キタ~!!!「必殺仕事人2009」
子供相手にからくりおもちゃを見せながら心の中では「次の仕掛け」を考えてしまう・・・
と予告通りの源太の葛藤に、本編では更に「今更善人面するな!おめえはもう人の屑だよ!」と
叱責する渡辺小五郎の厳しさが倍加していい出足。
それに加えて、なんとまあこっちも・・・の涼次を叱責する主水との絡み、
そして涼二と渡辺小五郎との対立・・・仕事人同志の緊張感ある構図に正直ゾクゾクしたぞ!
加えて今回の標的であり頼み人側にもなる無差別殺人の犯人、
荒川良々と母親・池上季美子が良かったし、
更に上を行く用人・平泉成、中間頭・大富士と、犠牲になる中間・内山君も好演、
普通のパターンでもそこそこ観れる作品だっただろうに
いやあ、予想以上にお腹一杯の脚本が、こちらの予想を良い意味で次々と裏切ってくれて
正直かなり「ううむ」と唸らされてしまった。
脚本の寺田敏雄、2007や2009スペシャルも手がけていたけど、今回のは凄かった!
更に素晴らしいのが必殺シリーズの撮影監督から監督になった石原興の映像美!
怖いくらいの夕陽のオレンジ色と荒川を覆う影・・・冒頭から炸裂してましたなあ。
池上季美子が錯乱するかのように街を彷徨う時の、葬列提灯の動きの様式美。
深作並みの手持ちカメラの生々しい迫力などなど普段以上に絵作りが良かった!
・・・などなど、素晴らしい映像にゲスト好演、本来の殺しのストーリーもかなり良いところに、
冒頭に書いた通り、一枚板ではない仕事人同士のスタンスの違いが明確になった上に
ラストの殺しのシーンでそれらが絡むというパターン破りの展開に大拍手だ!
ネタバレで申し訳ないが・・・母親が息子を仕事にかけるという
歴代必殺シリーズの中でもかなりハードな依頼に一度は降りる渡辺小五郎。
情に弱いと主水に言われた涼次が意地を掛けて挑むこの殺し。
頼み人である母親が、やはり殺される息子をほおっておけなくて
「やめて」と止める彼女の手の甲ごと息子に錐針を刺すのがハード!
更に「お願いだからと」涙ながらに息子の命乞いする母親に
「おまえさんが希んだことだ」と言い捨て、目の前で息子にとどめを刺すのも非情ならば、
その殺しを目前で見た母親を始末しない涼次の「掟破り」に対する
渡辺小五郎の非情な処置と、その鬼の表情には俺は「おおお」とのけぞったね。
「頼み人だぞ」と小五郎を非難する涼次に、「俺は頼まれてねぇ」の返事!
これだよ!これぞハードボイルドってな展開。
そう、確かに小五郎は降りてたから頼み人とは関係なく、
単に殺しを見た者は生かしておかないという掟を遂行しただけ。
仕事人がただの正義の味方じゃなく、人殺しを生業としているということを
強調納得するストーリーに唸りまくりだった。
ここでエンドロール・・・いつもならその後は渡辺家ののほほんシーンで終わるのに
今回は源太の殺しの不完全さが彼自身のピンチをまねくラストに。
いつもの「華麗な技」ではない、ただの人殺しとしてかろうじて一難去ったところに
更に更にの大ピンチ!そして今までの必殺シリーズでも記憶になかった次回への引っ張り!!
わたしゃ今回何度座り直して一緒に観ていた娘と声をあげたことか!(笑)
このパターン破りを待っていた。
この慣れ合わない緊張感を待っていた。
この非情さを待っていた!
仕事人2009、俺は全面的に支持するぞ!
次回が4月10日まで待たなきゃならんのが非常に悔しい!