B級メタル列伝:Vol.3 ANGEL WITCH | B級パラダイス

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その名もズバリのBlack Sabathの例を出すまでもなく、70年代のロックバンドには

シリアスに悪魔主義的な価値観を内包しているバンドが数多くあった。

ドラッグと神秘思想が結びついていたのもその一因だったのだろうが、

あのローリングストーンズやLED ZEPPELIN(ジミー・ペイジ)もその点では

有名だったってのも「時代」だよなあ。


しかし80年代NWOBHM時のヘヴィメタルバンドには黙示録や神話、オカルティックな世界観を

歌詞に取り上げたりバンド名にしているのがえらく多かったのだが、

どのバンドも悪魔主義を実践するわけではなく単なる「形」として取り入れているだけだった。

ラブクラフトなどのホラー小説に材をとった曲もある御大IRON MAIDENなんかが良い例だ。

 

幼いころから怪獣・妖怪などの「異形のモノ」が大好きだった俺は

「デビルマン」(但し永井豪の原作コミックだけ)と映画「エクソシスト」に出会ってからは

そこに「悪魔」という存在が加わってますます興味が広がり

オカルティックなアプローチをかけてるものはなんでもウエルカムになっていって今に至るのだが

前述のようなヘヴィメタルバンドに対しても悪魔主義を実践していようがいまいが、

当然その心意気に「おー、よしよし」とついニコニコして聴いてしまうのだった(今も(笑))。


さてB級メタル列伝3回目は、もう全編オカルトと神話とサタニックな曲のオンパレードで

俺を喜ばせてくれたANGEL WITCHだ。

 

 

 

NWOBHMの花形が前述のIRON MAIDENやDEF LEPPARDだとすると、

ANGEL WITCHは熱狂的なファンを得ながらも表街道を歩くことなく、

だがその「影」をシーンに色濃く残し消えていった、まさにB級ど真ん中のバンドだった。

 

78年頃から活動を開始し、EP2枚やコンピレーションアルバムに曲を提供した後に

1980年に発売された彼らの1stアルバム「ANGEL WITCH」。

バンド名と同一のこのアルバムのオープニングを飾るのがこれまた同名の「Angel Witch」。

ちなみにアルバムの邦題は「悪魔の翼」、曲の邦題は「エンジェル・ウィッチのテーマ」

・・・ええい、ややこしい!(笑)。

 

当然彼らの代表曲でもあるのだが、NWOBHMの生み出した名曲の一つだと胸を張って言える。

あの頃のメタルらしいギターリフに始まり、ドコドコドンと入るイントロは

B級臭さいっぱいながらも素直にカッコイイ!と思わず拳に力が入ってしまうのだ。

オカルティックな歌詞を、疾走感と共にどこか陰鬱さをまといながら展開するこの曲は

当時のメタルファンで知らない者はいないくらい有名だった。

この1曲で未だに愛されているバンドだと言えよう。
ちなみに朝起きて急に聞きたくなってかけていたら

家族中から休日の朝からなんでまた・・・と厭な顔されたけどしょうがないよね、悪魔だし(笑)

 

 

 

 

ちなみに1stアルバムの曲はこんな感じ。
1 ANGEL WITCH        6 GORGON
2 ATLANTIS           7 SWEET DANGER
3 WHITE WITCH                   8 FREE MAN
4 CONFUSED           9 ANGEL OF DEATH
5 SORCERERS                   10 DEVILS TOWER

アトランティスに白魔女、魔術師、ゴーゴン、死の使い・・・ああ、楽しいなあ。たまらんすね(笑)。

渋いFREE MAN。いいんです。これが。

 

 

シングルにもなったSWEET DANGER

 

ご覧のとおりカリスマ的存在の中心人物でもあるボーカル&ギターのKevin Heybourneに

ベースにキーボードの Kevin(Skids)Riddles、そしてDrのDave Hoggの3ピースバンドながら

湿り気のあるブリティッシュメタルの音にコーラス・ハーモニーを入れたりの小技も効いていて、

その後のメタリカ等のスラッシュメタルバンドや

現在もあるサタニック系メタルバンドに与えた影響は多大だったと言えよう。


ただマネージメントが弱かったこともあり、デビューして数年で彼らはあえなく解散。

本作が彼らの実質上最初で最後のアルバムにして最高傑作だったはずだったのだが、

Kevin Heybourneはこの名前にこだわり、渋めの声質のDavid Tattumをボーカルに迎え

4人編成となって85年に再結成し2nd「Screamin' and Bleedin' 」を発表。

これは、悪くはないんだが、なんだか普通になっちゃったな・・・の出来。

また活動休止しては再結成して3rdを発表とその後もしぶとく生き残っていたようだ。

だがYou TUBEで聴く限り、これまた今一つの曲ばかり。

どのライブでも盛り上がってるのは1stの曲、しかも「Angel Witch」ばかりのようで・・・(笑)
1986年4人編成のライブ

 

 

 

 

なんとまあまだやってたのか!の2000年ライブ。

 

 

 

もうさすがに飽きますね(笑)。やっぱり1stだけのバンドと思ってしまうなあ。

 

おお、調べたらこの1stアルバム、EPやライブ音源のボーナストラック入れて

再発されてるじゃないか!俺が持ってるのは上のレンタル落ちした中古品

・・・ううむ・・・欲しいっていうか、こりゃ買わねば(笑)

 

豆知識:この1stのジャケットのアートワークはイギリスの幻想画家ジョン・マーティンのもの。

聖書や神話の世界がよく題材になっている彼の作品から

ミルトンの『失楽園』を描いた「THE FALLEN ANGELS ENTERING PANDEMONIUM」が原画だ。

ジャケットは随分赤が強い処理をしてたんだなあってわかる1枚でした。

おどろおどろの世界を一緒にご堪能あれ(笑)