その捻くれ加減と弱さが引き立った「遠雷」 | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

自分のブログ記事で、以前取上げた題材のはずと検索を掛けてみたら、なんと
「規制で記事がなかった」なんてのがわかったのが、この作者の訃報に接して
書いた「遠雷」のものだった。
で、これを検索したのは、またまた出演者の訃報を知り、確か書いたはずの曖
昧な記憶。規制のものは「ヌード」にありそうで、それを削除して「ジョニー
大倉」に哀悼を込めて、再エントリー。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
都市圏の農業の展望と若者の苛立ち「遠雷」

報道で知った「訃報」に、あの映画の原作者だとすぐに思い出す日本映画が
あった。
都市圏ながらトマト農家を細々と営む青年の苛立ちと、地に足を付けた土着
の女の織り成す関係が、ほろりとさせられる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2月9日14時21分配信 産経新聞

映画化された「遠雷」などで知られる作家の立松和平(たてまつ・わへい
=本名・横松和夫=よこまつ・かずお)さんが8日、東京都内の病院で死去した。
62歳。栃木県出身。葬儀は近親者で行う予定。立松さんは先月体調を崩して入
院していた。
早大在学中に早稲田文学新人賞を受賞。市役所などに勤務したあと文筆活動入り、
昭和55年に「遠雷」で野間文芸新人賞。平成9年に「毒-風聞・田中正造」で
毎日出版文化賞などを受けた。テレビ朝日系の報道番組「ニュースステーション」
の出演で有名に。パリ・ダカールラリーに出場するなど行動派として知られ、最
近は環境問題などに積極的に取り組んでいた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100209-00000555-san-soci
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

小説家としてはこの作品くらいで、後には作者の地元の「田中正造」ものくらい
しか読んでいないが、この作者の独特の語り口の「ナレーション」は耳に残るも
ので、その朴訥な言い回しがなぜか聞き応えが良かった。
そしてそんな作者の心情を良く映像にしていたのが、この「遠雷」である。



https://www.youtube.com/watch?v=7Y9McW3EhuY

「遠雷」 八十一年公開作
動画は横山エリのもので音声はないが、ジョニー大倉と永島敏行の軋轢とジョ
ニーの一途な純情さが、すれっからしの女性には通じないという「空回り」加
減がなんともなシーンがバックに流れているもの。

この地味な題材の映画が、なんとなく心に刻まれるのは女優の石田えりの
キャラクターと、そして主演の永島敏行が歌う「私の青い鳥」の切ない自分の
境遇を良く描いていたからだ。
何より石田えりの存在感は、地に足を付けた田舎の女性のたくましさをキャラ
クターとして良く出ていて、そのあっけらかんな性格が、この暗くなりがちな
映画を救っていたし、テーマは重いものをコミカルといっていい存在感で、中
だるみを救っていた。
監督は根岸吉太郎で配役の妙が、しまりある映画と・・・。
石田えりのヌードが拝めるとお宝扱いされているが、それが妖艶ないやらしさも
なく、すんなり受け入れられるのは、キャラの勝利か・・・。
だけにお見合いからそのままモーテルへという飛躍した行動に、なんら違和感も
なく、なにより「結婚するなら別にいいか」の貞操観念を吹っ飛ばす設定の女性
には、大地の母と呼べるどっしりした「肝っ玉」が映像になっていた。
そしてその女性との婚姻の席で、親友が不倫の末相手を殺害、自首する騒ぎ
でそれがジョニー大倉が演じ、少しばかり斜に構えたそれでいて世渡りべたな
青年を好演しているし、はちゃめちゃな親父のケーシー高峰やらと、どう考えても
「ぶっ飛び家族構成」の物語を、面白おかしく、そしてラストはうるうるさせる
永島の歌や、何より都市化が進む田舎の自立に欠かせぬ意気が、最後の不動産屋
とのやり取りと「遠雷」で締められているのには、監督の腕に唸る・・・。



「私の青い鳥」 桜田淳子

この歌を歌いながら泣く永島のシーンには、自分以外の人の不条理とましてや
殺人を犯した友、そして明日の見えない農業への展望とそこに嫁に来てくれた
女性への言葉にならない感謝、とがない交ぜになって見ているものも「もらい泣き」
してしまう・・・。
と、原作のものと映像では少々違いはあるものの、言わんとしたテーマは映画に
描かれていて、原作者にしても映画は満足の行く作品ではなかったか・・・。
と、今日の予定は児童ポルノの法案うんたらでの関連から「かわいい毒草」だったの
だが、訃報に急遽変更をした。


                 立松和平氏のご冥福を、お祈りいたします
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここまでが十年二月に書いたエントリーで、規制を受けて見られなかったもの。
で、その出演者のジョニー大倉の訃報・・・。



自分が「トラブル・メイカー」は言動をみるとなんとも言えないが、我の強さが
顔に表れているのは、なんとなく出自のそれからもだが、それでも「唯我独尊」
も映画の中でなら、キャラとしては光るものだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ロックバンド、キャロルの元メンバーで、肺がんで闘病中だった歌手ジョニー
大倉さんが19日午後5時56分に肺炎で東京・広尾の日本赤十字病院で亡くなっ
ていたことが27日、分かった。62歳だった。
◆ジョニー大倉(おおくら)1952年(昭27)9月3日、神奈川県生まれ。
72年6月、矢沢永吉らと4人組ロックバンド、キャロルを結成。革ジャン、リー
ゼント、サングラスのスタイルでファンキー・モンキー・ベイビーなどをヒットさ
せた。
75年4月、音楽性の違いを理由に解散後はソロ活動。81年には映画「遠雷」で
日本アカデミー賞優秀助演男優賞受賞。
173センチ、78キロ、血液型B。

日刊スポーツ 11月27日(木)11時2分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141127-00000009-nksports-ent
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「キャロル」リード・ボーカル ジョニー大倉の「ジョニー・B・グッド」

               ジョニー大倉氏のご冥福を、お祈りいたします

遠雷 HDニューマスター版 [DVD]/永島敏行,ジョニー大倉,石田えり

¥4,104
Amazon.co.jp

                といったところで、またのお越しを・・・。