なんだかブログばっかり書いてる休日だな(笑)
やっとレヴューも追いついて昨夜読了した1冊へ。
『行きずりの街』 志水辰夫 新潮文庫

『行きずりの街』 志水辰夫 新潮文庫
短編集「いまひとたびを」で気に入った志水辰夫の代表作。
かつて教え子と恋仲になり、卒業後結婚した教師波多野は
彼を良く思わない一派にそれを糾弾され学校を追われ妻とも別れた苦い過去を持つ。
田舎に戻って塾の教師をしていた彼が
行方不明になった自分の生徒だった娘を捜しに東京に戻ってくる。
彼女を捜すうちに自分を追放した学園が関係しているという事実を知り
12年前の過去を清算するべく学園の暗部と対決することになるハードボイルド小説です。
「いまひとたびに」でもそうだったけど、この人は男女の「恋愛感情」を描くのがうまい。
淡々と、でも熱い感情を、台詞だけでなく仕草でも表現できる
過度にならないセンチメンタリズムが好きだなあ。
12年前に別れざるを得なかった妻への未練と愛惜・・・
彼の痛みを知りつつ「他人を必要としない」その生き方に切ない想いを持つ元妻。
本当は弱く、寂しいが故に、その生き方を強制した「敵」への闘争心。
それは一介の教師の意地ではあるが、その意地っ張りぶりがまさにツボでした。
そう、ハードボイルドって「意地」の物語なんだよねえ。
でも先生が主役のハードボイルドって初めて読んだなあ。
敵側も含め一人一人のキャラクターがたってて非常に面白い一編でした。
数年前に水谷豊主演でドラマ化されていたようです。
僕の先生はフィーバーならぬハードボイルドだったんすねー(笑)