連休の23日。行ってきましたよ。ケリをつけに。
東京に戻った下の娘を除く3人でまた劇場で観たのだが、正直「ううむ・・・」でありましたな(笑)。
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド(2015)
ネット上で酷評の嵐だった前作だが、原作ファンの自分としては、別物の残酷特撮怪獣ものとして、何とか精一杯楽しんだのは前作のレビューで書いた。
で、前作で提示だけされたほとんどの謎=完結していない原作でも残っている「巨人とは何か」「この世界はどうなっているのか」を、原作から離れて自由に回収されるはずだったこの後編。
もうね「エンド オブ ザ ワールド」っていうサブタイトルなのに、前作よりこじんまりしてしまったのが致命的。
前作では巨人に襲われる街の描写もあり、逃げ惑う群衆もいたのだが、前作ラストで巨人に変身したエレンの尋問中に、鎧の巨人が来襲して、冒頭で主役級を残して生き残っていた兵士がほぼ全滅(笑)。
で、残った6、7人が前作で使っちゃった爆薬の代わりに前世紀の遺物の不発弾を使って、巨人の入りこんでくる壁の穴を塞ぐための「ミッション遂行」のストーリーに変わるのだが、これに人類最強の兵士のシキシマの別の目的も加わってしまい、ミッション遂行のアクションも加速しないんだよな。
登場人物の少なさはストーリーを語るにはいいのだが、巨人の入りこんでくる穴を塞ぐという彼らの決死の行動に対し、巨人に怯える市井の人々の描写が皆無なんで「誰がその作戦の成功を望んでいるのか」がまったく伝わってこないのが、作劇上の最大のミスなんだよなあ。
加えて前作であんなにいた巨人がちょぼちょぼとしか出てこない。
だから巨人同士の闘いはあるものの、そいつらと人間との戦いがラストまでほぼ無し。何より人を食らうシーンも無くなっちゃったのは大きな減点だ。(まあ人食ってればいいのかって言うわけでもないのだが)
以下ネタバレ記述あり
巨人の正体、この世界の成り立ちなどの謎の解明は百歩譲って良しとしよう。前述の通り、サンダ対ガイラ的な巨人同士の闘いも悪くない。
原作にはない「エレンの兄」の設定を、エレンの記憶の中の父親の台詞で触れ、その伏線というか、壮絶にネタバレする冒頭のピエール瀧の最期の台詞にも出しているのだが、物語のラスト、シキシマ巨人の台詞で、そういうことかと気づかせるのだが、あれはもう少し解りやすく表現しても良かったんじゃないか?と思った。現に上の娘は気づいてなかったぞ(笑)。
そのシキシマ演ずる長谷川博己が、前作でも娘たちに不評だったが、今回もこの役に合ってない感はいっぱい。及川光博あたりにやらせた方が説得力あったんじゃないか?
もう一つ嫌なのが、エレンの顔が汚れてないこと。周囲の連中が埃まみれ煤だらけになるのに、一番そうなっているべき三浦春馬の顔が最後ツルツルなんだ。これはダメでしょ。
何だか前作から叫んでるシーンしか思い出せないし(笑)
役者で言えば石原さとみのハンジのはじけっぷりと、サシャの桜庭ななみは良かったんだよな。
最後のクバルの説教強制止め三連射は特にね(笑)
で、ミカサは前作以上に影が薄くなって存在意義が・・・(苦笑)
サシャがミカサに花をあげるシーンは、てっきり「食える花だよ」って言うのかと思ったら違ってた(笑)
あと、せっかく生き残ったサンナギが、アクション映画でありがちな自己犠牲で仲間を救うのはいいのだが、前作で巨人投げちゃったように今度は石の搭を引っ張って倒すのも何だかなあ、だったし。
どうも脚本で書いてあることを拡大解釈したり、現場のノリで違う撮影をしているのも多いようだけど、樋口監督、ドラマ部分はほんと上手くないな。
あとラストのあの設定・・・。必要ある?まだ続編作る気なのかなあ・・・?
これは町山大将なのか脚本の失敗だと思うぞー。
帰りの車の中での会話。
かみさん「この監督、あのガメラ撮ってる人なんでしょ?」
俺「あれは特撮シーンだけの監督で、本編は金子修介だよ。ほらバラゴンいじめた白目ゴジラの監督だ」
娘「ガメラもあのゴジラ映画も面白かったのになあ」
かみさん「そうなんだー。ガメラの人の割にはつまんない映画だと思ってたけどやっぱ違うのかあ」
娘「なるほどー、じゃあ進撃の監督は特撮だけやってたほうがいいんだ」
かように女性や子どもも楽しめる特撮映画はあるんだから、樋口監督頼むよ~。
日本版ゴジラの新作「シン・ゴジラ」が、かなり心配になってきたぞ。
家に帰ってから娘が「ネットで『悲報!進撃の巨人後編、炎上さえせず!』って書いてあるよ~」と苦笑してました(笑)
原作ファンのヒステリックな拒否反応はどうかと思うけど、黙らせるくらいの整合性と面白さを期待したのになあ。残念な後編でありました・・・。