ジェンマ三昧その2 「続荒野の1ドル銀貨」 | B級パラダイス

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前のブログの通り朝4時過ぎから眠れず観だした「続 さすらいの一匹狼」がなんともすっきりしなかったので、
朝6時過ぎから今度はこいつを観だした(笑)

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続・荒野の1ドル銀貨(1965) 日本公開年月(東京第一) 1967/06/
IL RITORNO DI RINGO (RINGO RIDES AGAIN・THE RETURN OF RINGO)

監督・脚本:ドゥッチオ・テッサリ 脚本:フェルナンド・ディ・レオ 撮影:フランチェスコ・マリン  音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:モンゴメリー・ウッド(ジュリアーノ・ジェンマ)、ジョージ・マーティン、ロレッラ・デ・ルーカ、
アントニオ・カザス、フェルナンド・サンチョ

南北戦争が終わり、北軍大尉モンゴメリー・ブラウン(通称リンゴ)は生まれ故郷に帰るも
街はメキシコ人兄弟エステバンとパコに牛耳られ、妻もついでに乗っ取られているのを知る。
リンゴは髪を染め、髭を生やし、ボロをまとって身元を隠し、
メキシコ人の花屋「朝顔」のもとで下働きをしながら敵の様子を窺い復讐の時を狙う。
ところがかつての自分の邸宅に忍び込んだリンゴはパコに捕えられリンチを受けてしまう。
右手にナイフを突き刺され(あわわ)、利き腕が使いものにならなくなってしまうリンゴ。
失意のリンゴのもとへ花を買うふりをして妻ハリーが忍んで来た。
今もリンゴを愛していること、パコとの結婚式が数日後に迫っていること、助けてくれと頼む妻。
そうか、そういう事情だったのかと、リンゴは左手で拳銃を射つ訓練を始める。
パコ一味を倒し、妻と戦争に行っている間に生まれた我が娘を取り戻すため。
数日後パコとリンゴの妻との強引な結婚式が開かれようとしたその時、
教会の入り口に浮かぶシルエット。北軍騎兵隊の軍服を着込んだその男こそ、
左手で銃の猛特訓をし、復讐に燃えて帰って来たリンゴだったのだ!

有名な『荒野の1ドル銀貨』とはジェンマ主演ということ以外は何も関係が無く、
ご覧の通り物語にも「1ドル銀貨」はまったく関係しないという
後から作られて先に公開した「荒野の1ドル銀貨」が当たったために、安易にあやかっちゃった
「当時の配給会社にも困ったもんだ」題名の1作ながら、
同じなんちゃって「続編」でも前の記事の「続さすらいの一匹狼」より確実に燃える一本であるのは間違いない。
やはりマカロニウエスタンは・・・目的は「復讐」!リンチなどの「ピンチ」から復活し、
男の意地の「逆襲」で締める!やっぱこれですよ、これ!この流れが最高ですがな。

この作品は主人公としては『夕陽の用心棒』(このTV放映題名もなんともはや・・・だな)の続編らしいが、
コメディタッチだというその前作は、自分は見た記憶がない。
中学の頃TVで観た時は『荒野の1ドル銀貨』と連続して放映していたような記憶がある。
その時も題名はともかく素直に面白く、カッコいいと思っていたけど
昨日書いた「続さすらいの一匹狼」のような「アメリカ西部劇に近づけてみました」的なのを観た後だと
このいかにも「マカロニウエスタン」的な、ある意味歪んだ設定、暗さが返って気持ち良くなってしまうのだ。
とは言えジェンマなんで、フランコ・ネロのような湿っぽさは少ないのだが
それでもモリコーネのマイナーメロディのカッコイイ主題歌も含めて、
ジェンマの端正な顔が、髭面になることで返って物語の悲壮感に拍車をかけ、
家族を取り戻そうとするシリアスなドラマとマッチして、非常に良い感じであった。

メキシコ人兄弟の横暴にじっと耐え、おまけに利き腕までつぶされた後は一転、
髭も剃り、誇りある騎兵隊の制服でもって結婚式に殴りこむとこなんざ
そのシルエットの向こうに吹きすさぶ砂塵とともにカッコいいことこの上ない!
よっしゃあ!行ったれってなもんで、こっちも姿勢正しちゃうのである。
しかも物語前半、ジェンマと共に耐えに耐えた町の人々が共に立ち上がるとこもマカロニ的でいいし
リンゴに協力する「朝顔」やネイティブアメリカンもキャラがたってていいんだよなあ。

そう言えばフェルナンド・サンチョもいつものテンション高い豪快な悪役じゃないけど
パコの兄エステバンで出てるのも俺的マカロニポイントは高くなるのである(笑)。

ジェンマといえば『荒野の1ドル銀貨』で人気を得たことから第1作と思われがちだが、
実はこの作品の前作『夕陽の用心棒』(リンゴーのための拳銃)こそが第1作なんだったそうで。
『荒野の1ドル銀貨』がヒットし、有名だからその続編にしちゃえって気持ちもわかるけど・・・ねえ。
いずれにせよジェンマは“リンゴ”を主人公とする2作と『荒野の1ドル銀貨』までの3作は
アメリカ風にモンゴメリー・ウッド名義で出演していたが、
これで人気が爆発し以降は「ジュリアーノ・ジェンマ」として主に女性にキャーキャー言われながら快進撃を続け
マカロニ男たちからは「ふーん、ジェンマか・・・」という理不尽な扱いを受けるのだった(笑)。