洒落者の原作の映画「郵便配達は二度ベルを鳴らす」 | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

物語のある程度の内容を含んで題名はつけられるものという先入観からしたら、

この映画は、いささか洒落がきつい・・・。

サスペンスと想像すれば、重要な鍵は誰でも「郵便配達」という、それも意味深な

言葉がちりばめられて、一体どんな物語なのだろうの興味が湧く・・・。




郵便



http://jp.youtube.com/watch?v=IWWuck1zbKM

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」 八十一年公開作


三十年代アメリカの不況風が吹き荒れ、殺伐とした暗い世相に起こった

夫殺しの実際の事件をヒントして創作された小説を映画化。

で、こちらがリメイク作品だが、配役がジャック・ニコルソンとジェシカ・ラングと

不景気顔が似合うから、リアルな想像が頭を駆け巡ってくれる。

ロードサイドのスタンド兼食堂の夫婦と流れ者の三角関係・・・。

こちらは粗暴な旦那と生活に疲れきった嫁、そこに流れ着く野心を秘めた流れ者

そしてその流れ者が嫁を襲い、最初こそ拒絶するが・・・(ここらは先のヒッチハイク

と似ている)、あき足らぬ夫に欲求不満を持つ嫁は、流れ者を積極的に受け入れ、

キッチンでの動物的まぐわいを展開し、嫁は一挙に流れ者に心を奪われていく。

で、題名の郵便配達はでることなく、ただ二度ベルの方がシャレとなっていて、

一度は流れ者と嫁の夫殺しは失敗し、二度目で・・・。

かなりの部分で最初失敗で、再チャレンジが続き、「なるほどね・・・」と相成る。

にしても、三十年代て゛も不倫はあり、そして保険金殺人、といつの世になっても

男女の縺れは、悲惨な結果が待っている。

そしてこの映画、リメイクの方がリアルなのはこれまたどうして・・・。

もっとも前作とはいえ、三十五年前の映画は時代が「不倫、夫殺害、保険金殺人」

とかのショッキングなものが、映像では許されぬ時勢で、まぐあいも露骨でないハリ

ウッド的抱擁が限度であれば、原作からは遠くはなれた作品になってしまう。

まぁ、先のヒッチハイクでのレイプと比べると、こちらはもう獰猛な家禽類の本能の

発露かとも思える、不況時の精神不安が良く表されているが、好きではない。

というか、女が余りにもドライで、さすがアメリカか・・・。




郵便001



http://jp.youtube.com/watch?v=8XBIEGWjF1c&feature=related
「妄想」 四十三年公開作


で、こちらはイタリアのルキノ・ビスコンティが監督した作品。

映画権許諾を得ずに作ってしまった代物で、舞台をイタリアに移し

人の猜疑心と愛情、そして人を蹴落として掴みかけた安寧は、事故で

失ってしまうと、小説の主題「因果応報」を良く表している。

といっても、全編を見たわけでなく、所々をつまみ食いした程度・・・。

それにしても権利意識は、この当時なかったのかも、いやイタリア

でだったらばれないかも・・・、これが後にも続くイタリアの伝統、パクリ

なのか、権利がなければ、ちょいと変化をつけて、似たようなものに仕上

げる・・・。イタリア映画の根性か・・・。

しかし流石は名監督、こちらの方が不況とかの世相もファシズム台頭

時期だから暗いトーンにマッチしていて、即物的愛情表現のリメイクより

質はいい・・・。



http://jp.youtube.com/watch?v=exYSWDNvmDg

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」 四十六年公開作


で、こちらが正規に映像権を獲得して作られたもの。

ラナ・ターナーのファション・ショー的、とても暗い世相は反映せず、相手役も

とても裕福に見えて、昔々のトレンド・ドラマの「昼メロ」で、おいっおいっ、な、出来

それでも当時はヒットしたのだから、はてさて・・・。


と、「チェーン・ヒート」から女の行動パターンの違うものを三作揃えてみたが、

映画の中でが、必ずしもそこに留まらず実相でも、こういう類いの揉め事は

何処かで起こっているだろう・・・、「事実は小説より奇なり」



郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946年版)特別版
¥869
Amazon.co.jp                        といったところで、またのお越しを・・・。