結局今日も外出を控えてて過ごした。
また落札したBaron RojoのCDのせいではないが、何かスペインづいて
今日は以前購入して観ていなかったこの映画を・・・

パンズ・ラビリンス(2006) EL LABERINTO DEL FAUNO(PAN'S LABYRINTH)
監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ 製作:アルフォンソ・キュアロン、ベルサ・ナヴァロ、ギレルモ・デル・トロ、フリーダ・トレスブランコ、アルバロ・アウグスティン 撮影:ギレルモ・ナヴァロ 音楽:ハビエル・ナバレテ
出演:イバナ・バケロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル、アレックス・アングロ、ロジェール・カサマジョール
アカデミー賞にもノミネートされ、公開当時ちょっとだけ話題になったこの映画
ファンタジーの体裁をとっていながらPG-12のレイティング。
お伽噺やファンタジーの類ってのは本来主人公にも厳しく多分にグロテスクだったはずなのに
昨今のファンタジーブームの中でいつしか甘~いお子様向けの作品が増えている中、
間違ってこれを子供連れで観にいった人は大変だったろうな(笑)。
モンティ・パイソン一派が手掛けたようなある意味「意地悪な作劇」と
ダークなクリーチャーの写真が好みだったので気になっていたが
俺にとっては非常にツボな1本だった。
ノルマンディ上陸がラジオニュースで流れていた時代のスペインが舞台。
スペイン内戦後、フランコ独裁政権発足直後の時代だ。
少女オフェリアが身重の母親と共に新しく父親になるビダル大尉の駐屯する山
・・・(そこはレジスタンス掃討の前線でもある)にやってくるところから物語は始まる。
ファシストを絵に描いたようなビダルの支配と、情け容赦ないその振る舞い。
この新しい生活=「辛い現実」からオフェリアが逃げるように辿り着く「牧神パンの迷宮」。
本当に信じていいのかわからない「パン」が与える試練をクリアしていく様と
段々状況が悪くなる「現実」の世界を描いていく話は、どちらもダークで過酷だ。
パンにしても妖精にしてもクリーチャーにしても、「可愛いファンタジー」から対極にある造形が素晴らしい。


性的な神としても有名だった「パン」はまた山羊の脚と角を持つ「悪魔」のイメージにも反映されたりしている。
その「パンの迷宮」が本当にオフェリアにとって良い場所なのか疑問に思えるのがミソだ。
でもそこに行くことを望むオフェリア。それだけ現実が過酷なのだが・・・。
ファンタジックな世界で大団円を迎えたら、辛い現実にも明るい光が差していました・・・
といった予定調和にならないラスト。
でも、オフェリアにはある意味ハッピーエンドなんだろうか・・・という複雑かつ苦い味わいが最後まで続く。
グロテスクでも圧倒的に「美しい」映像と、耳に付く物悲しい「子守唄」の旋律が彩っていく。
感動するという類ではないのだが、何とも哀しく胸をかき乱す1本だった。
ダークなイメージとマッチした現実=スペイン内戦の時代をその後調べちゃったりして・・・(笑)
ギレルモ・デル・トロ・・・気になる監督だ。
彼の創る、かの「ロード・オブ・ザ・リング」の前篇にあたる「ホビットの冒険」
非常に期待できそうだ。
甘ったるいファンタジーが嫌いなアナタにはお勧めの1本です(笑)