「スポンティニアス・コンバッション」 | B級パラダイス

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考えてみれば「B級パラダイス」なんて名づけながら,結構メジャーなものしか出してないよなー。
え?そんなことない?いやー、他の方の深くて濃いブログの数々見てると
俺なんかスゲエ一般的じゃんとか思い知ったわけよ。見てるブログがブログかもしれんが(笑)
なんでこれっぽっちで俺なんかがマニア扱いされにゃならんのかあっ!とかさ。
日曜の午後にこんなの見ながらそう思ったのよ。
ほら、トビー・フーパーだぞ。おらおら・・・ね?メジャーでしょ?でもないか(笑)



スポンティニアス・コンバッション SPONTANEOUS COMBUSTION

(1989年製作・日本公開1991年)
監督:脚本:トビー・フーバー 脚本:ハワード・ゴールドバーグ
音楽:グレーム・レベル SFX:ジョン・ダイクストラ
CAST:ブラッド・ドゥーリフ、シンシア・ベイン、ジョン・サイファー、ィリアム・プリンス、 メリンダ・ディロン


まあトビー・フーパーと言えば10人中6人くらいが誰だかわからなくて
残りは「悪魔のいけにえの監督だろ!」とか言うんだろうけど
他に何か?って言われたら「悪魔のいけにえ2撮ってるだろ!」だよね?(笑)
あとは「悪魔の沼」と「ファンハウス/惨劇の館」(・・・この辺りは好きだったな)
あ、そーだ「ポルター・ガイスト」と「死霊伝説」「スペース・インベーダー」(・・・涙)。
それからあれだ「スペースバンパイア」もだ!。
「スペースバンパイア」と書いた時点でもはやマチルダ・メイのおっぱいしか頭に浮かばないが(笑)
かように色々撮ってるんですトビー・フーパー。メジャーだから。ううむ。

で、「スポンティニアス・コンバッションですが、ストーリーはざっとこんな感じ。
1955年の水爆実験に抗放射線剤を投与の上、シェルターに篭る実験体として参加した夫婦がいた。
実験後予期せぬ妊娠が発覚するものの、二人の間に子供が生まれるが、
彼が生まれてまもなく夫妻はいきなり体から火が吹き出る「人体発火」して死んでしまう。
現代になってその子供は出生の秘密を伏せられたまま青年となっているが、近くで開業する原子力発電所の操業にあわせるかのように、体に変調をきたし「人体発火」が自分だけでなく他人をも発火させてしまう能力が出現してしまう。出生の秘密=企業の陰謀を探るために彼は・・・
 
ってなんとなくキングの「ファイアスターター」を映画化した「炎の少女チャーリー」とか
クロネンバーグの「スキャナーズ」、デ・パルマの「フューリー」思い出しませんか?
こういう「不条理な能力を持った者の哀しみ」と「原因をつくった政府or軍or企業の陰謀」
というパターンの話は結構好きで(映画の出来不出来は別として)、
この映画も全体的にはテンポ良く進み、決してつまらなくはないんだけど、
前述の「悪魔のいけにえ」の息詰る恐怖感をどっかで期待してたので
なんでトビー・フーパーがクロネンバーグのマネを?
ってのがぬぐえぬまま終わってしまいました(笑)
 
いきなり体の中から発火するのは本人も周りも(俺も(笑))ビックリするし
だんだん自らも傷ついてしまう(これがまた煙吹いて痛そうで辛そう(笑))
主人公サム(=デイブ)役のB.ドゥーリフがゾンビじみてくるのもGoodです。
この人どっかで見た人だと思ったらLOTRの蛇の舌だったのね。
どーりで悪役顔だ・・・あんまり同情できなくてゴメンよ(笑)
 
ただ出生の秘密=陰謀の存在が明らかになっていく中で
彼の周囲に対する不信はこちらにも痛いほど伝わるんだが
キャリー風「みんな燃えちまえ」っていうヤケクソ大惨事にもならず
「やっと復讐を遂げたぜ」っていうカタルシスもあんまりないまま
最後にファンタジックに恋人を助けてしまったりと、
なんか「エエ話」風に帰結しちゃって少々肩透かしでねえ。
そもそも「人体発火」が放射能が原因ってのもキッチュさを狙ったのか
彼なりの反核メッセージなのか・・・どうにも座りが悪くて。
 
話としては全然違うけど、こちらが勝手に期待しちゃったのに
全然雰囲気が違ってたカーペンターの「スターマン」観た後みたいな
居心地の悪さ感じたんだよなあってわかりにくい例えだな(笑)
 
結局自分のなかで「悪魔のいけにえ」イメージが強すぎるんだよね。
この手の映画好きな人は皆たぶんそうだと思うけど、
あれが強烈だっただけにフーパーには「いけにえ」の臭いのする映画を
つい求めてしまって、がっかりしたこと多くありません?(苦笑)。
でもこうして映画並べてみるとあれほどヒリヒリした不快感を感じる映画は滅多に無いわけで
あの映画の方が彼の映画のトーンとしては実は特殊だったと、
そう思ってやらないといけないんかなと遅まきながら感じましただよ。
 
白状するとこの映画は以前録画しておいたTV放送(でも字幕)のもの。
なんか映画を・・・と思ってたら突然思い出して観たんでタダだからもう文句言いません(笑)
 
初見でしたがなんか「あの頃のホラー」の雰囲気浸れて気持ち的には懐かシネマでした(笑)
ただ、この時期の映画って、凄く現代の設定なのに
携帯電話がないので主人公が電話するのも一苦労だったりするし
部屋の装飾や女性のメイク等が中途半端な古さを感じてしまう!
というのを改めて感じた次第。
70年代ならいいんだけど、ほんと90年前後は微妙だよな。

あと、特別出演してるジョン・ランディスが「物食いながら電話応対するな!」と叱られて
炎上するのは社会人としては当然の帰結だと思いました(笑)。