尊敬という敬意がいがみ合いを収める「インビクタス 負けざる者たち」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

人間対人間の諍いは、心の交流からしか変化はしないものだが、その諍いも「自分

優位」という立場からの「礼節」の態度が、相手に対する「尊敬の念」の敬意となって

通じ合う「心地良さ」を味あえるものとなるが、一方的に「過去をあげつらって非難」しな

がら、友好やら差別意識やらを剥き出しにしては、相手の心を閉ざすだけの「北風」

となるのは、至極当たり前の人間の性ではないのか・・・。


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私の生まれ育った東京は、今や「レイシズムのメッカ」

「宇都宮健児さんが都知事にならなければ、私たちの明日はない」――。
こう訴えたのは、在日三世の辛淑玉氏。
ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク、通称「のりこえねっと」で、
宇都宮氏とともに共同代表を務めている。
渋谷で生まれ育ったという辛氏は「朝鮮人でも商業高校を出たら
就職できると言われたから都立第一商業高校に入った」と、当時を振り返る。
「高校一年の時に、一生懸命勉強し、簿記も、そろばんもやった。
だけど、在日で就職している人は誰もいなかった。貧乏は苦しい。
900円の学費を払うのは大変で、夜は焼肉屋で働き、昼間は学校に行って、
朝は新聞配達をした。空き缶やビール瓶を集めれば、一個5円になったから、
それをお金に変えて生きてきた」
このような生き方を、今の若者も強いられようとしている、と辛氏は言う。
「明日がない、仕事がない。こんな社会にしたのは、今の政権であり、
これまでの政権であり、そして、それを見て見ぬふりし、対立を煽っていたのは、
これまでの都知事だ」。
2000年4月、当時、都知事だった石原慎太郎氏は、
陸上自衛隊の「創隊記念式典」に出席し、次のような差別発言をした。
「東京では、不法入国した三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。
大きな騒擾(そうじょう)事件すら想定される。警察の力には限りがあるので、
自衛隊も、治安の維持も目的として遂行してもらいたい」
いわゆる、「三国人発言」である。
辛氏は、「『震災が起きたら、朝鮮人たちが事件を起こすから、自衛隊よ、出てきてくれ』
ということだ。つまり、私たちが悪いことをするから殺してくれ、と言ったわけだ」と憤る。
「私はこの土地で生きている。日本国籍を持った人たちと、一緒に生きている。
さまざまな人たちがこの土地で生きている。
東京は、私をここまで育ててくれた、懐の深い街。だけど、どんどん壊れていく。
あなたと私が喧嘩するように、東京はずっとやってきた。そうではない。
あなたもわたしも、貧乏は嫌です。あなたも私もご飯を食べ、高校を出たら、
就職がしたい。一生懸命働いたら、普通に生活できるだけのお金がほしい」
そして今、東京は「レイシズムのメッカ」になった。「良い朝鮮人も悪い朝鮮人も全員殺せ」
という言葉が毎週、街を覆っている。私は殺される対象になった――と、辛氏は続ける。
「だけど、ここが私の故郷。『出て行け』と言われても、ここが私の家であり、ここで私は
生きていき、ここで私は飯を食べ、ここで私は恋をして、ここで私は、今、生きている。
私はレイシズムに対して、『のりこえネット』を立ち上げた。
『宇都宮さん、一緒にやってくれないか』と声をかけたら、二つ返事でオーケーしてくれた。
ウソばかりの政治の中で、あんたも私も一緒に生きていくと行動したのは、宇都宮さんだ。
私に一票はないけど、応援する。みんな、よろしく。一緒に生きていこう」

■宇都宮氏「人間はみんな平等。韓国、朝鮮、日本、中国もみんな同じ」

辛氏からマイクを受け継いだ宇都宮氏は、「『良い朝鮮人も悪い朝鮮人も全員殺せ』、
『朝鮮人、首吊れ、毒飲め、飛び降りろ』、『ゴキブリ』。こういう日本人が出てきている、
大変恥ずかしいことだ」と、レイシズムを強く非難。

平等だ。韓国、日本、朝鮮、中国、みんな、同じ人間だ。
同じ人間が、なぜ仲良くできないのか。私は、在特会の煽動に煽られて
排外主義的なデモをやっている若者と、もう少し一緒に話したい。
彼らをああいうふうに駆り立てるのは、一体、何なのか。大きな分かれ目にきている」。
宇都宮氏は「国が分裂して喜ぶのは支配層だ」と指摘し
「排外主義的な運動が起きるのは国の指導者に大きな問題がある」との見解を示す。
「従軍慰安婦問題、朝鮮学校の無償化に対する差別、指導者がレイシズムを煽っている。
だから、指導者を変えなければいけない。日本は人種差別撤廃に批准しているのだから、
指導者には責任がある。なぜ在日朝鮮人が日本で生活しているのか、
強制連行の正しい事実を教える責任が、政治家にはある」
歴史を隠蔽し、対立を煽るのは「戦争への道に直結する」と宇都宮氏は述べ、
「ヒトラーはユダヤ人排撃運動をやり、とうとう国家権力を握ってしまった。
ユダヤ人の排撃は、ドイツ市民への排撃につながった。
共産主義者、社会主義者、最後はキリスト教徒まで排撃した。
ナチスに反対する、あらゆる人たちを排除していった、そして戦争が広がった」と紹介。
「同じ過ちを繰り返してはならない」とし、「安倍政権の暴走へストップ」を訴えた。

IWJ Independent Web Journal 2014年2月2日(日)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/123252





2日(現地時間)、フランス・アングレームで開幕されたアングレーム国際漫画祭の最大の

争点は、韓国漫画企画展「散ることのない花」だった。
李賢世(イ・ヒョンセ)など19人の中堅漫画家が参加した企画展には、
旧日本軍慰安婦被害者を扱った漫画やアニメーション25編が展示された。
日本の保守派団体や一部の漫画家は、開幕前日までアングレーム主催側に電話や電子

メールで企画展の中止を要求した。日本政府も、フランス駐在日本大使館を通じて韓国

企画展を再考するよう、主催側に圧力をかけた。
開幕前の先月29日には、趙允旋(チョ・ユンソン)女性家族部長官が参加してパリで開か

れる予定だった「散ることのない花」の説明会が、アングレーム主催側の要請で当日中止

となった。
主催側が日本の圧力に屈して中止したという一部報道もあった。
しかし、フランク・ボンドゥ組織委員長は30日、異例にも韓国メディアとの共同記者懇談会

を要請し、「パリで韓国だけが声を出すのではなく、アングレームで私たちと共に声を出そ

うという意味だ」と明らかにした。
また、「慰安婦企画展を通じて過去の過ちを反省する機会にし、女性に対する暴力を終息

させなければならない。
そうしてこそ人類が進化する」と強調した。
企画展が開かれる間も日本の妨害は続いた。日本のある出版社は「慰安婦は存在しな

かった」というプラカードを掲げたが、主催側によって撤去された。
しかし、真実の力は強かった。企画展には4日間で2万人近い人が訪れた。
展示館には、元慰安婦被害者に送るメッセージを貼る「願いの壁」が設けられた。
漫画祭の最終日には、貼りつける場所がないほど、英語、フランス語、中国語など各国の

言語で書かれた応援メッセージで埋め尽くされた。
「あなたの傷と痛みは私の傷と痛みです」
「圧制に苦しめられているすべての人に代わって勇気を出してくださってありがとうござい

ます」。
「散ることのない花」は、国境と言語を越えた漫画の力、文化コンテンツの力を新たに再認

識させた。
しかし、アングレームは始まりにすぎない。
「願いの壁」に貼られたある応援のメッセージが心に深く残った。
「これは私たち皆の話です。これで終わらせてはならない」。

http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2014020311338
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「あたしゃ、被害者だよ、謝罪と賠償をしなけりゃ、わめき散らす」とばかりに、恥も外聞もな

く、自己主張を強弁して、そこから自民族が批判されれば「ヘイトスピーチ」云々とかで、こ

れまた「わめき散らす」手法には、人類の英知からすれば「被害者面」がもっとも醜い人々

と映って、とてもではないが「わめきチラシ」に尊敬を持って接する者は皆無だろう。

「北風と太陽」という物語でも、その不遜さは忌み嫌われ、対する自然な暖かさを享受させ

る存在には「尊敬」の念も、感謝を知っている人々には通じる・・・。


と、人間の平等という概念があれば、理解出来る物語も「上下関係」にしか感じ入られない

人は、これらのものも「恩は忘れろ」なのだから、言っても無駄の認識は広まり「相手にし

ない・無視が一番」と関係を絶ちたいとなって来る。

こんな「陰険な関係」からは、尊敬も敬意も生まれるものでなく、その一方で「圧制に苦しめ

られた過去」をふり返らず、前だけを向いて和を尊びと国の建て直しを図った人物の映画

には、「尊敬されるべきリーダーとしての人物像」が活写されている。

イーストウッドが監督した「インビクタス 負けざる者たち」の人物像も理想的な者であろう。




http://www.youtube.com/watch?v=RZY8c_a_dlQ


「インビクタス 負けざる者たち」 〇九年公開作

南アフリカの大統領として、その人望とリーダーシップで政治をリードしたマンデラとラク

ビーのワールドカップでの南アフリカ選手との活躍とを、並べながら「ヘイト・クライム」から

の脱却に何が有効だったかを、分かり易くまた感動的な描き方でしたためた秀作。

もっとも長い歴史を短時間に収める作業では、やはり表面的描き方にならざる得ないのは

仕方がないのかも知れない。

しかし演技上手な人を配した妙は、表面上の出来事でもその表情や演出によって、ある程

度は観衆に理解される出来ではある。

マンデラを演じるモーガン・フリーマンの演技は年季の入ったもので、流石に名優と呼ばれ

るに相応しいもので、白人・黒人の融和にとっての「過去の出来事を水に流す」というスタン

スを貫き、徐々にラクビーの熱戦と同じように「ぎこちない蟠りが解け始めるのを、観戦する

客やラジオで聞き入る人、テレビで熱狂する人々とで映像上に融和の流れを見せ付ける

のは「映画ならではの手法」ではあるが、なかなかに良いものであった。

結果的にラクビーでの初出場・初優勝という快挙で終わる物語は、見ていて気持ちよい気分

に浸れるというもので、スポーツの持つ熱狂と政治の冷徹を上手くはめ込めば、上辺だけで

も、この黒人大統領の技量を側面から映像化したようである。


こういった虐げられた人が「過去をみず、前を向こう」という毅然とした態度を映画という手法

で描けば、どこか綺麗ごとではあるが、それなりに諍いの瓦解の方策と見られる・・・。

まぁ、「解決しては、たかれない」という思考法がおありの方には、通じないものだが・・・。



インビクタス / 負けざる者たち [DVD]/モーガン・フリーマン,マット・デイモン,レレティ・クマロ
¥1,500
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                         といったところで、またのお越しを・・・。