格差社会とかがマスコミの喧伝によって拡がれば、搾取する者とされる者の状態をデフォルト
した物語が読まれる。時代背景を加味しても日本はそれほど酷い格差はなくとも、どんよりと
した雰囲気がそれらが酷いものだとなればすがりどころに「共産主義」が入っても、それは当
たり前であり、理想とする「共産主義」なら、それはそれで・・・、だが小説はその理想に奮い立
つ群像を描いたが、それを映画にした時、そんな理想よりは周囲の思惑に押しつぶされ、全く
異質な物語を描いてしまって・・・。
http://jp.youtube.com/watch?v=eIceiSYCLxU&feature=related
「蟹工船」 五十三年公開作
原作の搾取される人々の悲哀を描いて、今再び脚光を浴びている物語を俳優の
山村聡が監督したのが、この昭和二十八年の作品である。
全編よーつべに投稿されているもので、リアルタイムに見ていないが、これのリメイク
でもないだろうが、映画化がなされるらしいので、この古い映画を見てみた。
原作はカニを追いかけ過酷な作業を強いられる人々にスポットを当て、悲惨な労働者
達の自立と経営者の横暴に対する憤りを通して、理想とする共産主義が謳われるもの
だが、正直この映画はあまりにも周囲に対する配慮のし過ぎで、この敗戦から数年経て
も価値観の転換に、御得意の「自虐」が入り込み、さて原作を読んで作ったか不思議にな
る。背景を勘案すると日本の「引きこもり」がここらから始まっていると見ることも出来る。
この蟹工船が、ソ連に拿捕され「洗脳」を施されて帰ってから船上反乱が勃発するのだが
そこをカット、ここらは戦勝国のソ連に文句を言われたくないというより、アメリカの検閲を
気にしてが薄らと分かる。
そしてラストシーンなど、正にアメリカの思惑が透けて見える。
まぁこれ全編がよーつべにあるのだから、ラストも見れるから海軍の横暴で、射殺される
船員で「日章旗」がアップって、これではもろ海軍、いや軍隊が虐殺したを印象付ける
ラストを持ってくると、まぁご都合主義は、自虐なら文句も出ないだろうってな日和見が
見て取れる。小説では船上の奮起は失敗に終り、海軍に騒乱の罪で連行されるが、その
人々の瞳には、革命に向ける心は折れていない、と、前途に対しての不屈の精神性をもっ
て終っているものである。
主義・主張は違っていても、貫き通す精神は尊いものである。
それをどう解釈すると、権力に屈したでない権力の横暴を描いて、終わりにさせるとはいい
加減「戦艦ポチョムキン」かよ、と暗澹たる気持ちになって、敗戦がこんな日和見なものに
変化させてしまった・・・、ただこういった映画でも、後には一人歩きにして、自虐ネタの映画が
量産されていくと、歴史は作られていってしまう。
で、つい先ごろのタイの空港占拠の報道に触れ、あの反政府デモはこの映画で描くものとは
異質で、タイの人々は「タイの行く末」に危惧が働き、直接行動に移ったと見ることができ、小説
では理想の共産主義を謳いながら、映画になると自国を貶すものとして描く。
この違いはどこから来るものだろうと、思うのだ。
国王の誕生日だかが今月五日で、それまでに収束させるという行動には、反政府とはいえ棄民は
いないで「愛国」があるのである。
このタイの行動に対して、日本のマスコミは批判をそれほどせず、まして国王への配慮に対しては
論評はさけ、慕われているでお仕舞いと、なんとも分かり易い。
要するにタイと日本は似ているのだが、これを礼賛でもしようものなら、どっとへんなところから抗議
を受ける。そう日本は抗議に弱く、日和見が全体を覆ってしまい、自虐な発言は良し、それが強硬発
言は「軍靴の音が聞こえる」とかの、訳の分からない物言いで全否定と相成る。
共産主義自体は、それをそれぞれが理解しているなら、これ自体がいけない主義ではない。
ところが権力を握る手合いがこれを利用すると、ソ連のスターリン、中国の毛沢東、カンボジアのポル
ポトみたいな権力抗争の手段として使ってしまうのがいけないのだ。
何しろ自国民惨殺は第二次大戦の犠牲者などより多くて、そしてそれを隠避するというありえない行動
を取ってしまう。人権など全く無視、これがイメージとして共産主義の「怖さ」を広めるから、萎む一方と
相成る。まぁ、理想は理想と割り切れば・・・、何でも言いや・・・。
http://jp.youtube.com/watch?v=EPZGsODiYM4&feature=related
「蟹工船」 本の広告
こんなものもよーつべにあった。
これが今度の映画の一場面だと、ぽしゃる可能性大だと思う出来、学芸会か、ってな感想が・・・。
- 蟹工船 [DVD]
- ¥2,940
- Amazon.co.jp といったところで、またのお越しを・・・。