肝っ玉の据わったおばぁちゃんには適わない「大誘拐」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き


笑うしかない「スネカジリ」首相の言い訳。

これが日本のリーダーという事実には、海外の目を考えれば、大笑いものだろう。

にしても、批判する時は「厳しく」自分の不祥事には「甘く」では、率先垂範のことわざも

枯れてしまう。空中浮遊している不甲斐無い息子を見る「母親はどうだろう」なんて・・・。

考えると「哀れなり・・・、自立できない、すねかじり」世の中暗くなる。


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鳩山由紀夫首相は25日夕、偽装献金問題で母親の資金が偽装原資に充てられていた

疑いに関し「私の知らないところで何が行われていたのか。事実かどうかも含めて大変

驚いている」と述べた。 官邸で記者団に語った。
国会で親族の資金が偽装原資に充てられた可能性は「ないと信じている」と答弁してき

たこととの整合性については「信じていたし、今でもそう信じたい」と強調。「どこに真実

があるのか見えない。事実確認はできていない」として、引き続き捜査を見守る姿勢を

見せた。平野博文官房長官は記者会見で「一つのけじめがついた時点で国民に説明

があるのでは」と述べ、捜査の結論が出た段階で首相が責任問題をめぐる見解を明ら

かにするとの見通しを示した。
一方、自民党の谷垣禎一総裁は会見で「このままでは政治への信頼に大きな影響を

与える。きちんと説明する必要がある」と指摘。公明党の山口那津男代表も「事実なら

首相の説明責任は尽くされていなかったことになる」と述べた。

2009/11/25 20:17 【共同通信】鳩山首相「大変驚いている」 偽装原資
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112501000838.html
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こんな息子だったらと考えた時、過去にいた「肝っ玉母さん」の面影から、叱咤激

励される「誘拐犯」というものを思い出した。


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http://www.youtube.com/watch?v=_6IxXmlkFI8

「喜劇 大誘拐」 七十六年公開作

この映画、その時代が今の世に似ているというか、庶民の生活は時が過ぎても

それ程変化ない・・・。

金のない人々が困り果てた上に考え付く誘拐、その発想への道程と「誘拐する」

はいいが、善良な人々の「良心」いや、その小心さが怖さとなって幼児を解放して

しまう・・・。が、幼児誘拐のはずが、遊びの延長線でトランクに隠れた「富豪の母親」

を誘拐してしまう結果というドジを踏むが、この母親が犯人達の境遇に同情して、その

「肝っ玉母さん」の性根が協力するという、なんとも展開となって誘拐の金額が跳ね

上がり「五億円」となってしまう、この肝っ玉母さん役はミヤコ蝶々が演じ、恋人との

結婚とマイホームの夢を砕かれたサラリーマン役に森田健作、後はキシベシシーと

か三木のり平、小倉一郎とか対する誘拐され身代金を払う代議士秘書に立川談志とか

それなりの配役をして、喜劇における定番名泥棒がドジでというコンセプトに、加担する

肝っ玉母さんを加えて、誘拐という犯罪に対しても笑いの元がある。

それも議員は、それをダシしにして国民の同情を買い、票に結び付けようとする姑息さ

も、もともと「五億円」の金は地盤を買う金といういささか「汚い金」金があるから議員に

なる。票も金次第と、政治も揶揄しながら庶民の味方につく実の母。

ここらは「スネカジリ首相」とは違って、まともな常識を持ちつつだからこそ、見ていて

おばぁちゃんが頼もしい、もっともミヤコ蝶々ならではで、この人の演じる母親はいつも

存在感のあるキャラクターになる。



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誘拐犯たちは一旦は身代金を獲得するも、代議士の手のものに取り返されてしまう。

ここらにも代議士の裏の顔を覗かせるようにまともな風体の部下はいないで、金にまと

わりつく怪しい人々、いやもろヤクザもの。

しかしここで身代金の変わりに戻った肝っ玉母さんの、再びの垂れ込みでその金の

奪還に乗り出す「たいやき同盟」、奪った金はここでもドジで、清掃車が回収・・・。

五億円は「夢の島」の風に舞い散る結果・・・。ここらは因果応報でめでたしの喜劇的

終わり方・・・。にしても長距離通勤を強いられ、そこで知り合う人々の境遇は今とほとん

ど変化ないのはなんとも・・・。



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http://www.youtube.com/watch?v=hbUo5f4iGAY

「大誘拐」 九十一年公開作


こちらもあぶれ者の三人組が手っ取り早く金を得るため、「誘拐」を企てるが、

そこはいくら刑務所上がりとはいえ、とっても小物の若者達のこと・・・。

和歌山の山林王のおばぁちゃんを誘拐してまではいいが、身代金の段になり

金銭感覚が露呈して、五千万という数字を出す。

その数字にプライドを傷つけられたおばぁちゃんが「百億円」という数字に・・・。

最初こそ「小悪党」だった三人組は、おばぁちゃんのリードのもと、どんどん善良

そうな庶民へと、立場が逆転していても、それがさまなってとコメディーの妙が

テンポ良く続く。おばぁちゃん役は北林谷栄、これがまたミヤコ蝶々ばりの肝っ玉

ぶりキャラであるから、痛快さが倍加する。


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そして犯人役は風間とおるをはじめとしてとても凶悪な誘拐犯に見えないキャラ振りも

おばぁちゃんと好対照で、その対比がよりコミカルさに拍車をかけている。

そのうえ和歌山県警の指揮をとるのが緒方拳ときて、その大物に挟まれた三人組の

おたおたぶりがよりおかしさを際立たせてくれる。

ここらは監督の岡本喜八の妙なのだろうが、金銭感覚の違いには少なからず「肯く」

誘拐する者の価値、三人組は自分達の常識から五千万、そしておばぁちゃんは百億の

価値と踏む、この感覚の違いが呑まれて行く三人組ち映る・・・。

なんとも悲しい性なのかも・・・。


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原作ではこの三人の境遇等も書かれていたりするのだが、映画ではそれとない触れる

程度にして・・・。ただこの映画の良さは上の喜劇と違ってミステリー仕立てで、狂言誘拐

が分かるのは大分後だし、その上身代金の受け渡しとか衆人環視の元身代金は・・・。

とか、とかくことが大々的に拡がって行く、だけにテンポはいい。

何より緒方拳の存在があると、ぴりっと仕舞ってくるのは流石だ。

そのおばぁちゃんと本部長のラストはなかなかに魅せられるものとなって、笑いながら

時にはどきりっとしたりミステリーじみた展開に謎解きの楽しみと映画としての完成度は

高い・・・。


で、この「大誘拐」、副題がいつからついたのか知らずに、検索を掛けたらおかしなものが

引っかかって、あれっこれかいなと見てみれば、例のごとくの「パクリ」作品ではってのが、

下のもの。


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〇七年製作ってなってるから、それも原作はマンガらしく、マンガも「ばくり」で

それを映画化って「一粒で二度美味しい、日本のパクリ」ってなものか・・・。

それを日本でって、上の作品見ていたら、どだい・・・。

って、見ないからどうでもいいが・・・。


この二本の「大誘拐」ものの一つの醍醐味は、「肝っ玉母さん」的融解される人の

性根の座る、片や息子の悪辣な政治姿勢と犯人側の境遇に同情して、片や誘拐を

機に不甲斐無い家族の、いや遺産に対する意識に自分の価値を諮ってみるという

下心、それに自分に心酔している本部長との、あるいはその他の諸々の者達の心

遣いを見ることで・・・。

と、設定は多少違っていても「肝っ玉の据わり方」は一緒の日本の母の姿・・・。

といったところが最大の魅力・・・。

それがさてさて「母がクレタ金」「貸したくれた金」、普通であれば「すねかじり」は

卒業するべき年齢でも、それともマザコンか「子離れできない金持ち」の歪んだ愛情か

なんとも「頼りなさ過ぎる」リーダーではある。

もっとも映画を思い出させてくれたのは、こうして書けるのでありがたいことだが・・・。



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Amazon.co.jp                     といったところで、またのお越しを・・・。