意志をもつ車の恐怖「ザ・カー」「クリスティーン」そしてキング | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

つい先日、狂気に取り付かれた人物の酷い事件があったが、その凶器が車であった

には、いささか乗り手によって便利な機械でも、扱う人によっては、凶器になり得るを

知らしめる結果を示していた。


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猛スピードの乗用車でマツダ社員ら男性11人を次々はねたとして逮捕された元期間

従業員、引寺利明容疑者(42)。
目撃者によると、22日午前に広島県府中町で逮捕される直前には、警察官を前に落

ち着いた様子でペットボトルのお茶を口にしていた。
すぐ脇にはボンネットがくの字に曲がった車。居場所を知らせる110番は、自らかけ

ていた。
広島県警によると、引寺容疑者は工場から北東約2キロの山中まで同社製の青い

ファミリアを走らせると、携帯電話で「わしがやった」。地名を告げた上で「来い」と通

報してきたという。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100622/crm1006221944035-n1.htm

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文明の利器である「車」の怖さは、映画の題材としてもいいもので、相当数の映画が

あるが、その中で「見知らぬ運転手」による狂気の言動に巻き込まれるものと、これ

また車自体が、意思を持ち殺戮しまくるとなると、少しばかり趣旨が変わって、ホラー

映画に成り立つかは、少々疑問もある・・・。

それでもオカルトを信じれば、すべては超常現象でかたはつく・・・。




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http://www.youtube.com/watch?v=TFWea3Eu97E&feature=related

「ザ・カー」 七十七年公開作


殺人鬼と化した「凶器の車」には、運転手が存在せずに単に人間が殺したい

意思のみが存在し、次々人間を跳ね飛ばしていく・・・。

その車の風貌が徐々に、怖い顔になって来るから面白い。

まして全身黒の車体であるから、より以上に狂気を孕んだ雰囲気をかもし出す。

と、オカルト的にすれば、幽霊あるいは霊魂の操作する車となるのだが、そこらは

端折りだから、ホラーの風味とは一味違った、人間対機械の死闘へと物語りは

展開していく・・・。



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対決を際立たせるラストも、結局崖から落ちて「一件落着」と行動を制限される

車という機械の不自由さは、文化的便利さとしての「車」も、燃料がなければ、

駄々の「鉄屑」を表明している・・・。

面白いのは、この黒いリンカーンは、男と捉えているようで、以下のような同種の

映画は、狂気に苛まれるが、そこには女性としての正義感も垣間見れて、またまた

違った風味もある。

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http://www.youtube.com/watch?v=1-WOUaBckzw&feature=related
「クリスティーン」 八十四年公開作


車に愛称をつけるアメリカの少年は、こよなくこの旧式の車に愛着を持つ。

日本的に言えば「オタク」的類いの精神性と、原作のスティーブン・キングの

「怨念」やら「憎しみの連鎖」の魂を、意志をもってしまった車が代行してしまう。

と、無人の車が「いじめ」を起こす人々を懲らしめる、一種の「勧善懲悪」の一本

何しろ再生能力も備えている車である。

目的達成までは、その姿は「美しいフォルム」のまま、そしてそれが日本の「怪談」

もののテイストを取り入れた「弱いはずの女性」も、怨念とかをカ可愛がっていた

「ネコ」に乗り移りが、さすが車大国アメリカは、鉄の塊が日本でいうところの「復讐」

をなし遂げてしまう・・・。


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まぁ、意志の硬そうな面構えではある。

そしてノスタルジィー的に、旧車でもある形がひろく認知されていると、

人間的扱いから、観客もこの赤い車に、恐いけどがんばれと贔屓してしまう。

精神的には、心血注いだものへの愛情に対する敬意と、そして蔑ろにされた

心にとって、その行動が「奇想天外」でも、一つの人格となりえると、違和感が

消えてなくなる・・・。

と、まあ、日本の怪猫ものと、テイスト的には似通っていて、主君のあだ討ち

には、ご法度はなし・・・。


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http://www.youtube.com/watch?v=_jvqPvDUEW8&feature=related

「地獄のデビルトラック」 八十六年公開作


「「ミザリー」などで知られる作家スティーブン・キングが、自らの短編を初監督で映画化

した、人間を襲う巨大トラックの恐怖を描いたホラー。
地球の側を通過した彗星の影響で、地上のあらゆる機械が人間を襲い始めた。田舎の

スタンドに閉じ込められた人々は意志を持つ巨大トレーラーとの闘いを強いられる事に

なるが…。モダンホラーの帝王、作家スティーブン・キングの監督デビュー作。」


と、能書きは「知名度のある作家なら、名監督」も務まるかもしれないと、観客を煽り立

てる文章を仕立てて、そうとうに「ぐだぐだ」の映画へと誘い込むのだが、さすが名選手

名監督となりえずという格言どおり、いやそれ以上に脚本が「行き当たりばったり」の

どごぞの政権政党と似通って、「やっちまったな、おい・・・」状態・・・。

もっともホラーでなく、コメディー映画として、人間の災難はどこにでも転がっている

と、映画を見る前に一知識として披瀝しておけば、あるいは「笑いが取れる」かも知れない。

磁場の狂いによって生じた機械の誤作動に、右往左往する人々のパニック、そして暴走

するトラックの狂気・・・。

結果的に収拾がつかなくなって、ミサイル攻撃云々とかでその誤作動も落ち着くとか・・・。

機械へのキングが描くオカルトには、やはり人間の精神の異常とか、怨嗟・恩讐とかの

日本的魂の拠り所があって初めて成立するから、こういったものを作ってもカルト的人気

にはなるが、ほとんどは「駄作」として、葬り去られる・・・。

で、上の作品とも共通するのが下の映画の影響が色濃いということだ。



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http://www.youtube.com/watch?v=SCEXlM3cZ_s&feature=related

「激突」 七十二年公開作


この運転手の存在をわからぬようにして、大型タンクローリー対普通の車の攻防を

カメラワークとトラックの殺戮意思を徐々に狂気へと走らせる演出は見事で、たった

二台の車の「抜きつ抜かれつ」の単につまらぬ意地から、いつしか生死を掛けた戦い

へと、それでもトラック運転手の姿は見られず、トラックの意思が運転手の意思と理解

出来るが、それでも「誰だかわからない恐怖」も相まって、追われる男の緊迫感が、観客

を引きつけて、低予算の映画でも、それこそ魅せる映画は作れる典型として、その後の

活躍を予見出来る映画であった。



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                           といったところで、またのお越しを・・・。