはずだったのに、気分が上がらねーなあ(苦笑)

そんなやさぐれ気分の今日、鳴り響いていた曲。今宵はメタルで。
ほんとに凄ぇバンドだったよな。EZOも良かったけどやはりFLATBACKER。今聴いても震えるわ。 もちろん坂本英三のバージョンの方が記憶には染み付いていたけど森川の声はやっぱ凄い。凄みが増して大好きだ。18のあの頃初めて触れたが今でも全然古くならない名曲。バンドでコピーしたのも懐かしい。
でも俺のナイフは錆びついちまったかな…(苦笑)