テレビ創成期に「一億総白痴化」と警鐘を鳴らした人がいて、今現在はネットの発達の
お陰もあり、テレビ媒体の印象操作や変な思惑の番組も批判の対象としてネットに掲
げられることもあり、テレビ視聴率も凋落傾向で斜陽産業に入りつつあるが、その昔は
娯楽の第一として製作する側が血眼になって面白いソースを競った。
それがともするとその数字の呪縛に翻弄され、良心を失い捏造もありと自己弁護を繰り
返して虚像を作り出してしまう。
そんなテレビのいかがわしい裏側を描いて、創作と捏造の薄皮一枚の善悪を静かに
批判していたのが、この「クイズショー」である。
http://jp.youtube.com/watch?v=rNk7BaQbBfg&feature=related
「クイズショー」 九十四年公開作
視聴率至上主義は民間放送の至上命題だが、そこに至る製作者側の道徳心に邪まな
思惑が入り込めば、画面からは一切分からない虚像を賞賛してしまう視聴者がいて、
それが番組スポンサーも巻き込み、エスカレートした時人はいかに行動するか・・・。
ここらに監督をしたロバート・レッドフォードの真意が見られるものだが、しかしそういった
ヒューマンな人物をあててもなお、テレビ媒体の捏造体質とした捕らえ方の方が、この
バラエティー番組の「クイズ」であっても、それがエスカレートしてくれば神経を冒され、
放送したもの勝ちの「垂れ流し情報」という、大宅荘一が危惧した「総白痴化」への道を
ひた走る。
要するに一面真理だが、その側面に隠れたどす黒い思惑をテレビ画面は映し出さない。
つい最近もフィリピンの少女の国籍問題でも、感情に訴える手法で番組を制作していた
局があり、判官びいきの日本人をリードしようとする姑息なものもあった。
そしてそれを放送していたのが、なにあろうこの映画が描いている作られたクイズ王その
もののパクリを行なったものと類似していて、流石に年季の入る仕事はそうそう変えられず
今も昔も印象操作に励む放送局を納得させてくれる。
この映画の場合は、新たなヒーローを見つけ出し、しかしその人物は良心の呵責からと
アメリカらしい道徳観を示して、締めくくっている。
まぁ、それほど告発的なものでなく、静かに観客に「作られたヒーロー」を分からせる。
この前の「靴を無くした天使」同様なものだが、徹底的に違うのは「作ってしまう」という不正を
最初から知っているものと、偶発事故のヒーローを真贋を誤ったマスコミと、どちらがより視聴者
にとって醜悪かは、おのずから分かってしまう。
そしてこのところ、坂道を転げ落ちるかのテレビだが、製作費削減は「クイズ」番組の低予算に目
をつけ、どこでも似たような番組を、それも「お馬鹿」をあるいは「インテリ」をと、見ていて見苦しい
使い捨てタレント大流行、魅力的番組制作というコンセプトは、スポンサー、代理店の費用対効果
の前に潰えて、視聴率は伸びず、それが負のスパイラルに陥り、ますます視聴者離れを引き起こ
す。このままで行くとデジタル云々よりは、放送局大編成の方が急務になりそう・・・。
と、この映画の側面的見方は、暗澹たるテレビ放送の未来に繋がる。
まぁ、捏造・印象操作・偏向を意図的に出来なくなる機運が広がれば、良しとなるものだが・・・。
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- Amazon.co.jp といったところで、またのお越しを・・・。