空想科学映画、サイエンス・フィクションてなジャンルに入る映画は、実際ファンタジィー
ぶりが凄くて、どこか「醒めた目」でみていることがある。
現実離れしすぎで、見ていて楽しいが実感はないといったところで、ストーリーも良く、演出も
良く、楽しめる・・・。という映画も大いにありだが、近未来で「起こりそうな現象」を地味に訴える
手法ってのも、見終わった後「バラ色以外の未来」に、納得させられる。
そんな地味でラストも暗い映画に、この「ソイレント・グリーン」も含まれるだろう。
http://www.youtube.com/watch?v=aTjQO163P2E&feature=related
「ソイレント・グリーン」 七十三年公開作
爆発的人口増加により、食料が極端に減り富裕層以外は配給制となって、
街に人が溢れるニューヨークで、富豪が死ぬという事件が起こる。
刑事役はチャールトン・ヘストンで、彼がこの事件、暗殺の疑いがあり、追
いかけることになる。
ここらだとサスペンス的要素もあるが、何しろ人が溢れ返り、女性は家具で
あるとか食料はソイレント・グリーンという配給ものしか手に入らない、暴動
鎮圧はブルトーザーでひき殺すと、人身の荒廃の進んだ街と、サンエンス・
ィクションとしては悲惨な予想の元考え出された五十年後・・・。
公開当時、日本は景気もそれなりによく、産業も活発だった。
その裏で大気汚染・水質汚染とかの公害問題がクローズアップしてくる。
それでも社会秩序は保たれ、左翼活動も押さえ込まれていた。
そんな時代から五十年先を見通せば、超現実的荒廃が起こって食料も手に
入らず貧富の格差は途方もなくついて・・・、と、今になれば「現実化」しつつあ
るフィクションとなってくる。
環境を汚し、人口はそれに比例することなく増え続け、そこに貧富も極端にな
りと、今予想図を描けばよりこの映画に近づきつつあることになる。
で、主役だからある程度はヒーロー的に扱っていて、それでも公務員らしさは
影を薄くする。今現在も公務員なのに不心得者はいるが、荒廃した社会になれ
ば強大な権力を持つ一部の人のみでその他大勢は、それこそ「虫けら」扱い・・・。
一応刑事として、その職制に忠義を見出すが、それでも職権乱用は度々起こし
てしまう。日本の刑法では。
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2年以下の懲役、2年以下の禁錮。
こういった現在の法律があるが・・・。
近未来では、法律も富裕層のみでの決定に委ねられ・・・。
要するにこの食料とするソイレント・グリーンを作っている会社の陰謀
それは加工する材料が足らない・・・。
海水プランクトンから作り出される食料。緑を無くした地球の設定だから
映像も明るさはなく、ゾンビ宜しくうろつく人々とか、地球全体をニューヨーク
に凝縮して、建物もなにも近未来の「夢空想」を取らないから、リアルに考え
込むインパクトはある。
人口増と環境汚染とは一対の相関関係にある。
さすればこういった現実も、なまじっかありうる・・・。
もっともこの食料の原料については、映画が進むにつれて「ネタ」はうすうす
分かりだしてしまう。
物理的な不明として、同じようなサイエンス・フィクションの「猿の惑星」に比べ
てしまうと、あのラストの衝撃とはいささか・・・。
ただ、刑事が知り合ったエドワード・G・ロビンソンが演じる老人が、進んで施設
へ向かう時、「かつての美しかった地球のあらゆる生物」を見せてもらうシーン
では、一種の啓示に似た感傷に浸ることになる。
老人といえば「楢山節孝」の姨捨山と似た感情の老人は・・・、その後に食料の
原料を知ることになるのだが、ここまで来ると「やっぱり」としか呟けない。
それでも全体を通せば、「沈黙の春」みたいな「環境問題」を訴える映画となる
が、それでもあの本が「農薬と科学」において、警鐘を鳴らすのはいいが、それが
違った方向では「間違った認識」を人に与えてしまったという副次的面も・・・。
この映画も、映画本来の「明るい未来」的な素養はまったくなく、唯一残るのが
人間の尊厳としての生死・・・。
さて、こんな食料不足で荒廃する社会になって行くや否や・・・。
一ついえることは、日本の場合、食料自給率から理想的人口は三千万から四千万
であるという現実も存在している・・・。軽い警鐘的映画としては、見て損はない。
と、思う映画でした。
- ソイレント・グリーン 特別版
- ¥2,816 といったところで、またのお越しを・・・。