懐かシネマ Vol.5 大巨獣ガッパ | B級パラダイス

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大巨獣ガッパ (1967)

監督:野口晴康企画:児井英生原案:渡辺明 脚本:山崎巌、中西隆三 撮影:上田宗男 美術:小池一美 編集:辻井正則 音楽:大森盛太郎 特技・効果:富川正蔵 特技・撮影:柿田勇金田啓治、中村義幸 特技・操演:大隅銀蔵 特技・美術:山本陽一 特技監督:渡辺明
出演:川地民夫、山本陽子、桂小かん、小高雄二、和田浩二、町田政則、雪丘恵介、弘村三郎、押見史郎、藤竜也

日活が作った最初で最後の怪獣映画。これは大学のサークルで学祭の時に16mmフィルムを借りてきて上映したのが想い出深い一本だ。
当時は16mmフィルムのレンタルは専用映写機を扱う資格者がいるのが条件だったので、この映画を上映するために、わざわざ市の講習会を何回も受けて取り扱い免許を所得したものだった(笑)。

まだ家庭用ビデオも一般的でなかった80年代初頭、名画座で古い映画を見るチャンスはまだまだあった時代だ。メジャーのゴジラなど東宝の特撮ものはしょっちゅうどこかでやっていたけど、こいつはなかなかスクリーンで観る機会はなかったのだ。
だから学祭で上映した時には、怪獣オタクと思われる連中が来て「これをスクリーンで観るのが夢でした!」と非常に喜ばれて言われたのも懐かしい記憶だ(笑)。

余談ながら我が映画研究会、これに味をしめて翌年には「仮面の忍者 赤影」のテレビシリーズから何本かを、そのまた翌年にはがらりと変えて深作欣二の「資金源強奪」を上映と、マイナー街道一直線。居心地は最高だったがまったく女っ気が無いのも頷けるサークルだったなあ。

で、このガッパがNHKのBSで放映するのを知って夏の帰省時に録画予約をしておいたのだ。先週の帰省した時に、上の娘の大学の話を聞いていたら、大学の教授が俺と同世代らしく、授業で映画のことに触れた際に、ゴジラがどーの、大魔神がこーのと話しだしたとのこと。
娘曰く「周りの子は良く分からなかったみたいだけど、私は何だか家にある映画の話ばっかりだなあ、と思いながら聞いていた」とのことで(笑)。
で、「以前おとーさんが話していた「ガッパ」の話もしてたんだよ」と言うので、「今ここにそれがある」とレコーダーを指差し、驚く娘と共にさっそく鑑賞したのである(笑)。

話は当時の秘境、南洋のオベリスク島にやってきた探検隊が、ガッパの子供を発見し日本に連れ帰っちゃったので、両親が怒って取り返しに来るっていう、キングコングやらモスラやらをパクッたストーリー。もっとも囚われた子どもを親怪獣が取りかえす話は、元ネタで「怪獣ゴルゴ」ていうイギリスの着ぐるみ怪獣映画があるんだよね(かなり出来がいいらしいけど未見)。

まあ、映画としてはツッコミどころは満載。冒頭の美樹克彦の強烈な主題歌でまず2人で爆笑。あの「ガッパぁ~あっ」のくだりは耳に残るなあ(笑)。
当時の邦画のセリフ回し、今ではコントでしか見れないような探検隊の衣裳などもさることながら、俺には毎度おなじみの「日本人が演じる原住民の姿」は娘には衝撃的だったようだ(笑)。戦時中日本が駐屯していたのを匂わせる長老の台詞で、原住民が日本語を話せる理由をつけているのは発見だったけど。

カッパと言うよりカラス天狗的な造型のガッパには、赤く血走る眼も恐く文句はなかったようだが、ガッパが海に潜って進んで潜水艦を脅かしてた後に海面から飛び立つと「飛べるんだったら最初からそれで行け!」と娘の鋭いツッコミがとんでました(笑)。
で、再び海から熱海に上陸したガッパが何故かタコを咥えているんだが(笑)、しばらくしてカットが変わるとタコが丸まって茹でタコになってるんで、また爆笑。ここは当時の上映会でも笑ったのを想い出した(笑)。しかしガッパのスケール考えると物凄い大ダコだよな、あれ(笑)。

親ガッパたちは熱線を吐いて街を破壊、防衛隊も歯が立たないが、羽田空港に子ガッパを運び、親ガッパと再会させると、親ガッパ、泣くのよ。涙ポロポロ流して。ここでも「怪獣、泣くんかい!」と娘、容赦ないツッコミ(笑)。まあ確かに子ガッパを日本に持ってきちゃった方がそもそも悪いんだが、こっちも熱海の温泉客踏みつぶしから始まって、かなりの被害者いるから、ここで感動の再会されて泣かれてもねえ(笑)。

決して子供向けに作っているわけではなく、ドラマとしても川地民夫の記者と生物学者の軋轢や、山本陽子(綺麗なんだな)との恋愛要素まで無理なく入っていて頑張っているとは思うんだよね。
特撮も今のレベルと比べたら可哀相だし、東宝の円谷特撮ほどではないけどそこそこ出来も良いし、ガッパが時々よろけるのもご愛嬌(笑)。それなりに楽しめましたな。
藤竜也が脇役で出ていたり助監督に後にロマンポルノで活躍する小沼勝の名が見えるのも日活映画らしくていいよね(笑)。

こうして午後のひと時を二十歳すぎの娘と怪獣映画を観て過ごすってのも我が家くらいだろうな(笑)。
ほんと、幸せなことであります。