イタリア俳優がアメリカに招かれ、そこで展開されるイタリア風味満点の映画
とは、アメリカ資本でもその強烈な個性は消し去ることなく、色濃く映像になって
アメリカ西部が舞台なのに、とても湿気が溢れるエロチックでスリリングな展開
そしてまさかのどんでん返しと、低予算でも見るに足る映画が、この「ヒッチハイク」
である。
映画ポスターもある程度は映画の内容を表さないと・・・。
日本のポスターと上のポスターでは、全くインパクトが違っている。
まぁ描写を規制されていて、過激なものがご法度とあれば仕方ないが
このポスターでは、イタリア版「俺たちに明日はない」だわな。
http://jp.youtube.com/watch?v=vC6ihBuEt5E&feature=related
「ヒッチハイク」 七十八年公開作
この映画、題名を「ウィークエンド」と覚えていたものだから
ゴダールが検索すればヒットなって、多少イライラしてしまった。
物語を諳んじているわけでもなく、あの強烈なレイプ・シーンの艶かしい女優の艶姿に、
主人公のフランコ・ネロ共々、倦怠期を迎えた夫婦にとっては、社会的に非道な行為
でも恋愛初期の燃える情念と、男女の性差とかに熱がこみ上げる。
と、題名が示すようにヒッチハイクをする男を、倦怠期に入ったみたいなイタリア記者と
その妻のアメリカ旅行の途中、キャンピング・カーに乗せてやることから起こる悲劇・・・。
なんかここらまでは「ヒッチャー」と展開が似ていて、ただこちらは流石イタリアのスケベ根性
剥き出しの展開になって行く。
その乗せた男が強盗犯で二百万ドルを持っている。
そういった粗野な男となれば、金と女が付いてきて、予想通りの展開に・・・。
ここらからとても衝撃的な映像になっていって、息をのむ。
旦那を縛り上げ、そして妻を犯すのに、その行為を旦那に見せ付ける・・・。
ただ映画の目的はエロチックな場面も挿入したかったのか、それともこの犯されるコリンヌ・クレリー
のただならぬ演技に尺を伸ばしたのか、克明に女体を舐めるような映像に仕上げ、ネロの妻の犯さ
れているのを見る目が怒りから、いつしか・・・。
そしてクレリーの妖艶な演技は、拒否から始まって快感に浸りだすと、もう官能の世界に入り込んだ
ように男の・・・、ここらはストックホルム症候群的心持ちを持ち合わせているのか・・・。
その変化をクレリーが見事に演じていて、レイプの悲惨さよりは官能の見事さとその状況に陥れられる
旦那の狂おしいが、妻の今まで見たことのない悦びの表情・・・。
ここらは西村寿行の小説だったかそれとも弟の方だったか、似たようなもので娘の目の前で母親が襲わ
れ母親は性感に打ち震え、暴漢が去った後家族は崩壊なんてのがあって、さてこの後はどうなってしま
うのかと、レイプを受けた者と、それを見ていた者が夫婦で、暴力による支配下での・・・。
ここで妻が強盗犯に、いや大金を持つ男に心も身体も靡いたかの雰囲気の中、旦那は果敢にこの犯人
を、そこに加勢するのが妻となって、支配する者を始末して、しかしあのレイプの光景は二人の心に重く
影を落として旅は続く二百万ドルと共に、と今度の災難は暴走族、必死で逃げる夫婦、だが運転ミスから
谷底に車ごと落ちて仕舞って、妻は息絶え絶え、旦那はそれでも軽症だが身動きできず・・・。
暴走族の目的は旦那の小銭、財布をかっぱらうと、さっさ引き上げてしまう。
残ったのは死にそうな妻と二百万ドルと、ヒッチハイクの死体・・・。
ネロは車から這い出すと妻を介護するでなく、死体をトランクから引き出し、油を浴びせて燃やして仕舞い
残ったのは二百万ドル・・・、ネロの狂ったような高笑いが響く・・・。
と、ラストになった時は、この新聞記者が一番悪辣なやつ・・・。いやあの「ジャンゴ」が・・・。
まっさか、衝撃的な悪党に成り下がりやがって・・・、鑑賞後の感想はそこだったのだが、しかし果たして
旅行中とはいえ、こういった災難に見舞われた男女が、再びそれを乗り越え、傷を舐めあえるか・・・。
だったら事故を幸に過去を消し去る・・・。のも人生の選択・・・。
とまぁ、クレリーのエロチック・シーンがネロを脇役に追い遣り、ひでぇ男を演じて株を下げまくった。
それに反してクレリーのあの時の表情とかは、物凄いインパクトで、これは一種の女の映画。
しかし何でこの映画「ウィークエンド」と思っていたのだろう。なんかとても不思議だ。
にしても低予算での映画なのに、展開がスリリングでその上B級テイストはそこはかとなく漂いと、
日本でいえばロマン・ポルノに犯罪モノと「激突」のパクリと、アメリカの偏見とをごっしゃに煮込み
出来上がる無国籍映画になるだろう。ここらはイタリアの強烈な映画人の思いを知らせるようで
納得させられた。もっともこれを見ていこう、ネロから関心が薄れたのは確かで、なんだかなぁ
とは思うが・・・。
上と同時期に公開されたコリンヌ・クレリー主演の邦題「ホテル」も、この女優の特性
を遺憾なく生かした低予算、何しろ主にはたった二人のやり取りだけの映画。
そしてポスターを見れば相当に扇情的だが、ここでは覗き見する女と仲むつまじくなる
地下組織の男と、一応は社会性を打ち出してはいるが、単に他人の情事を覗いてしまった
人妻の芯に宿ってしまった背徳の疼き・・・。
ここらはやはり性文学「О譲の物語」を演じているだけにとても妖艶だが、ただそれだけの
映画では、「行きずりの火遊び」でチャンチャンであろう。
これはたしか深夜放送で見た記憶があったが、それが「ヒッチハイク」の被害者と結びつか
なかっただけに、えらく性的演技のうまい女優とは思っていた。
ただ見終わって「何だ、この映画、根暗な青年と欲求不満の中年の一晩」ポルノの題材かい
で、時間を無駄にしたなぁの感想だけに、よーつべにも投稿されていなかった。
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- ¥6,962 といったところで、またのお越しを・・・。
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