桜の季節だってのにいきなり殺伐としたタイトルでごめんなさい(笑)。
いや、このところ良き映画ばかり観ていて(でもないか(笑))、少なくともレビューはまともな映画ばかりだったので、たまにはこのブログらしくB級映画を取り上げようかと思いまして(笑)。
休日にハシゴするのが癖になっているGYAOで昨夜観た、久しぶりのマカロニ・ウエスタンを、誰も読まなそうだなあ…と思いつつも記します(笑)。
荒野のみな殺し (1966) DEGUEJO
監督 : ジョセフ・ウォーレン 製作 : セルジオ・ガローネ 脚本 : ジョセフ・ウォーレン、ウィリー・レーガン、ロベルト・アモロソ 撮影 : ステファン・サンター 音楽 : アレクサンドル・デレビスキー
出演: ジャック・スチュアート、ダン・ヴァディス、ジア・アーレン、ディック・リーガン、ホセ・トーレス、ダニエル・ヴァルガ
もうね、監督も音楽も出てくる役者誰も知らないという、ほんとにB級マカロニ(笑)。
でもつまんないかというと、これがなかなかの美味しさ(笑)。
いきなりやってきた無法者2人に父を殺されたノーマン。父の南北時代の戦友フランクとローガンの2人を頼り、途中で助けたウイスキー行商人フォーランを加えた4人で、父の元上官クック大佐の住むレインジャー・シティに着いてみると、そこはまるでゴーストタウン。
男たちの姿はなく、おびえきった女や子供ばかり。酒場の女主人ジェニーから事情を聞くと、メキシコ人山賊ラモン一味が町を襲い、クック大佐をはじめ、生き残った男たちを人質として連れ去ってしまったという。
そんなところに、ラモンのあまりの悪辣さに我慢できなくなったラモンの女ロージーが町に逃げてきて、ノーマンは追っ手を倒すのだが、「そんな女助けることはない、殺してしまえ!」と、夫や父を殺されたり人質に取られている町の女たちが押しかけるのを押しとどめる男たち。
と、ここまでのくだりはなかなかテンポ良し。凶悪なラモン一味に対するのは、たった4人の男に裏切り者の女ロージーのみ。
仲間が増えていくのと、町には無力の女ばかりという、ちょいと「荒野の7人」的展開に、クック大佐がなんで狙われているのかの謎に加え、酒場の主人ジェニーが美人な上、一人冷静で(実は…のクセ者なんだが)彼女をはじめ、最初は彼らを敵かと怯えていた、婆さんから若妻まで町の女たちがまた印象的ないい顔していて(笑)、「これはちょっといいんでないかい?」と期待値が上がったのである。
さてどうなるかと思っていると、ラモン一味がロージーを追ってまた町を襲撃にくる。こちらに武器は少ないし、目の前で母親を殺される少年がいたりと、なかなか容赦がない戦いが続き、何とか追い返すその隙に、ノーマンはロージーからラモンの隠れ家を教わり、クック大佐を助けて戻る。ただしクック大佐を岩山から降ろすのに使ったロープで両手ズリズリ剥けてしまうという大怪我で(笑)。
実は大佐が保管しているはずの南軍の資金10万ドルをラモンは狙っていたのがわかるのだが、大佐は未だに南北戦争の最中と思い込んでいるという、頭があっちの世界に行ったままで(笑)、その金が本当にあるのかもわからない。
だが、金の秘密を知るクック大佐を奪われたラモン、怒り心頭で、夜明けまでに大佐の金を渡さなければ町の者を皆殺しにすると通告してくる。
んなこと言われても、大佐はあっちの世界に行ったままで、急に正気に戻って隠し場所に案内されたら空っぽで金は見つからないし、こりゃ困ったぞと、女たちにも銃を教え、バリケード作ったりと急ごしらえの徹底抗戦態勢をするのだが…。
翌朝始まる激戦は…なんちゅうか、これがもう、題名通り(笑)。
ラモン、いきなり人質の男達を解放して、前述のいい顔の何人かの女たちが思わず「あなた〜」「良かった〜」とバリケードから飛び出して駆け寄ると、次々に一緒に撃ち殺すという、長年マカロニウエスタン観てるが、ちょっと記憶にない悪辣さでスタート。
両手が使えないノーマンは見つけたダイナマイトで敵をまとめて仕留めていくが、バリケードを守っていた女たちも一人また一人と次々と倒れてしまうのも残念なことこの上ない。
酒浸りだが冗談を欠かさないムードメーカーのローガンが、裏手に回った一味を相手に1人奮闘するもやられてしまうのは残念ながら、想定内ではあったのだが(笑)、クック大佐は正気に戻って参戦するかと思いきや、簡単に撃たれてしまうあたりから、こちらの予想がどんどん外れていくのだ。
フォーランは実は10万ドル回収のために政府から派遣された男だったのだが、戦いの最中、ジェニーが密かに奪った10万ドルの持ち逃げをはかったところを見つけ、揉めてるところにラモンに撃たれて2人とも敢えなく絶命で「え〜」(笑)。
絶対、怪我はしても生き残ると思っていた、頼り甲斐のあるフランクは、ラモンに裏をかかれ、丸腰のまま何発も食らってこれまた絶命するのは予想しておらず、思わず「ええ〜!」
10万ドルをせしめて高笑いのラモン、生き残った部下に馬を持って来させて、2人でガハハハと笑っていたのに、この部下を容赦なく射殺して金の独り占めするのは、ほとんど部下も残っていないのにまさか本当にするとは…の展開。(笑)。
そんなラモンを裏切ったロージーはノーマンとちょっと良い仲になっていたので、最後は2人でめでたしめでたしと町を出ていくかと思っていたのに、これまたラモンに何発も食らって殺されてしまったのには「えええ〜!」。
こんなに仲間や女たちまでもが次々と倒れていっているのに、おまえ、ダイナマイト使ってなかった間、何してたんだ!っていう主人公ノーマンがようやく忘れた頃に登場(笑)。
ロージーの亡骸に怒るものの、掌ズル剥けで、両手に包帯銃も持ってないのに、一体どうする?
ああ、かの「続 荒野の用心棒」のジャンゴのごとく、なんとか銃を持ってラモンを倒すんだな、と思っていると、これが殴り合いに突入。しかもラモン優勢(笑)。
ノーマン、ピンチのところに、母親を目の前で殺された少年がライフルを渡し、ノーマン、何とかラモンを倒し、父の仇も討て、少年に肩を借りながらヨロヨロと歩きだすところでジ、エンド(笑)
どうやらイタリアで量産されていた史劇の俳優とスタッフが、マカロニ・ウエスタンのヒットに目をつけて参入した作品らしく、悪役含め見たことない顔ぶればかりながら、推理劇の面白さに加え、この容赦ないラストの展開、思わぬ拾い物だったと言わざるを得まい(笑)。
しかし、マカロニウエスタンを長年観ているが、主人公以外こんなに主要キャストや、女たちまでもがほぼ全員死ぬというのは、ちょっと記憶にないのは確か。「真昼の用心棒」も、かなり死んでるが、数以上に思い切りの良い展開に返って納得のB級ど真ん中の一本でしたな(笑)。
原題の「DEGUEJO」ってなんか見た字面だなあと思っていたら、ジョン・ウェインの「アラモ」や「リオ・ブラボー」で流れていた「Deguello(皆殺しの歌)」と綴りが近いからだった。
内容通りの原題、原題通りの邦題なのだなと、納得なのでありました(笑)。
とまあ、今書いたネタバレがほぼ網羅されているDVDリリース予告編をどうぞ。音楽も哀愁あってグッドですぞ!