てなわけで、連休最終日、郡山に帰る前に仕事で半日出勤のかみさんを待つ間、何か映画でも観ようかねえと娘に受けそうで、自宅に置いてきたDVDから「ショーン・オブ・ザ・デッド」を取り出して大笑いしながら観たけど、これはまたの機会に。
連休明けて2日間だけの出社ながら何だか疲れてしまったのと、あまり「金曜」って感じもしなくて恒例のマカロニ鑑賞はやめて、酒かっくらってだらだら過ごしやした。で、土曜にはちょいと観たい映画が溜まってきたので、久々レンタル屋へ向かって借りてきたのがこいつ。
マーダー・ライド・ショー(2003) HOUSE OF 1000 CORPSES
監督・脚本:ロブ・ゾンビ 製作:アンディ・グールド 製作総指揮:アンドリュー・D・ギヴン、ガイ・オゼアリー 撮影:アレックス・ポッパス、トム・リッチモンド 音楽:ロブ・ゾンビ、スコット・ハンフリー
出演:シド・ヘイグ、ビル・モーズリイ、シェリ・ムーン、カレン・ブラック、マシュー・マッグローリー、
アーウィン・キーズ、クリス・ハードウィック、エリン・ダニエルズ、ジェニファー・ジョスティン、レイン・ウィルソン、トム・トウルズ、ウォルトン・ゴギンズ、デニス・フィンプル、ロバート・ミュークス、ハリソン・ヤング、ウィリアム・バセット、マイケル・J・ポラード、ジェイク・マッキノン、ウォルター・フェラン
うわ、きっついジャケットだな(笑)。この変に高いテンションがあるとはいえ「嫌な手触り」の1本でしたな。
監督のロブ・ゾンビは言わずと知れたヘヴィロックバンド「ホワイト・ゾンビ」のボーカルの方。自分はアルバムまでは手にしてないがマトリックスなんかにも曲が使われていた、思い切りのいい芸名は好感が持てますな。この作品の後もカーペンターの「ハロウィン」のリメイクなんかも手がけ、ジャンル映画一直線の天晴れな御仁であります。
で、彼の監督第1作のこれ、舞台は1977年のアメリカ西部のどこか。ハロウィン前夜、各地のユニークな場所を取材するため旅を続けている男女4人の若者が、給油のためとある田舎町に立ち寄る。ガソリンスタンドはジャケットで大写しになっている、ピエロメイクも不気味な「キャプテン・スポールディング」の店。そこは悪趣味な装飾だけでなくエド・ゲインなどの有名な殺人鬼の犯行を再現した博物館も併設されていた。
邦題通り、手押し車のライドショーで見学するこの博物館(っていうより秘宝館ですな)で、トビー・フーパーの「ファン・ハウス」のように惨劇が行われると思いきやさにあらず。4人は展示を堪能し、よせばいいのに展示の最後にあった、悪行を重ね処刑されたのにその死体が消えたという、この地に伝わる殺人鬼ドクター・サタンの伝説に興味を持った彼らは、雨の中スポールディングから教えられた「彼が吊るされた場所」へ向かって出発する。
途中で美人のヒッチハイカーを拾うが、直後に車のタイヤがパンク。実はヒッチハイカーの兄がライフルでタイヤを撃ったのだが、そうとは知らない4人は美人ヒッチハイカーの誘いもあり彼女の家に避難させてもらうのだが、ここがまさに原題通りの「HOUSE OF 1000 CORPSES」だったのだ!
ここからの話は傑作「悪魔のいけにえ」に似た展開。
チェーンソーこそ出てこないけど、レザーフェイスへのオマージュも含め、既知外一家による4人への執拗な肉体的&精神的いたぶりと殺人、生き残った女の子の地獄巡りがラストまで続くのである。
もちろんエグイシーンはあるのだが、思ったより血糊は少なめ、
むしろ時に極彩色だったり、ソラリゼーションを使ったり、昔のモノクロのアングラ映画?のインサートがあったりとまるでミュージックビデオのような細かい編集がタイトルバックのみならず、ところどころにあったのが自分には目新しかった。
2000年には完成していたらしいんだが、3年間も公開されなかったそうで、そういう意味でも、万人向けではない表現、メジャースタジオには無い自主制作的匂いはプンプンしておりますな。
そうかと思うと生き残る女の子の父親が、帰ってこない娘を心配して街の警察と共に一家を訪ねるものの返り討ちにあってしまうシークエンスはガラリとリズムが変わるのが面白かった。
執拗に苦しめられる若者たちと比べ、銃撃という手早い襲われ方。しかも一瞬DVDが故障して止まったかと思うくらいのスローモーションで撮られていて、その詩的とも言える静寂さ加減にちょっとハッとしてしまった。
既知外一家にはカレン・ブラックが母親、実は娘だった美人ヒッチハイカー(シェリ・ムーン:監督のロブ・ゾンビの奥さんでもある)という、ビッチ2人がけたたましくてある意味かなり怖い。
ここにお約束の奇形気味の知恵遅れの大男(弟)とか、ライフル撃ったマッチョ兄貴に、下ネタ芸をまくしたてる口うるさい爺イに加え、主導権を握っているんで長兄かと思ったら、どうも名字が違うオーティス(ビル・モーズリイ )など、思いのほか大所帯のところがまた手に負えないところ。
おまけに殺すだけでなく、元は被害者なんだろうけど地下に生かされてほとんどゾンビのようになってる連中がいたり、伝説のドクター・サタンまでいたりと、酒飲んで観たのでもう後半はあまりの多さに訳わかんなくなってきたのも事実である(笑)、
この手の基地外一家モノは恐ろしさより「嫌な感じ」が売りだと思うのだが、そういう意味では成功してますな。
冒頭のキャプテン・スポールディングからして、あの小汚いピエロメイクで、どうでもいいことをまくしたてているかと思うと、あっさり強盗を返り討ちにしたりで、怪しいことこの上ない。
余談だが冒頭のしゃべくり相手の小男の爺さん、あれ、マイケル・J・ポラード?カレン・ブラックといい、まさに70年代のキャスティングですな。
キャプテン・スポールディングがてっきり一家の元締めかと思ってたら、その後、既知外一家の犯行に絡んで出てこずじまい。あれれ?と思っているとラスト、彼が何とか逃げ延びた女の子を助けるので、へえ・・・と思いきや・・・のオチで、ひゃあ、やっぱり地獄巡りの元締めだったのね~(汗)で、ジ・エンド。
全く救いもカタルシスも無いエンディングでありました。
おまけにホラー者の定石で「The end?」と「?」マークがついて、購入した2作目に話は移るのだが、既知外一家、結構生き残っているんでいったいどうなっているんでしょ?
実は2作目の評判のいい「デヴィルズ・リジェクト」をちょっと前に中古屋で見つけて衝動買いしてしまったので、1作目のこちらをしっかり観ておこうと借りた次第。
そんなわけで2作目鑑賞が楽しみなのであります(笑)